Formula 1(フォーミュラ・ワン)は四輪レースの世界最高峰に位置するカテゴリーで一般的にF1と呼ばれます。F1は1950年にイギリスのシルバーストーンサーキットで初めて開催された歴史の長い四輪レースです。F1マシンはレース専用のタイヤが剥き出し(オープンホイール)のフォーミュラカーで、レースは世界各国で開催され、2018年シーズンは全21戦で行われます。
F1マシン
F1マシンは参戦するチーム(コンストラクター)がテクニカルレギュレーションに則って独自に制作されたマシンによって争われます。一見同じに見えるF1マシンですがチーム毎に全く異なるマシンとなっています。
F1マシンが速く走行できる理由は非常に高い空力性能によって、ダウンフォースと呼ばれるマシンを下方向に押し付ける力を発生させ高いスピードのままコーナリングすることができるためです。ストレートエンドでのトップスピードは他カテゴリーに比べて大差はありませんが、F1マシンの強いダウンフォースによってコーナリングスピードは他カテゴリーよりも突出しています。
シャーシは軽量で強固なカーボンファイバー(CFRP)製のモノコックが採用され、安全性を確保するためにFIAのクラッシュテストに合格する必要があります。
トランスミッションは8速+リバース1速とレギュレーションで規定されており、オートマチックトランスミッションやCVTは禁止されています。ステアリングにあるパドルシフトでシフトアップ、シフトダウンを行うため、クラッチ操作は不要となっています。
ブレーキはカーボンファイバー製のディスクブレーキが採用されています。非常に高いブレーキ性能を発揮するために高い技術力が要求されるため、ブレーキパッドやブレーキディスクはブレンボ社、ヒトコ社、カーボンインダストリー社といった限られたメーカーのみが提供を行っています。
パワーユニット
2014年から使用されている現在のF1のパワーユニットは1.6リッターV6ターボエンジンにERS(Energy Recovery System)と呼ばれるハイブリッドシステムが組み合わされたもので、メルセデスベンツ、フェラーリ、ルノー、ホンダの4社から供給されています。
ERSはMGU-KとMGU-Hから構成されており、MGU-Kはブレーキング時の減速エネルギーを電気エネルギーに変換し、MGU-Hはエンジンの排気熱を電気エネルギーに変換します。MGUはMotor Generator Unitの略でKはKinetic(動的)、HはHeat(熱)を意味します。
MGU-Kの回生量は1周あたり2MJに制限されていますが、MGU-Hの回生量に制限はありません。
変換された電気エネルギーはバッテリーなどのES(Energy Store)に蓄えられ、加速時にMGU-Kのモーターによって発生する駆動力がエンジンの出力をアシストします。MGU-Kの最大出力は120kW(約161馬力)でESからMGU-Kへの放出量は1周あたり4MJに制限されています。
またMGU-Hによるアシスト量に制限はありません。ただし、MGU-Hはコンプレッサーとタービンに直結しなければならず、直接駆動力を発生させることができないため、MGU-Hによってコンプレッサーを強制的に回しターボラグの改善に役立てます。
エンジン(ICE)とMGU-Kの合計によるパワーユニットの最大出力は900馬力以上と言われています。2014年から1レースで使用できる燃料の量が100kgに制限され、また、瞬間的な燃料流量も100kg/hに制限されているため、レースをコンスタントに速く走行するためには、低燃費で高出力なパワーユニットである必要があります。
パワーユニットは以下の6ユニットから構成されており、2018年シーズンでは1年間でそれぞれ3基ずつ使用することができます。4基目を使用すると10グリッド降格のペナルティとなるため、レースで勝つことを考えるとパワーユニットの信頼性が非常に重要となります。
DRS (Drag Reduction System)
現在のF1ではコース上でのオーバーテイク(追い越し)を増加させるためにDRSと呼ばれる独自のシステムが導入されています。DRSはサーキット毎に決められているDRS Detectionポイントで前方を走行するマシンとの差が1秒以内となったとき、ストレートなどに設定されているDRSゾーンでDRSを発動させることができます。DRSが発動するとリアウイングのエレメントが動き、空気抵抗が減少することで最高速度を10〜20km/h程度増加させることができオーバーテイクを容易にします。F1以外のカテゴリーではFIA F2やDTMでもDRSの導入が行われています。
2018年F1開催スケジュール
ラウンド | 日程 | グランプリ | レース結果 |
第1戦 | 3月25日 | オーストラリアGP | リザルト |
第2戦 | 4月8日 | バーレーンGP | リザルト |
第3戦 | 4月15日 | 中国GP | リザルト |
第4戦 | 4月29日 | アゼルバイジャンGP | |
第5戦 | 5月13日 | スペインGP | |
第6戦 | 5月27日 | モナコGP | |
第7戦 | 6月10日 | カナダGP | |
第8戦 | 6月24日 | フランスGP | |
第9戦 | 7月1日 | オーストリアGP | |
第10戦 | 7月8日 | イギリスGP | |
第11戦 | 7月22日 | ドイツGP | |
第12戦 | 7月29日 | ハンガリーGP | |
第13戦 | 8月26日 | ベルギーGP | |
第14戦 | 9月2日 | イタリアGP | |
第15戦 | 9月16日 | シンガポールGP | |
第16戦 | 9月30日 | ロシアGP | |
第17戦 | 10月7日 | 日本GP | |
第18戦 | 10月28日 | アメリカGP | |
第19戦 | 10月28日 | メキシコGP | |
第20戦 | 11月11日 | ブラジルGP | |
第21戦 | 11月25日 | アブダビGP |
F1と日本との関係
日本人F1ドライバー
1987年に中嶋悟が日本人初のF1フル参戦ドライバーとなってから、鈴木亜久里、片山右京、井上隆智穂、中野信治、高木虎之介、佐藤琢磨、山本左近、中嶋一貴、小林可夢偉といったフル参戦ドライバーをはじめ、スポット参戦も含めると数多くのF1ドライバーを排出しました。
日本企業
F1と日本との関係は深く、1964年にホンダが国内の自動車メーカーとして初めてF1に参戦しました。1965年にはF1初勝利を挙げ、第2期となる活動ではホンダエンジンの圧倒的なパワーとアイルトン・セナやアラン・プロストといったドライバーらの活躍によって、日本ではF1ブームが起きました。
1997年にはタイヤメーカーのブリヂストンがF1へタイヤ供給を行ったり、2002年にはトヨタもF1へ参戦し、2015年からはホンダが第4期の活動を開始するなど、常に日本の企業はF1と深い関係を築いてきました。
日本でのF1開催
日本では1976年に富士スピードウェイにて『F1世界選手権イン・ジャパン』が初めて開催され、翌年も富士スピードウェイにて開催されましたが1978年から1986年の間は空白の期間となります。しかしながら、1987年に鈴鹿サーキットで初めてF1が開催されてから現在まで日本でのF1開催は絶えることなく毎年開催され、F1日本グランプリはF1開催地の中でも歴史あるグランプリとなっています。