2024年 F1 第19戦 アメリカGP 開催概要

 

2024年 F1ドライバーになるために必要な『スーパーライセンス』

2024年

 

レーシングドライバーとしてF1に参戦するためにはFIA(国際自動車連盟)が発給する『スーパーライセンス』を取得する必要があります。

スーパーライセンスはF1に参戦するためだけのライセンスのことで、簡単には取得することができないため、レーシングドライバーにとって特別なライセンスであると言えます。

 

 

スーパーライセンスを取得するには

スーパーライセンスを取得するためにはドライバーは以下の条件を満たし、FIAへ申請する必要があります。

 

  • FIA国際Aライセンスを所持していること
  • 有効な運転免許証を所持していること
  • F1に参戦する時点で18歳以上であること
  • 以下に示すシングルシーターのレースシリーズに少なくとも2シーズン参戦していること
  • 申請前の3年間でスーパーライセンスポイントを40ポイント以上をを獲得していること

 

スーパーライセンスを取得するためには、申請前の過去3年間で以下の表に示すスーパーライセンスポイントを40ポイント以上獲得する必要があり、F1を目指すドライバーにとって、大きな課題となっています。

 

スーパーライセンスポイント

シリーズ 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位 10位
FIA F2 40 40 40 30 20 10 8 6 4 3
IndyCar 40 30 20 10 8 6 4 3 2 1
FIA F3 30 25 20 15 12 9 7 5 3 2
Formula E 30 25 20 10 8 6 4 3 2 1
WEC (LMP1) 30 24 20 16 12 10 8 6 4 2
Formula Regional European 25 20 15 10 7 5 3 2 1 0
Super Formula 25 20 15 10 7 5 3 2 1 0
WEC (LMP2) 20 16 12 10 8 6 4 2 0 0
SUPER GT (GT500) 20 16 12 10 7 5 3 2 1 0
Formula Regional Middle East 18 14 12 10 6 4 3 2 1 0
Formula Regional Americas 18 14 12 10 6 4 3 2 1 0
Formula Regional Japanese 18 14 12 10 6 4 3 2 1 0
IMSA Prototype 18 14 10 8 6 4 2 1 0 0
DTM 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
WTCC / WTCR 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
International Supercars 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
NASCAR 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
Indy Light 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
W Series 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
Euroformula Open 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
Super Formula Lights 15 12 10 7 5 3 2 1 0 0
Formula 4 12 10 7 5 3 2 1 0 0 0
WEC (LMGT-Pro) 12 10 7 5 3 2 1 0 0 0
Asian/ELMS Prototype 10 8 6 4 2 0 0 0 0 0
WEC (LMGT-Am) 10 8 6 4 2 0 0 0 0 0
IMSA GTLM 10 8 6 4 2 0 0 0 0 0
National F3 10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
Indy Pro 2000 10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
NASCAR National 10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
Toyota Racing Series New Zealand 10 7 5 3 1 0 0 0 0 0
International GT3 Series 6 4 2 0 0 0 0 0 0 0
FIA karting World (Senior) 4 3 2 1 0 0 0 0 0 0
FIA karting Continental (Senior) 3 2 1 0 0 0 0 0 0 0
FIA karting World (Junior) 3 2 1 0 0 0 0 0 0 0
FIA karting Continental (Junior) 2 1 0 0 0 0 0 0 0 0

2022/12/7 現在

 

スーパーライセンスポイント

スーパーライセンスポイントが導入される以前のF1では、じゅうぶんと言える成績を残していないドライバーであっても、資金力があればF1マシンのシートを買うことができました。

また、実力のあるドライバーであっても、FIA F2のようなF1直下のカテゴリーに参戦することなく、ジュニア・フォーミュラと呼ばれる下位カテゴリーから一気にF1へステップアップするドライバーもいました。

このような状況を鑑み、FIAはスーパーライセンスポイントの導入を決定し、現在のレギュレーションでは一定レベルの成績を残したドライバーだけがスーパーライセンスを取得できるようになっています。

2021年まで第4期のF1活動を行なっていたホンダは日本人F1ドライバーを誕生させるため、ホンダのスカラシップを獲得したドライバーをFIA F2やFIA F3へ送り込みました。

これらのカテゴリーのレベルが高いだけでなく、獲得できるスーパーライセンスポイントが多いことが理由であると考えられます。

その結果、2020年にFIA F2へ参戦した角田裕毅選手がシリーズ3位の成績を残し、スーパーライセンスポイントの取得条件を満たしました。これにより、2021年にアルファタウリからのF1参戦が実現しました。

また、国内で開催されている『スーパーフォーミュラ』や『SUPER GT』は獲得できるスーパーライセンスポイントが比較的多いことから世界で認められたレースシリーズであると言えます。

 

 

プラクティス・スーパーライセンス

F1ではスーパーライセンスの取得資格を満たしていないドライバーであっても、金曜日に行われるフリー走行への出場が認められる『プラクティス・スーパーライセンス』を取得して、F1の公式セッションへ参加することができるようになっています。

プラクティス・スーパーライセンスによって、FIA F2などのF1参戦を目指すカテゴリーに参戦しているドライバーにF1マシンをドライブするチャンスが与えられるようになっています。

 

  • FIA国際Aライセンスを所持していること
  • 有効な運転免許証を所持していること
  • F1に参戦する時点で18歳以上であること
  • 申請時にFIA F2で6大会に出場していること、もしくは過去3年以内で獲得したスーパーライセンスポイントが25ポイント以上であること。
  • 申請の180日以内にF1マシンによる走行を2日間で最低300kmの距離を走行していること

 

 

スーパーライセンスの停止

F1では、レース中の車両同士の接触などの違反行為を行ったドライバーに対して、レース結果に影響するグリッド降格やタイム加算などのペナルティだけでなく、『ペナルティポイント』が加算される場合があります。

加算されるペナルティポイント数は違反の重さによって変化します。

ペナルティポイントが累積で12ポイントに達するとスーパーライセンスが停止となり、次のレースイベントに参加できなくなります。

ライセンスの停止により科せられる1戦の出場停止を消化すると、12ポイントのペナルティポイントが減算されます。

ペナルティポイントはスーパーライセンスに紐付けられ、科せられたペナルティポイントは12ヶ月にわたって残り続けます。そのため、シーズンが終了すると科せられたペナルティポイントがゼロになるわけではないため注意が必要です。ペナルティポイントは科せられてから12ヶ月が経過すると消滅します。

 

 

レギュレーション

2024 FORMULA 1 SPORTING REGULATIONS

2024/2/13発行版

4) LICENCES

4.1 All drivers, Competitors and officials participating in the Championship must hold an FIA Super Licence. Applications for Super Licences must be made annually to the FIA through the applicant’s ASN.

4.2 With the exception of a reprimand or fine, when a penalty is applied under the Code or Article 54.3 the stewards may impose penalty points on a driver’s Super Licence. If a driver accrues twelve (12) penalty points his licence will be suspended for the following Competition, following which twelve (12) points will be removed from the licence.

Penalty points will remain on a driver’s Super Licence for a period of twelve (12) months after which they will be respectively removed on the twelve (12) month anniversary of their imposition.

 

 

国際モータースポーツ競技規則 付則L項

第1章 FIA国際ドライバーライセンス

第13条 スーパーライセンスの資格と発給条件
FIAフォーミュラワンのスーパーライセンスはFIAによって発給される。

13.1)資格
13.1.1 ドライバーは、現行のFIA国際グレードAライセンスの所持者でなければならない。

13.1.2 スーパーライセンスの初回申請の際、ドライバーは有効な運転免許証の所持者でなければならない。

13.1.3 ドライバーは、最初に参加する週末のF1レースの開始時点で少なくとも18才でなければならない。

13.1.4 a) スーパーライセンスの初回申請の際、または本条項13.1.6 c)に基づきスーパーライセンスを申請する際は、ドライバーは国際スポーツ競技規則、およびF1競技規則の最重要事項に関する質問セッションを成功裡に修了しなければならない。

b) すべてのF1スーパーライセンスの要請においては、当該F1チームは、国際モータースポーツ競技規則およびF1競技規則の最重要事項についてのブリーフィングをドライバーとともに開催したことをF1スーパーライセンス申請書を介して証明しなければならない。

13.1.5 ドライバーは、付則1にあるいずれかのシングルシーターの選手権での、2つのフルシーズンにおいて、各々少なくとも80%に参戦していなければならない。

13.1.6 更にドライバーは、以下の必要条件の少なくとも1つを満たさなければならない:

a) 申請前の3年間に少なくとも40ポイントを累積する。FIAは次のいずれかで累積したポイントのいずれか高い方を考慮する(a)申請日直前の3カレンダー年間、あるいは(b)申請のカレンダー年に累計したポイントに加えて申請日直前の2カレンダー年間。すべてのポイントは付則1に掲載される。(a)の申請日の直前の3カレンダー年間が2020年または2021年を含む場合、FIAは、申請日の直前の4カレンダー年間のうち、いずれかの3カレンダー年間に蓄積された最高ポイント数を考慮する。(b)の申請日の年の直前の2カレンダー年間が2020年または2021年を含む場合、FIAは、申請のカレンダー年のポイントに加えて、申請日の年の直前の3カレンダー年間のうち、いずれかの2カレンダー年間に蓄積された
最高ポイント数を考慮する。

b) スーパーライセンス(練習専用のスーパーライセンスを除く)を取得しており、申請前に過去3年間のいずれかでFIAフォーミュラ1世界選手権のフリー走行中に100km以上完走したことがある。

c) 過去3年の間より前にスーパーライセンス(練習専用のスーパーライセンスは除く)が与えられたことがある。この場合、ドライバーは、シングルシーターのフォーミュラ車両において、近年中に一貫して突出した才能があるとFIAで独自に判断されなければならない。

d) スーパーライセンスポイントを30点以上獲得しているが、付則1に記載された選手権の1つ以上に参加している間に、FIAの独自の判断で、その者のコントロールが及ばない状況あるいは不可抗力により、上記a)からc)のいずれかに該当する資格を得ることができないと判断された者。
さらに、b)、c)およびd)について:
当該F1チームは申請に先立つ180日以内に申請者が相当とするフォーミュラワンの車両(1)で、最低300kmをレーシングスピードで最大2日間の間に走行していることを、テストを行った国のASNが証明されるか、FIAフォーミュラワン世界選手権ドライバー部門対象のイベント中に申請者が行ったことを示さなければならない。ドライバーがヒストリックカーで最低300kmを走行したという場合、当該F1チームは、F1スーパーライセンス申請書式にて、当該ドライバーがすべての関連する現行車両の制御とシステムについて正しく習熟するためのブリーフィングを行ったことを証明しなければならない。
(1) 現行車両、以前の車両あるいはヒストリックカーはF1競技規則で定められたもの。

13.2) 練習専用のスーパーライセンスの取得要件

13.2.1 ドライバーは現在有効なFIA国際グレードAライセンスを保有していなければならない。

13.2.2 練習専用のスーパーライセンスの初回申請の際、ドライバーは有効な運転免許証の所持者でなければならない。

13.2.3 ドライバーは、最初に参加するF1競技大会の開催時点で少なくとも18才でなければならない。

13.2.4 a) 練習専用のスーパーライセンスの初回申請時ドライバーはFIAフォーミュラ2選手権の6つの競技会を完了しているか、前の3年以内で累積25ポイントを獲得していなければならない。申請日の直前の3カレンダー年に2020年または2021年が含まれている場合、FIAは申請日の年の直前の4カレンダー年のうち、いずれか3カレンダー年で累積した最も高いポイントを考慮する。さらにドライバーは国際モータースポーツ競技規則およびF1競技規則の最重要項目に関する質問セッションを成功裡に終了させなければならない。

b) すべての練習専用のスーパーライセンスの要請においてドライバーは、FIAフォーミュラ2選手権のフルシーズンを完了しているか、前の3年以内で累積25ポイントを獲得していなければならない。さらに、当該F1チームは、国際モータースポーツ競技規則およびF1競技規則の最重要事項についてのブリーフィングをドライバーとともに開催したことを、F1スーパーライセンス申請書を介して証明しなければならない。

13.2.5 ドライバーは、シングルシーターのフォーミュラカーで突出した才能があることを示し、FIAにより認められた者。当該F1チームは、申請に先立つ180日以内に申請者が相当とするフォーミュラワンの車両(1)で、最低300kmをレーシングスピードで最大2日間の間に走行していることを、テス
トを行った国のASNが証明していることを示さなければならない。ドライバーがヒストリックカーで最低300kmを走行したという場合、当該F1チームは、F1スーパーライセンス申請書式にて、当該ドライバーがすべての関連する現行車両の制御とシステムについて正しく習熟するためのブリーフィングを行ったことを証明しなければならない。

13.2.6 ドライバーは12ヵ月は試行期間とされ、練習専用のスーパーライセンスは仮所持であり、いつでも再審査を受けることになる。

(1) 現行車両、以前の車両あるいはヒストリックカーはF1競技規則で定められたもの。

13.3) 申請手順

a) 申請者が参戦しようとする最初のFIAフォーミュラワン世界選手権競技の車両検査の14日前までに申請を完了しなければならない。やむを得ない理由により選手権のドライバー交代をする場合は、その競技の最初の車両検査が始まる48時間以上前にFIAに申請が受理されていなければならない。

b) 現有の競技ライセンスを発給したASNは、ドライバーの競技記録、現有の国際Aライセンスナンバーとともに特別な推薦状を一緒に提出しなければならない。

c) ドライバーは、完璧なスーパーライセンス申請書をFIAに提出しなければならない。

d) 年間のスーパーライセンス料金がFIAに支払われていなければならない。

13.4) 発給条件

13.4.1 13.1)あるいは13.2)および13.3)の条件を満たしていれば、FIAはスーパーライセンスを発給する。

13.4.2 スーパーライセンスは発給した年の末日まで有効である。

13.4.3 スーパーライセンスを取得したドライバーについて、見習い期間である初のフォーミュラワンレースの後12ヵ月の間は、いつでも再審査が行われる。

 

 

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