2024年 F1 第22戦 ラスベガスGP 開催概要

 

TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup

2023年

 

『Netz Cup』から『Yaris Cup』へ

2000年にトヨタ自動車がナンバー付きのヴィッツを使用した『Netz Cup (ヴィッツレース)』をスタートしました。現在ではナンバー付きの車両を使ったレースはめずらしくはありませんが、Netz Cupが日本で初めてのナンバー付き車両によるワンメイクレースとなります。

ヴィッツは海外では『ヤリス』の名称で販売されていました。トヨタは2017年からヤリスをベースとした『ヤリスWRC』で世界ラリー選手権(WRC)へ参戦するなど、ヤリスのブランドを世界で拡大していくマーケティングを進めていました。

その一環として、日本においても2020年にヴィッツの販売が終了となり、後継の『ヤリス』の販売が開始されました。

これにより、ヴィッツを使用した『TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race』も2020年をもって終了となり、2021年から新たにヤリスを使用したナンバー付きワンメイクレースとして、『TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup (ヤリスカップ)』がスタートすることになりました。

 

 

 

TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup とは?

ヤリスカップはヴィッツレースと同様に、ナンバー付きの車両によるワンメイクレースの形式を踏襲します。

そのため、車両はレース仕様となりますが、ナンバーが付いているため、当然ながら乗用車として公道を走行することができます。公道走行のための車検をクリアする必要があることから、車両の改造範囲も狭くなっており、レース参戦費用の高騰を抑えることに貢献しています。

ヤリスカップはヴィッツレースと同様に、トヨタがモータースポーツブランドとして展開している『GAZOO Racing』冠に付け、『TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup』として全国のサーキットで開催されます。

 

 

トヨタはナンバー付きの86もしくはSUBARU BRZを使用した『TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race』を2013年にスタートしました。2022年から新型のGR86とSUBARU BRZを使用した新たな『TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cup』がスタートします。

トヨタとしてはこれら2種類のナンバー付き車両によるワンメイクレースを開催しています。

GR86/BRZ Cupは参戦するドライバーのレベルが高く、ベースとなる車両の価格も高額であることから、多額の参戦費用が必要となります。

一方で、ヤリスカップはベース車両がヤリスということもあり、参戦費用が抑えられ、レース初心者向けの参加しやすいレースカテゴリーとなっています。そのため、これら2種類のナンバー付きレースはうまく住み分けができていると言えます。

 

 

TOYOTA Yaris Cup Car 仕様

ヤリスカップへ参戦するためには『Yaris Cup Car (ヤリスカップカー』をベースにする必要があります。発売当初のトヨタ・ヤリスにはマニュアル車はハイパフォーマンスグレードのGRヤリスだけの設定でしたが、ヤリスカップカーには5速マニュアル車の設定があります。

ヤリスカップカーにはレースに参戦するために必要となるロールケージや6点式シートベルトなどがあらかじめ装着されています。

 

車両型式・重量・性能

TECS型式 5BA-MXPA10-VPNTFN (5MT)
5BA-MXPA10-VPNTXN (CVT)
ベース車両型式 5BA-MXPA10-AHFNB (5MT)
5BA-MXPA10-AHXNB (CVT)
車両重量 1,030 kg (5MT)
1,040 kg (CVT)
車両総重量 1,305 kg (5MT)
1,315 kg (CVT)
最小回転半径 5.1 m
主要燃費改善対策 (全車)筒内直接噴射、可変バルブタイミング、
電動パワーステアリング、(CVT車)自動無段変速機
 

寸法・定員

全長/全幅/全高 3,940 mm / 1,695 mm / 1,470 mm
ホイールベース 2,550 mm
トレッド
フロント/リヤ
1,490 mm / 1,485 mm
最低地上高 120 mm
室内
長/幅/高
1,845 mm / 1,430 mm / 1,190 mm
乗車定員 5 名

 

エンジン

型式 M15A-FKS
総排気量 1.496 L
種類 直列3気筒
使用燃料 無鉛レギュラーガソリン
内径×工程 80.5 mm × 97.6 mm
最高出力<ネット> 80 kW (120 PS) / 6,600 r.p.m
最大トルク<ネット> 145 N・m (14.8 kgf・m) / 4,800~5,200 r.p.m
燃料供給装置 電子制御式燃料噴射装置 (EFI)
燃料タンク容量 40 L

 

走行装置・駆動方式

サスペンション (フロント) マクファーソンストラット式コイルスプリング
サスペンション (リヤ) トーションビーム式コイルスプリング
ブレーキ (フロント) ベンチレーテッドディスク
ブレーキ (リヤ) リーディングトレーリング式ドラム
駆動方式 前輪駆動方式

 

Yaris Cup Car 価格

  架装メーカー
希望小売価格
北海道地区架装メーカー
希望小売価格
6MT 2,220,100 円 2,249,800 円
CVT 2,450,100 円 2,479,800 円

 

出典:trd-motorsports.jp

 

 

ライセンス・参加料

ヤリスカップに参戦するには普通自動車免許とJAFが発行するJAF国内競技運転者許可証A(国内A級ライセンス)以上を保有している必要があります。

外国人ドライバーにおいては、JAF以外のASN発給の同様のライセンスを保有し、FIA国際モータースポーツ競技規則に定められた海外レース出場申請が済んでいることが条件となります。

また、エントリーするには事前にT.R.A(トヨタカーズ・レース・アソシエイション)レーシングパスポートに登録しなければなりません。

TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cupの1戦あたりの参加料は42,900円(税込)です。

 

プロフェッショナル認定ドライバー

プロフェッショナル認定をされたドライバーはヤリスカップに参戦することができません。以下の実績のあるドライバーはプロフェッショナル認定されます。

 

  • 全日本レース選手権相当のカテゴリーでの入賞者
  • 海外トップカテゴリー (FIA-F2、GP2、インディカーシリーズ等)の各選手権での入賞者
  • スーパーGT / スーパーフォーミュラもしくは同等カテゴリーへの参戦実績のあるドライバー
  • 86/BRZ Cup 2022プロフェッショナルシリーズの年間ランキングトップ10入賞者
  • その経緯からプロフェッショナルドライバーとみなされるドライバー

 

ただし、最終入賞・参戦から10年を経過している場合、または2022年1月1日時点で満60歳以上のドライバーは対象から除外されます。

 

 

TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup
2023年 開催スケジュール

2023年シーズンのヤリスカップは2022年シーズンに続いて、『東日本シリーズ』と『西日本シリーズ』の2つのシリーズで開催されます。

東日本シリーズ、西日本シリーズ共に全7戦で争われ、各シリーズの終了後に、富士スピードウェイでの特別戦の開催が予定されています。

ヴィッツレースが北海道、東北、関東、関西、西日本と5つのシリーズで開催されていたことから、将来的にヤリスカップも全国各地のシリーズとして開催されていくのではないかと考えられます。

 

東日本シリーズ

ラウンド 日程 開催地
第1戦 4/23 モビリティリゾートもてぎ
第2戦 5/14 スポーツランドSUGO
第3戦 6/18 十勝スピードウェイ
第4戦 6/18 十勝スピードウェイ
第5戦 8/20 十勝スピードウェイ
第6戦 10/14 スポーツランドSUGO
 第7戦 11/11~11/12 富士スピードウェイ

 

西日本シリーズ

ラウンド 日程 開催地
第1戦 3/18~19 鈴鹿サーキット
第2戦 4/1 富士スピードウェイ
第3戦 4/30 オートポリス
第4戦 6/11 オートポリス
第5戦 7/15~7/16 鈴鹿サーキット
第6戦 9/10 岡山国際サーキット
第7戦 10/21 岡山国際サーキット

 

特別戦

ラウンド 日程 開催地
特別戦 11/25 富士スピードウェイ

 

東日本シリーズ

ラウンド 日程 開催地
第1戦
(開催中止)
4/2 富士スピードウェイ
第2戦 10/8 スポーツランドSUGO
第3戦 7/3 十勝スピードウェイ
第4戦 7/16〜7/17 富士スピードウェイ
第5戦 8/21 スポーツランドSUGO
第6戦 9/25 十勝スピードウェイ
 第7戦 10/22 富士スピードウェイ
第8戦 11/13 スポーツランドSUGO

 

西日本シリーズ

ラウンド 日程 開催地
第1戦
(開催中止)
3/20 オートポリス
第2戦 7/16~7/17 富士スピードウェイ
第3戦 5/15 岡山国際サーキット
第4戦 6/18〜6/19 鈴鹿サーキット
第5戦 7/30 オートポリス
第6戦 9/3〜9/4 鈴鹿サーキット
第7戦 10/22 富士スピードウェイ
第8戦 11/19〜11/20 岡山国際サーキット

 

特別戦

ラウンド 日程 開催地
特別戦 12/10〜12/11 富士スピードウェイ

 

 

公式予選

ヤリスカップでは参加受付台数が各サーキット毎に設定されている予選最大出走台数を超過した場合、2組以上に分けて公式予選が行われます。公式予選の実施方法は各大会毎に公示されます。

公式予選ではタイムアタックを行い、ベストラップ順に決勝のグリッドが決定されます。公式予選での上位3位のドライバーのベストタイム平均値の130%が公式予選通過基準タイムとなります。

各サーキット毎に最大決勝出走台数が設定されており、この台数よりも後ろの順位の場合は予選落ちとなります。ヤリスカップでは最大決勝出走台数を5台以上上回る参加があった場合、予選不通過車両を対象とした『コンソレーションレース』が開催されます。コンソレーションレースではポイントは与えられませんが、予選落ちとなってもレースに参加することができます。

 

 

決勝

ヤリスカップでは約40kmのレース距離で争われます。スタートはスタンディング方式で行われます。

 

 

レース距離

開催地 周回数 レース距離
十勝スピードウェイ 12 40.860 km
スポーツランドSUGO 10 35.860 km
モビリティリゾートもてぎ 8 38.408 km
富士スピードウェイ 8 36.504 km
鈴鹿サーキット 8 46.456 km
岡山国際サーキット 10 37.030 km
オートポリス 9 42.066 km

 

 

タイヤ

ヤリスカップでは公式予選、決勝を通して使用できるタイヤは4本までに制限され、事前の車検時に使用するタイヤにマーキングが行われます。

ヤリスカップのタイヤはヴィッツレースを踏襲し、『GOODYEAR EAGLE RS SPORT S-SPEC』のワンメイクです。

フロントタイヤは公式車両検査にてタイヤマーキングを施されるまで、未使用の状態である必要があります。

やむを得ない理由の場合に限り、レース審査委員会の承認を受けてタイヤ1本のみの交換は認められます。ただし、タイヤを2本以上交換した場合はピットスタートとなります。

 

 

公道走行チェック

ヤリスカップはナンバー付き車両によるレースであるため、レース終了後に公道走行チェックが行われます。

チェック項目は決められており、安全に公道を走行するための検査を受けることが義務付けられています。検査を受けなかった場合は、レース結果は抹消されてしまいます。

サーキット走行中はエアバッグの作動を禁止させるためにエアバッグコンピュータのコネクタを取り外しているため、コネクタの接続の確認も行われます。

 

 

ポイント

決勝の順位に応じて、以下のポイントが与えられます。また、ポールポジションを獲得したドライバーに1ポイント、決勝でファステストラップを記録したドライバーに1ポイントが加算されます。

コンソレーションレースではポイントが与えられません。シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがチャンピオンとなります。

 

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位 12位 13位 14位 15位
30 25 22 20 18 16 14 12 10 8 6 4 3 2 1

 

ポールポジションを獲得したドライバーに1ポイント加算 (CVTクラスを除く)

決勝でファステストラップを記録したドライバーに1ポイント加算

 

CVTクラス

ヤリスカップの競技車両である『Yaris Cup Car』のトランスミッションはMT仕様とCVT仕様の2種類があり、レースはそれぞれの仕様の車両での混走となります。

ヤリスカップではCVT仕様の車両を対象とした『CVTクラス』が設定されています。総合順位とは別にCVTクラスで順位付けが行われます。

 

赤旗でレースが中断したままレースが終了した場合

先頭車両が2周回を完了する前にレースが赤旗により中止された場合

レースは成立せず、ポイントは与えられません。

 

先頭車両が2周回を完了し、レース距離の75%未満でレースが中止された場合

レースは成立しますが、与えられるポイントは半分となります。

 

先頭車両がレース距離の75%以上を完了した後にレースが中止された場合

レースは成立し、全てのポイントが与えられます。

 

 

歴代チャンピオン

シリーズ ドライバー
2021 東日本 松本 康平
東日本/CVT 飯田 裕
西日本 大島 和也
西日本/CVT 荒川 美恵子
2022 東日本 大森 和也
東日本/CVT 飯田 裕
西日本 神谷 裕幸
西日本/CVT 塚原 啓之

 

 

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