オーバルコースは楕円形の形状をしたサーキットで、コースによっては平均時速が350km/hを超え、常に高速のバトルが行われるのが特徴です。
アメリカではオーバルコースを使用したレースに人気があり、『NASCAR』や『インディカーシリーズ』に代表されるようにオーバルコースを使用した数多くのレースが開催されています。
オーバルコースの特徴
オーバルコースは楕円形のコースのため、似たような形状が多いのですが、1周が1マイル(約1.6km)程度の『ショートオーバル』と呼ばれるコースから、1周が2マイル(約3.2km)を超える『スーパースピードウェイ』と呼ばれるコースなど様々な種類があります。
オーバルコースのコーナーにはバンクと呼ばれる傾斜がついており、超高速の状態でもコーナーが曲がりやすくなっています。
ロードコースのコーナーでもバンクがついているのが一般的ですが、オーバルコースのバンクの角度は20度を超える場合もあります。
似たような形状のコーナーであっても、バンクの角度が様々であるため、ドライバーはコーナーの特徴に合わせてマシンをセットアップしたり、走行したりする必要があります。
出典:indycar.com
オーバルコースは長いストレートとコーナーで構成された単純なコースレイアウトに見えますが、ドライバーはコーナーの度に繊細なブレーキ操作とシフト操作を行っています。
オーバルコースでのレースは常に300km/hを超えるスピードで争っているため、単独で走行するよりも、前方の車両のすぐ後方について空気抵抗の少ない状態で走行する『ドラフティング』という走行技術を使って複数台が集団になった方が速く走行することができます。
ただし、空気の流れを読む必要があり、高速で走行する前方の車両の後方に発生する『タービュランス』と呼ばれる乱気流を避けて走行する必要があります。
わずかなミスでも、順位を大きく落とす原因となったり、燃費も考える必要があるため、オーバルコースでのレースでは上位を走行し続けるためには高いドライビング技術が要求されます。
コースの大きさや形状にもよりますが、オーバルコースでのレース観戦はオーバルコース全体を見渡すことができ、レーシングカーを常に観ながら観戦できるのが特徴となっています。
インディアナポリス500
インディカーシリーズの1戦となっているインディアナポリス・スーパースピードウェイで開催される『インディアナポリス500』がオーバルコースで開催されるレースとして世界的に有名です。
『インディ500』とも呼ばれ、『F1モナコグランプリ』、『ルマン24時間耐久レース』と並び世界3大レースのひとつとされています。
2017年には佐藤琢磨選手が日本人として初めてインディ500で勝利を挙げました。さらに、2020年にはインディ500で2回目の勝利を挙げる快挙を成し遂げています。
モビリティリゾートもてぎ オーバルコース
日本では栃木県に位置するモビリティリゾートもてぎに国内で唯一の本格的なオーバルコースがあります。ロードコースに併設され、『スーパースピードウェイ』と呼ばれていました。
出典:twinring.jp
2022年にモビリティリゾートもてぎに名称変更される前のツインリンクもてぎではアメリカのオープンホイールレースを開催したことがあります。1999年から2002年まではCART、2003年から2010年までインディカーシリーズがスーパースピードウェイで開催されました。
全日本GT選手権やスーパー耐久のレースをスーパースピードウェイで開催したこともあります。そのときは、特設のシケインを設置して、速度が上がりすぎないように考慮されました。
東日本大震災での被災
2011年3月に発生した東日本大震災ではツインリンクもてぎも被災しました。ロードコース、スーパースピードウェイ共に路面にうねりや亀裂が発生しました。
ロードコースは全面的に再舗装が行われ、すぐに復旧しましたが、スーパースピードウェイは修復されませんでした。
ロードコースのファーストアンダーブリッジの上にあたるターン3付近のうねりが特にひどく、安全にレースを開催することができないと判断されたため、2011年に開催が予定されていたインディカーシリーズのレースはロードコースを使用して開催されました。
現在でもモビリティリゾートもてぎのオーバルコースを使用したレースは開催されていません。