2024年 F1 第3戦 オーストラリアGP 開催概要

 

NTT インディカー シリーズ

2022年

 

インディカーシリーズとは

インディカーシリーズ (IndyCar Series)は1994年にトニー・ジョージ氏が前身である『IRL (Indy Racing League:インディ・レーシング・リーグ)』を設立し、スタートしました。

当時、アメリカ最高峰のオープンホイールレースとしては、1979年にスタートした『CART (Championship Auto Racing Teams)』が運営するChamp Car World Series (チャンプカー・ワールドシリーズ)が先駆けていました。そのため、IRLはCARTとは別の独立したオープンホイールレースとして歩んでいました。

 

出典:indycar.com

 

CARTのレースは楕円形のオーバルコースと市街地コース等のロードコースの両方で開催されていました。その一方で、IRLのレースはインディ500として有名な『インディアナポリス500』を頂点とし、オーバルコースのみで開催されてきました。

2002年にはシリーズ名称をIRLから現在の『インディカーシリーズ (IndyCar Series)』へと変更しました。

ところが、2002年にCARTが経営破綻し、2003年にはインディカーシリーズがCARTを吸収することになりました。その結果、アメリカの最高峰オープンホイールレースシリーズはインディカーシリーズへ統合されることになりました。

 

タイトルスポンサー

インディカーシリーズには2010年からタイトルスポンサーが就いており、2010~2013年はアパレルブランドの『IZOD (アイゾッド)』、2014~2018年は携帯電話企業の『Verizon (ベライゾン)』、2019年からは日本の通信企業の『NTT』が担当し、『NTTインディカーシリーズ』として開催されています。

 

インディ500

インディカーシリーズの1戦としてインディアナポリスのスーパースピードウェイで開催されるレースは『インディ500 (インディアナポリス500)』と呼ばれます。インディ500はF1モナコグランプリ、ルマン24時間耐久レースと並んで、世界3大レースの1つとされています。

インディ500はインディカーシリーズがスタートするよりもずっと前の1911年に初めて開催され、すでに100回以上のレースが行われています。

インディ500は毎年5月の最終月曜日に設定されているメモリアルデーの前日の日曜日に開催されることになっています。2020年シーズンは新型コロナウイルス『COVID-19』の影響により、8月の開催となりました。

インディ500のレースはシリーズ最長の500マイル(約800km)、1周が2.5マイルのスーパースピードウェイを200周で争われます。順調にレースが進行したとしても3時間を超える長丁場のレースとなります。

インディ500は勝者のみが讃えられ、F1などのレースと異なり、2位や3位に価値は無いとされています。2017年には日本人ドライバーの佐藤琢磨選手が日本人として初めてインディ500に勝利し、2020年には自身2回目の勝利を飾りました。

 

インディ・ジャパン

インディカーシリーズは2003年から日本のツインリンクもてぎ(現:モビリティリゾートもてぎ)で『インディ・ジャパン (INDY JAPAN)』を開催しました。

インディカーシリーズとしては北米大陸以外での唯一の開催となり、2008年には女性ドライバーのダニカ・パトリック選手が自身初優勝を飾りました。

インディ・ジャパンは2011年まで開催されましたが、最後の開催はツインリンクもてぎのオーバルコース(スーパースピードウェイ)が東日本大震災で被災し使用できなくなったため、最初で最後のロードコースでの開催となりました。また、オーバルのピットレーンを使用するため、ロードコースとオーバルのピットレーンをつなぐコース改修が行われました。

 

©INDYCAR

 

マシンはダラーラ製『DW12』のワンメイク

インディカーシリーズはイタリアのダラーラ社がインディカーシリーズのために開発した『DW12』を採用しています。DW12は2012年シーズンから採用されており、マシン名称のDWは2011年シーズンの最終戦でのレース中の事故で無くなったダン・ウェルドン選手を表しています。

DW12は定期的に改良が加えられています。2015年から2017年シーズンにおいてはDW12にエンジンマニュファクチャラーが開発したマニュファクチャラーエアロキットが導入されました。エンジンを供給するシボレーとホンダがそれぞれエアロキットを開発し、エンジンを供給するチームに装着されました。

2018年シーズンからはDW12にダラーラ製の全車共通仕様のユニバーサルエアロキットを装着したマシンで争われています。

エアロキットはロードコースや市街地コース用の『ロードコース パッケージ』とオーバルコース用の『スーパースピードウェイ パッケージ』の2種類が用意されています。

2020年シーズンからはクラッシュしたマシンの破片等からドライバーの頭部を保護する目的としてエアロスクリーン(Aeroscreen)が導入されました。F1をはじめとするフォーミュラカーではHALO(ヘイロー)が有名ですが、インディカーではレッドブル・アドバンスド・テクノロジーズとダラーラが共同開発したエアロスクリーンが採用されました。

当初、DW12は2021年シーズンをもって終了となる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2022年シーズンも引き続き使用されます。

 

出典:indycar.com

 

ダラーラ DW12

車両型式 ダラーラ IR-12 & ダラーラ IR-18エアロキット
全長 / 全幅 / 全高 201.7 / 76.5 / 40 インチ
車両重量 1630 ポンド (ロード/ストリートコース)
1620 ポンド (ショートオーバル)
1590 ポンド (スピードウェイ)
ホイールベース 117.5~121.5 インチ
ホイールサイズ 15 インチ
タイヤ ファイアストン ファイアホーク
ブレーキ PFC CR90 モノブロック アルミニウム キャリパー
ギアボックス XTRAC 6速 (パドルシフト付)
燃料タンク 18.5 ガロン

 

 

2.2L V6 ツインターボエンジン

インディカーシリーズではシボレー(GM)とホンダの2社がエンジンを供給しています。現在のエンジンは第3世代と呼ばれ、DOHC 2.2L V6 ツインターボエンジンとなっています。

エンジン回転数は12,000rpmに制限され、出力はブースト圧に依存しますが、550~700馬力と言われています。

燃料はガソリンではなく、バイオエタノール85%と無鉛ガソリン15%の混合燃料が使用されます。エタノール100%では火災発生時に炎が見えないことから、ガソリンが加えられています。

当初、2.2L V6ツインターボエンジンは2021年シーズンをもって終了となる予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、2022年シーズンも引き続き使用されます。

インディカーシリーズでは2023年シーズンからハイブリッドシステムを搭載した新しいパワーユニットへ変わる予定です。

 

出典:indycar.com

 

マニュファクチャラー ホンダ、シボレー
エンジン型式 Honda HI19R Indy-V-6
Chevy IndyCar V6
最低重量 248 ポンド
ターボチャージャー ボルグワーナー EFR 7163
最大回転数 12,000 rpm
最大ブースト圧 1,300 mbar (スーパースピードウェイ)
1,400 mbar (インディ500予選)
1,500 mbar (ショートオーバル、ロード/ストリートコース)
1,650 mbar (プッシュトゥパス)
エンジン出力 550~700馬力
燃料 スピードウェイ E85 (エタノール85%、ガソリン15%
ECU マクラーレン アプライド テクノロジーズ TAG400i
スロットル ドライブバイワイヤ

 

プッシュ・トゥ・パス (Push-To-Pass)

インディカーシリーズには『プッシュ・トゥ・パス』と呼ばれる独自のオーバーテイクシステムが導入されています。現在のプッシュ・トゥ・パスのシステムは2012年に導入されました。レース中にエンジンの加給圧を一時的に上げることで約60馬力の追加のパワーを得ることができます。

プッシュ・トゥ・パスの使用時間は以下のように開催地ごとに異なりますが、最大で200秒間使用することができます。プッシュ・トゥ・パスを作動させるボタンは『P2Pボタン』と呼ばれ、P2Pボタンを押している間だけ、プッシュトゥパスを作動させることができます。

 

開催地 1回あたりの最大時間 合計時間
セントピーターズバーグ 15 150
ロングビーチ 20 200
バーバー 20 200
インディアナポリス(1回目) 20 200
デトロイト 15 150
ロードアメリカ 20 200
ミドオハイオ 20 200
トロント 20 200
インディアナポリス(2回目) 20 200
ナッシュビル 15 150
ポートランド 20 200
ラグナセカ 15 150

 

 

NTTインディカーシリーズ
2022年 ドライバーラインナップ

No. ドライバー チーム エンジン
4 ダルトン ケレット A.J. フォイト エンタープライズ シボレー
11 タチアナ カルデロン
11 J.R.ヒルデブランド
14 カイル カークウッド
26 コルトン ハータ アンドレッティオートスポート
ウィズ カーブアガジェニアン
ホンダ
27 アレクサンダー ロッシ アンドレッティオートスポート ホンダ
28 ロマン グロージャン
29 デブリン デフランチェスコ アンドレッティ スタインブレナー オートスポート ホンダ
98 マルコ アンドレッティ アンドレッティ ハータ オートスポート
ウィズ マルコ アンドレッティ & カーブアガジェニアン
ホンダ
5 パトリシオ オワード アロー マクラーレン SP シボレー
6 ファン パブロ モントーヤ
7 フェリックス ローゼンクヴィスト
8 マーカス エリクソン チップ ガナッシ レーシング ホンダ
9 スコット ディクソン
10 アレックス パロウ
48 ジミー ジョンソン
TBA トニー カナーン
18 デイビッド マルカス デイル コイン レーシング
ウィズ HMD モータースポーツ
ホンダ
51 佐藤 琢磨
23 サンティノ フェルッチ ドレイヤー & レインボールド レーシング シボレー
24 セージ カラム
20 コナー デイリー エド カーペンター レーシング シボレー
21 リナス ヴィーケイ
33 エド カーペンター
77 カラム アイロット ユンコス ホリンジャー レーシング シボレー
6 エリオ カストロネベス マイヤー シャンク レーシング ホンダ
60 シモン パジェノー
15 グラハム レイホール レイホール レターマン ラニガン レーシング ホンダ
30 クリスチャン ルンガー
45 ジャック ハーヴェイ
2 ジョセフ ニューガーデン チーム ペンスキー シボレー
3 スコット マクラフリン
12 ウィル パワー

 

No. ドライバー チーム エンジン
J.R.ヒルデブランド A.J. フォイト エンタープライズ シボレー
4 ダルトン ケレット
11 チャーリー キンボール
14 セバスチャン ブルデー
26 コルトン ハータ アンドレッティ オートスポート ホンダ
27 アレクサンダー ロッシ
28 ライアン ハンター レイ
29 ジェームズ ヒンチクリフ アンドレッティ スタインブレナー オートスポート ホンダ
98 マルコ アンドレッティ アンドレッティ ハータ オートスポート ウィズ
マルコ アンドレッティ & カーブアガジェニアン
ホンダ
5 パトリシオ オワード アロー マクラーレン SP シボレー
7 フェリックス ローゼンクヴィスト
86 ファン パブロ モントーヤ
59 マックス チルトン カーリン シボレー
8 マーカス エリクソン チップ ガナッシ レーシング ホンダ
9 スコット ディクソン
10 アレックス パロウ
48 ジミー ジョンソン
48 トニー カナーン
51 ロマン グロージャン デイル コイン レーシング
ウィズ リック ウェア レーシング
ホンダ
51 ピエトロ フィッティパルディ
18 エド ジョーンズ デイルコインレーシング
ウィズ バッサー サリバン
ホンダ
20 エド カーペンター エド カーペンター レーシング シボレー
21 リナス ヴィーケイ
47 コナー デイリー
06 エリオ カストロネベス マイヤー シャンク レーシング ホンダ
60 ジャック ハーヴェイ
16 シモーナ デ シルベストロ パレッタ オートスポーツ シボレー
15 グラハム レイホール レイホール レターマン ラニガン レーシング ホンダ
30 佐藤 琢磨
47 サンティノ フェルッチ
2 ジョセフ ニューガーデン チーム ペンスキー シボレー
3 スコット マクラフリン
12 ウィル パワー
22 シモン パジェノー

 

 

NTTインディカーシリーズ
2022年 開催スケジュール

ラウンド 日程 開催地
第1戦 2/27 セントピーターズバーグ
第2戦 3/20 テキサス
第3戦 4/10 ロングビーチ
第4戦 5/1 バーバー
第5戦 5/14 インディアナポリス
第6戦 5/29 インディアナポリス500
第7戦 6/5 デトロイト
第8戦 6/12 ロードアメリカ
第9戦 7/3 ミドオハイオ
第10戦 7/17 トロント
第11戦 7/23 アイオワ
第12戦 7/24 アイオワ
第13戦 7/30 インディアナポリス
第14戦 8/7 ナッシュビル
第15戦 8/20 ゲートウェイ
第16戦 9/4 ポートランド
第17戦 9/11 ラグナセカ

 

 

ラウンド 日程 開催地
第1戦 4/18 バーバー
第2戦 4/25 セントピーターズバーグ
第3戦 5/1 テキサス
第4戦 5/2 テキサス
第5戦 5/15 インディアナポリス
第6戦 5/30 インディアナポリス500
第7戦 6/12 デトロイト
第8戦 6/13 デトロイト
第9戦 6/20 ロードアメリカ
第10戦 7/4 ミドオハイオ
第11戦 7/11 トロント
第12戦 8/8 ナッシュビル
第13戦 8/14 インディアナポリス
第14戦 8/21 ゲートウェイ
第15戦 9/12 ポートランド
第16戦 9/19 ラグナセカ
第17戦 9/26 ロングビーチ

2021年5月14日、インディカーシリーズは新型コロナウイルス『COVID-19』の観戦拡大の影響を考慮し、カナダ・トロントでの大会の開催を断念することを発表しました。

 

ライセンス

インディカーシリーズへ参戦するためにはINDYCARとACCUS-FIA(Automobile Competition Committee for the United States – FIA)へライセンスを申請し、承認を得る必要があります。

ライセンス発給の承認には過去の実績に基づいた審査があり、有効期限は申請した年の12月31日までとなっています。

 

スーパーライセンスポイント

インディカーシリーズの年間ランキング10位までのドライバーには、F1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスポイントが与えられます。

過去3年においてスーパーライセンスポイントを40ポイント以上を獲得することでスーパーライセンスを取得できる資格が与えられます。

 

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
40 30 20 10 8 6 4 3 2 1

 

 

 

インディカーシリーズのフラッグ運用ルール

インディカーシリーズのフラッグルールは独自の運用ルールを定めており、F1に代表されるFIA公認のレースにおける国際モータースポーツ競技規則付則H項に準拠したフラッグの運用ルールと異なります。

 

 

 

公式予選

インディカーシリーズの公式予選はロードコースとオーバルコースで手順が異なります。また、オーバルコースでもインディ500とインディ500以外で手順が異なります。

 

ロードコース / ストリートコース

ロードコースやストリートコースで開催される場合、公式予選はセグメント1、セグメント2、セグメント3の3つのセグメントに分かれて実施します。

 

セグメント1

最初に、セグメント1が行われます。セグメント1はグループ1とグループ2の2つの走行グループに分かれ、10分間の走行時間内でタイム計測を行います。それぞれのグループの上位6台がセグメント2へ進出します。

各グループで上位6位に入れなかったドライバーは順位が決定します。グループ1で7位だったドライバーの予選順位は13位となります。グループ2で7位だったドライバーの予選順位は14位となります。以降はグループ1で8位だったドライバーは15位といったように順位が決定されます。

 

セグメント2

セグメント1から進出した12台によって争われます。10分間の走行時間内にタイム計測を行い順位を決定します。

上位6位のドライバーが次のセグメント3へ進出します。7位以下だったドライバーの順位は7~12位となります。

 

セグメント3

セグメント2から進出した6台によって争われます。6分間の走行時間内にタイム計測を行い1~6位の順位を決定します。最も速いタイムを記録したドライバーがポールポジションとなります。

 

ロードアメリカでの開催の場合、各セグメントの走行時間が2分間延長されます。

 

オーバルコース (インディ500を除く)

インディカーシリーズのインディ500を除いたオーバルコースでの公式予選は1台ずつ走行して記録されたタイム順で順位を争います。

走行順は獲得ポイントの少ない順で決定されます。ポイントが無い場合はくじ引きによって決定されます。

タイム計測を行う前に2周のウォームアップ走行を行います。その後、グリーフラッグが振られ、タイム計測が始まります。インディカーでは連続した2周のラップタイムの合計で順位を争います。

最も速いタイムを記録したドライバーがポールポジションとなります。

ダブルヘッダーのレースの場合、1周目のラップタイムの速い順によってレース1のスターティンググリッドを決定します。2周目のラップタイムの速い順によってレース2のスターティンググリッドを決定します。

 

オーバルコース (インディ500)

インディ500の公式予選は2日間にわたって行われます。公式予選に先駆けて、くじ引きが行われ、公式予選1日目の出走順が決められます。

インディ500の公式予選ではタイム計測を行う前に2周のウォームアップ走行を行います。レースディレクターが必要と判断した場合は3周のウォームアップ走行を行います。その後、グリーンフラッグが振られ、タイム計測を行います。インディ500の公式予選では連続した4周のラップタイムの平均速度で順位を争います。

 

Day 1

公式予選の1日目は『Day 1』と呼ばれます。Day 1では、くじ引きで決められた出走順にタイム計測を行います。

Day 1ではタイム計測後も走行終了時間までタイム計測を再度行うことができます。それまでに記録された結果を破棄してタイム計測をやり直す場合は『Line 1』と呼ばれる順番待ちに並び、順番が回ってくるとタイム計測を行います。

それまでに記録された結果を破棄せずにタイム計測をやり直す場合は『Line 2』と呼ばれるタイム計測の順番待ちに並びます。Line 1の順番待ちが無くならない限り、Line 2の順番待ちにタイム計測の順番は回ってきません。

このようにして、走行終了時刻までタイム計測を行い、Day 1の順位を決定します。

 

Day 2

公式予選の2日目は『Day 2』と呼ばれます。Day 2では、Day 1の33位から10位までのドライバーがタイム計測を行い、結果の良い順に10位から33位までを決定します。

次にDay 1の9位から1位のドライバーがタイム計測を行います。これを『Fast 9 (ファストナイン)』と呼びます。Fast 9での結果の良い順に1位から9位を決定します。

 

 

フルコースコーション

F1をはじめとしたFIAが定めるレギュレーションに準拠するレースにおいては、レース中、コース上に危険な状況が発生した場合は、セーフティカーが導入されます。

インディカーシリーズにおいても同様のルールがありますが、セーフティカー導入状態を『フルコースコーション』と呼びます。また先導車はセーフティカーではなく、ペースカーと呼びます。

オーバルコースでの開催の場合、コース上の落下物やクラッシュを伴わない単独のスピンのような他のカテゴリーでは軽微な危険として扱われる事象においても、非常に危険と判断され即座にフルコースコーションが導入されます。

ロードコースやストリートコースでの開催の場合においても、F1などとは異なり、マシンがコースを塞ぐような危険な状況でなくても、フルコースコーションが導入される場合があります。

インディカーシリーズではフルコースコーションの導入によって、マシンとマシンとの差が縮まるため、常に接近したレースを観ることができるのが特徴です。

 

フルコースコーション中のピットイン

フルコースコーションが導入された直後のピットインはトラブル車両を除いて禁止されています。

ペースカーがコースインし、ペースカーを先頭とした隊列が形成されると、レースコントロールからピットレーンオープンの合図があります。その合図の後から、ピットインすることができます。

インディカーシリーズにもセーフティカーラインのような運用があります。ピットロード入口のラインは『コミットメントライン』、ピットロード出口のラインは『ブレンドライン』と呼びます。

フルコースコーション導入直後でも既にコミットメントラインを通過していれば、ピットインは認められます。ピットアウトの際にコースを走行する車両の列に合流する場合の順位はブレンドライン通過時点の順位に従います。

 

 

 

タイヤ

インディカーシリーズで採用されるタイヤはファイアストンのワンメイクです。

ファイアストンは日本のタイヤメーカーであるブリヂストンの子会社でインディカーシリーズには1995年からタイヤを供給しています。

インディカーシリーズのドライタイヤは『プライマリータイヤ』と『オルタネートタイヤ』の2種類があります。プライマリータイヤはオルタネートタイヤに比べてグリップは劣りますが、耐久性に優れています。オルタネートタイヤはプライマリータイヤに比べてグリップが高く、耐久性に劣ります。

 

出典:indycar.com

 

オルタネートタイヤのサイドウォールには赤いペイントが施されることから『レッドタイヤ』と呼ばれます。一方、プライマリータイヤは『ブラックタイヤ』と呼ばれます。

ルーキードライバーはフリー走行1回目で使用できるタイヤ1セットを追加で購入することができます。購入した追加のタイヤはフリー走行1回目が終了した後に返却する必要があります。レースイベントによっては追加できない場合があります。

プライマリータイヤとオルタネートタイヤの供給数はレースイベント毎にあらかじめ定められています。

 

2022年 タイヤ供給数

開催地 プライマリー オルタネート ルーキー
セントピーターズバーグ 6 4 1
テキサス 11 0 0
ロングビーチ 6 4 1
バーバー 6 4 1
インディアナポリス(1回目) 6 4 1
インディアナポリス500 34 0 0
デトロイト 6 4 1
ロードアメリカ 7 4 1
ミドオハイオ 6 4 1
トロント 6 4 1
アイオワ x 2 14 0 0
インディアナポリス(2回目) 5 4 1
ナッシュビル 6 4 1
ゲートウェイ 9 0 0
ポートランド 6 4 1
ラグナセカ 6 4 1

 

雨用のウェットタイヤは2セット供給されます。

インディカーシリーズではタイヤウォーマーの使用は認められていません。

 

 

ポイント

インディカーシリーズではレースの順位に応じてドライバーとチームに対してポイントが与えられます。インディ500においては与えられるポイントは2倍に設定されています。

レース中にラップリーダーを記録したドライバーとチームにもポイントが与えられます。

公式予選でポールポジションを獲得したドライバーとチームにもポイントが与えられます。

チャンピオンシップタイトルはドライバー、チーム、エンジンマニュファクチャラーに設定されており、最も多くのポイントを獲得したドライバー、チーム、エンジンマニュファクチャラーがチャンピオンとなります。

 

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位
50 40 35 32 30 28 26 24 22 20 19

 

12位 13位 14位 15位 16位 17位 18位 19位 20位 21位 22位
18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8

 

23位 24位 25位 26位 27位 28位 29位 30位 31位 32位 33位
7 6 5 5 5 5 5 5 5 5 5

 

 

インディ500 (ダブルポイント)

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位 11位
100 80 70 64 60 56 52 48 44 40 38

 

12位 13位 14位 15位 16位 17位 18位 19位 20位 21位 22位
36 34 32 30 28 26 24 22 20 18 16

 

23位 24位 25位 26位 27位 28位 29位 30位 31位 32位 33位
14 12 10 10 10 10 10 10 10 10 10

 

 

ポールポジションに1ポイント

公式予選でポールポジションを獲得したドライバーとチームに1ポイントが与えられます。

レースがダブルヘッダー(1開催2レース)で開催される場合は、それぞれの公式予選におけるトップタイムのドライバーとチームへ1ポイントが与えられます。

 

インディ500における公式予選

インディ500の公式予選で与えられるポイントは他のイベントよりも多く設定されています。

 

1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位
9 8 7 6 5 4 3 2 1

 

 

ラップリーダーに1ポイント

レース中に1回でもラップリーダー(先頭を走行し周回すること)を記録したドライバーとチームには1ポイントが与えられます。

最も多くの周回でラップリーダーを記録したドライバーとチームには2ポイントが与えられます。

 

 

エンジンマニュファクチャラー

エンジンマニュファクチャラーポイントは各メーカーの上位2位のドライバーの順位に応じたポイントが与えられます。

レースで優勝したエンジンマニュファクチャラーには5ポイントが与えられます。

インディ500以外でポールポジションを獲得したエンジンマニュファクチャラーに1ポイントが与えられます。

インディ500でポールポジションを獲得したエンジンマニュファクチャラーに2ポイントが与えられます。

インディ500の初日で最も速いラップタイムを記録したエンジンマニュファクチャラーに1ポイントが与えられます。

インディ500の期間中に総走行距離2000マイルを達成したエンジンマニュファクチャラーはそのドライバーが獲得したポイントと同じポイントが与えられます。

 

 

歴代チャンピオン (1996~)

シリーズ ドライバー チーム
1996-1997 トニー スチュワート チーム メナード
1998 ケニー ブラック A.J. フォイト エンタープライゼス
1999 グレッグ レイ チーム メナード
2000 バディ ラジアー ヘメルガン レーシング
2001 サム ホーニッシュ Jr. パンサー レーシング
2002 サム ホーニッシュ Jr. パンサー レーシング
2003 スコット ディクソン チップ ガナッシ レーシング
2004 トニー カナーン アンドレッティ グリーン レーシング
2005 ダン ウェルドン アンドレッティ グリーン レーシング
2006 サム ホーニッシュ Jr. ペンスキー レーシング
2007 ダリオ フランキッティ アンドレッティ グリーン レーシング
2008 スコット ディクソン チップ ガナッシ レーシング
2009 ダリオ フランキッティ チップ ガナッシ レーシング
2010 ダリオ フランキッティ チップ ガナッシ レーシング
2011 ダリオ フランキッティ チップ ガナッシ レーシング
2012 ライアン ハンター レイ アンドレッティ モータースポート
2013 スコット ディクソン チップ ガナッシ レーシング
2014 ウィル パワー チーム ペンスキー
2015 スコット ディクソン チップ ガナッシ レーシング
2016 シモン パジェノー チーム ペンスキー
2017 ジョセフ ニューガーデン チーム ペンスキー
2018 スコット ディクソン チップ ガナッシ レーシング
2019 ジョセフ ニューガーデン チーム ペンスキー
2020 スコット ディクソン チップ ガナッシ レーシング
2021 アレックス パロウ チップ ガナッシ レーシング

※IRL (Indy Racing League)以降

 

 

関連サイト

 

 

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