【12/1新着】F1 第15戦 バーレーンGP クビアト選手とストロール選手の接触

 

『トラックリミット』とは?

 

トラックリミット

サーキットでは、どこでも走行して良いわけではなく、レギュレーション(規則)で決められた『走路』を走行しなければならないことになっています。

基本的に走路はアスファルト舗装されており、一般的に『コース』と呼ばれる部分のことです。アスファルト舗装されていない芝生やグラベルなどのランオフエリアの部分は走路とは認められていません。

サーキットの安全性向上に貢献『ランオフエリア』

 

そのため、速いラップタイムを記録するために、コーナーをショートカットして走行するなど、意図的に走路を外れて走行することが禁止されています。

意図的に走路を外れて走行することを、『走路外走行』と呼び、レギュレーション違反と判定される行為となります。F1などでは『トラックリミット (Track Limit)』と呼ばれます。国内では、『四輪脱輪走行』、略して『四脱(よんだつ)』と呼ぶこともあります。

 

 

走路の定義

サーキットにおいて走行が認められている走路の定義は国際モータースポーツ競技規則 O項に記載されています。O項には『モーターレーシングサーキット公認の手続き』の内容が記載されており、主に四輪レースを開催するために必要なサーキットの要件が定められています。

レギュレーションにおいては、走路は『トラック』と呼び、トラックは『サーキット競技のために特別に建設あるいは転用された走路』と定義されています。

走路は両端を最低10cm幅の白線で縁取られなければならない規則になっています。つまり、コース両端に引かれている白線と白線の内側が走路と見なされます。ちなみに、白線上は走路に含まれます。

 

国際モータースポーツ競技規則 付則O項

2. 定義
- トラック:サーキット競技のために特別に建設あるいは転用された走路をいう。トラックはレーシング表面の外側の縁によって区画される。

7. サーキットの構成要素
7.6 トラックエッジ、バージおよびランオフエリア
他にピット出口と走路進入口のような特徴のために表示されているものがない限り、常設トラックは、その両内側の全長に沿って、滑り止め塗料によって明確に示された不断で最低10cm幅の白線と、通常1m~5mの幅で均一な表面のしっかりとしたバージによって縁取られなければならない。これらバージは、トラックの横方向の側面の連続した延長線上でなくてはならず、トラックとバージとの間には段差がないものとする。また、その変り目部分は極めてなだらかなものでなくてはならない。

 

走路はコース両端の白線と白線の間

出典:supergt.net

 

走路外走行の禁止

レーシングカーがサーキットを速いラップタイムで走行するためには、コース端にある赤や白のゼブラでペイントされた『縁石』をうまく使う必要があります。ただし、縁石はレギュレーションでは走路と認められていません。そのため、タイヤ4本すべてが走路を外れて走行するとトラックリミットと判定されます。

したがって、車両がわずかでも白線の上を走行している必要があります。言い換えると、タイヤが1本でも白線を踏んでいれば、トラックリミットと判定されることはありません。

 

トラックリミットをすると

トラックリミットによってラップタイムが向上したり、順位が上がったりするなどしてアドバンテージを得たと判定された場合はペナルティが科される場合があります。

公式予選では当該ラップのタイムが抹消されたり、グリッド降格などのペナルティが科されるなどの対応がとられます。

決勝では複数回のトラックリミットが確認されるとドライブスルーペナルティやタイムペナルティなどのペナルティが科される場合があります。

トラックリミットの行為自体がレギュレーションで認められていないため、アドバンテージの有無に関わらず、違反と判定される場合もあります。

トラックリミットの禁止については『国際モータースポーツ競技規則 付則L項』の第4章に記載されています。L項に記載の内容が、FIAが定めるすべての四輪モータースポーツに対して適用される共通のレギュレーションとなっています。

 

国際モータースポーツ競技規則 付則L項

第4章 サーキットにおけるドライブ行為の規律
第2条 追い越し、車両のコントロールと走路の範囲

c) ドライバーは常に走路を使用しなければならない。疑義を避けるため、走路端部を定めている白線は走路の一部と見なされるが、縁石は走路の一部とはみなされない。
理由のいかんにかかわらず車両が走路を退去した場合、下記2.d)を侵さずにドライバーは再び合流することができる。しかしながら、その再合流は、それを行うことが安全であり、その実施によって優位に立つことがない場合にのみ実施できる。走路に車両の一部分も接触していない状態であれば、ドライバーは走路を退去したものと判断される。

 

トラックリミットの一例

コーナーイン側のショートカット

コーナー立ち上がり時のオーバーラン

 

 

走路を外れた車両は安全にコースへ復帰しなければならない

ブレーキのタイミングを間違えてオーバーランするなどして、意図的ではなく、走路を外れてしまう場合もあります。そのような場合は、アドバンテージを得ることなく、安全にコースへ復帰しなければならないことになっています。

走路を外れた車両がコースへ復帰する際に、コース上を走行する他の車両の走行を妨害したり、接触したりするなどするとペナルティが科せられる場合があります。

 

2019年 FIA Formula 1 第7戦 カナダGP

ドライビングミスによりオーバーランをして走路を外れてしまったフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手がコースに復帰するときに、後ろを走行していたルイス・ハミルトン選手の進路を妨ぐような形となりました。

セバスチャン・ベッテル選手はトップの順位を守ることができましたが、この行為が危険なコースへの復帰と判定され、セバスチャン・ベッテル選手に5秒のタイムペナルティが科されました。

トップでチェッカーフラッグを受けたセバスチャン・ベッテル選手でしたが、このタイムペナルティにより、メルセデスのルイス・ハミルトン選手と順位が入れ替わり、2位となってしまいました。

 No.5 セバスチャン・ベッテル
タイムペナルティ 5秒
UNSAFE RE-ENTRY AND FORCING ANOTHER DRIVER OFF THE TRACK

 

国内サーキットの主なトラックリミットポイント

鈴鹿サーキット
  • スプーンカーブ

 

富士スピードウェイ
  • コカコーラ コーナー

 

スポーツランドSUGO
  • レインボーコーナー

 

筑波サーキット
  • 最終コーナー

 

まとめ

モータースポーツでトラックリミットと騒がれるようになったのは最近のことです。古くからあるサーキットでは走路を外れたらすぐに芝やグラベルでできたランオフエリアになっており、走路を外れると速く走行することができなかったためです。

サーキットの安全性を高めるために、新たに建設されたサーキットのランオフエリアのほとんどはアスファルト舗装されています。また、古くからあるサーキットにおいてもグラベルのランオフエリアをアスファルト舗装に変更する改修も進められています。

アスファルト舗装されたランオフエリアを通過すると、タイムロスにならないばかりか、逆にタイムアップしてしまうケースが増えてしまいました。その結果、現在のようにトラックリミットが厳しく監視されるようになってしまいました。

モータースポーツを観戦しているファンの立場からすると、エキサイティングなレースを見せてもらえれば、トラックリミットなんてどうでも良いことだと思います。ただし、スポーツである以上、レースコントロールはレギュレーションを守っているかどうかを監視する必要があります。

トラックリミットに対して、現在のF1が正しい方向に進んでいるとは思えないです。そのため、FIAにはレギュレーションとエキサイティングなレースを両立できる新たな策を考えていただきたいと思います。

 

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