MotoGPに代表される二輪(バイク)のフラッグルールは四輪(クルマ)のフラッグルールと共通点が多いですが、いくつかのフラッグにおいては意味や提示の方法が異なります。レッドクロス旗など二輪にしか無いフラッグもあります。
四輪レースでは一部のフラッグ(オイルフラッグ、オレンジボール、黒旗など)は不動(静止)表示となりますが、二輪(バイク)レースのフラッグにおいては全て振動表示(旗を振る)となります。
以下に記載している二輪のフラッグのルールはMFJ国内競技規則に準拠しています。
MotoGPなどの世界選手権では運用が異なる部分があります。
緑旗 (グリーンフラッグ)
四輪レース同様に黄旗区間の解除を意味し、黄旗の原因となった現場の前方のポストで振られます。
フリー走行、公式予選、サイティングラップ、ウォームアップラップの各1周目に全てのポストで提示されます。
赤ストライプ付き黄旗 (オイルフラッグ)
オイルフラッグが振られた先のコース上にオイルが漏れているなど、雨以外の理由でコースが滑りやすい状態にあることを意味します。
コース上の落下物を知らせるためにおいても使用されます。また、転倒したバイクのパーツがコース上に散乱している場合にも振られます。
四輪と異なり不動(静止)表示ではなく、二輪では振動表示されます。
赤ストライプ付黄旗
雨以外の理由でコース表面が滑りやすい状態。(オイルや落下物がある可能性も含む)
レッドクロス旗 (赤い斜め十字の入った白旗)
レッドクロス旗が振られている先の区間で雨が降り続いていることを意味します。四輪のフラッグには無い、二輪レース独自のフラッグです。
雨が降っていない状態から、雨が降りはじめた時にレッドクロスが振られます。はじめから雨が降っている場合には振られません。
基本的にレース仕様のバイクは路面がドライの時はスリックタイヤを装着しています。そのため、路面がウェットの状態では走行することができないため、雨を知らせるレッドクロスは重要なフラッグです。
レッドクロス (赤い斜め十字の入った白旗)
コース上のこの付近において、雨が降り始めたことを示す。
レッドクロス旗と同時にオイルフラッグが振られている場合は、雨が降り続いていることを意味します。これも四輪のフラッグには無い、二輪レース独自のフラッグの運用です。
レッドクロス+赤ストライプ付黄旗
コース上のこの付近において、雨が降り続いていることを示す。
青旗 (ブルーフラッグ)
後方からペースの速い車両が近づいており、追い越されようとしているライダーに対して振られます。
レースにおいては周回遅れにされようとしているライダーに対して振られます。振られたライダーは後方のライダーに進路を譲らなければなりません。
青旗 (ブルーフラッグ)
後方よりペースの早い車両が接近し、追い越される状態にある。
チェッカーフラッグ
コントロールライン付近で振られ、レースまたは公式予選の終了を示します。チェッカーを受けた車両はピットに戻らなければなりません。
チェッカーフラッグ
レースまたはプラクティスセッション(公式予選等)の終了。
レースでトップの車両の前に周回遅れの車両がいた場合、チェッカーフラッグと同時に青旗が振られます。これは周回遅れの車両はもう1周する必要があることを意味します。
四輪レースではチェッカーフラッグはレース終了の合図であるため、周回遅れの車両であってもチェッカーフラッグが見えないように振ります。二輪では青旗を併用して、先頭車両と周回遅れ車両に対してチェッカーフラッグを振ります。
チェッカーフラッグ+青旗
ファイナルラップにフィニッシュラインの手前でトップライダーの直前に他のライダーが走行している場合、トップのライダーはチェッカーを意味するが、直前を走るライダーはもう1周することを示す。
黄旗 (イエローフラッグ)
1本振動の場合は、コースサイドに危険が存在することを意味します。
2本振動の場合は、コース上に危険があることを意味します。
四輪と異なり二輪では黄旗は危険のある現場の2つ手前のポストから提示されます。四輪では黄旗は基本的に現場直前のポストのみで提示し、競技長の指示があった場合に限り、複数手前のポストから提示します。
危険のある現場の前方のポストでは緑旗が振られ、四輪と同様に黄旗から緑旗までの区間は黄旗区間とされます。黄旗区間ではライダーは減速する準備をしなければならず、追い越しが禁止されます。
黄旗 (イエローフラッグ)
前方コース及びコースサイドに障害物やその他危険な状態であることを示す。
1本振動:コースサイドに危険な状態を予告
2本振動:コース上に走行を妨げる危険性の予告
減速、停止準備・追い越し禁止。
赤旗 (レッドフラッグ)
競技の中断を意味します。赤旗が振られると、全ての競技車両はピットに戻らなければなりません。
二輪レースでは雨が降り始めたとき、四輪と異なりピットインしてウェットタイヤへ交換することが簡単にはできないため、赤旗で中断されます。
赤旗 (レッドフラッグ)
競技中断
すべてのライダーは低速で最大限の慎重さと注意を持ってそれぞれのピットに戻る。
白旗 (ホワイトフラッグ)
救急車などの介入車両がコース上を走行している場合に振られます。介入車両が走行している1つ手前のポストと2つ手前のポストで提示されます。白旗から介入車両までの区間で追い越しが禁止されます。介入車両がコース上に停止すると黄旗が併用されます。
MotoGPにおいては白旗の運用ルールがMFJのルールと異なり、フラッグ・トゥ・フラッグルールの適用を意味します。レース中に白旗が振られると、ピットインして車両の乗り換えが可能になります。路面状況の変化(ドライ→ウェットまたはウェット→ドライ)がある場合に振られます。
白旗 (ホワイトフラッグ)
前方に救急車両等の介入車両に遭遇することを示す。白旗表示位置から介入車両を追い越すまで他のライダーの追い越し禁止。
黒旗 (ブラックフラッグ)
ゼッケンボードと合わせて振られます。提示されたライダーは速やかにピットインしなければなりません。四輪と異なり黒旗は全てのポストで提示されます。
黒旗+白文字ナンバーを付したブラックボード
当該ライダーに速やかにピットインの指示を示す。
オレンジディスク旗
車両に機械的トラブルを抱えている場合に、ゼッケンボードと合わせて振られます。
四輪レースと異なりオレンジディスク旗は全てのポストで提示されます。四輪ではオレンジディスクが提示されるとピットインしなければなりませんが、二輪では提示されたライダーは速やかにコース外に車両を停止させる必要があります。
オレンジボール旗+黒字に白文字のサインボード
サインボードで示された番号の車両は、彼自身、及びほかのライダーに危険を及ぼす可能性があり、速やかにコースから離脱し、安全な場所に停止しなければならない。
白・黒斜分割旗
旗が提示された先にスロー走行をしている車両が存在することを意味します。
後続のライダーの走行ラインとスロー走行車両の走行ラインが重なると考えられる場合は白・黒斜分割旗が振動表示され、それ以外は静止表示されます。
白黒斜分割旗
静止
前方にスロー走行車両があることを示す。
振動
前方のスロー走行車両と走行ラインが重なる可能性を示す。
セーフティカー
四輪レース同様にコース上に危険な状態が存在するものの、競技を中断するほどではない時にセーフティカーが導入されます。
セーフティカーの導入が決定されるとSCボードの提示と黄旗の振動表示が行われます。セーフティカー導入中はコース全域で追い越しが禁止されます。
黄旗+白地に黒文字のSCボード
セーフティーカー介入によるレースの非競技化(注意・減速・追い越しは禁止)
指示された車両以外セーフティーカーの追い越し禁止。
1列で走行すること。
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緑旗 (グリーンフラッグ)
コース規制の解除ならびに、提示ポストから黄旗の解除を示す。
レース以外の走行の1周目に各ポストで表示される。
ウォームアップラップのスタート合図。