【12/1新着】F1 第15戦 バーレーンGP クビアト選手とストロール選手の接触

 

サーキットの安全性向上に貢献『ランオフエリア』

 

モータースポーツを長い間、観戦している人なら常識だと思いますが、『ランオフエリア』とは何かご存じでしょうか。

ランオフエリアはサーキットの走路(トラック)の外のエリアのことを意味します。走路はコースの両端に引かれている白線と白線の間のエリアであり、レーシングカーが走行を認められている場所のことです。タイヤ1本でも走路内を走行していれば問題ありません。

サーキットを速く走行するために、意図的に走路外を走行した場合はトラックリミット違反と判断され、ペナルティが科される可能性があります。しかしながら、ブレーキングやコーナリングでミスをして、コントロールを失ってしまった結果、やむを得ず走路の外に出てしまう場合もあります。

 

通常のサーキットであれば走路を外れても、すぐにガードレールに衝突することはありません。ランオフエリアが広く作られてあるため、ガードレールにぶつかる前に減速や停止をすることができ、車両にも大きなダメージを負うことは無く、走行を再開することができます。

ランオフエリアは小石や砂、もしくは芝で構成されています。モータースポーツでは、ランオフエリアの小石や砂を『グラベル』、芝を『グリーン』と呼んだりします。

また、完成が比較的新しい近代的なサーキットのランオフエリアはアスファルトで舗装されていることが多いです。

 

 

グラベル

サーキットは広いランオフエリアがあるからこそ、高速でも安全に走行することができると考えられます。歴史のある古いタイプのサーキットのランオフエリアは基本的に芝やグラベルで構成されています。

グラベルは土というよりも小石や砂に近く、踏むとフカフカして足が沈み込みます。このフカフカしたグラベルの性質によって、コントロールを失った車両が高速でコースアウトしてもガードレールにぶつかることなく、減速することができます。

土の場合、踏み固められてしまうと、コースアウトした車両の速度をじゅうぶんに落とすことができなくなる可能性があります。また、雨が降ると砂や土が混じった泥水がコース内へ流れ出てしまい、雨天時の走行に影響を与える可能性も出てきます。

グラベルによってサーキットの安全性が向上していますが、弊害もあります。レーシングカーは車高が低いこともあり、グラベルにはまり込んでしまう場合があります。グラベルにはまり込んだ車両は自力で脱出することが難しく、F1では、自力で脱出できなければ、レースをリタイアしなくてはなりません。

ランオフエリアがグラベルで構成されているサーキットでは1度のミスでスピンをしただけで、レースをリタイアしなければならないこともあります。

また、ストップしてしまった車両を回収するために、マーシャルがコース脇で作業を行わなければならない場合があります。F1の場合、クレーンが装備されたホイールローダーのような作業車でマシンを吊り上げて撤去するのですが、最近は作業車がコース脇で作業を行う場合は、ほとんどの場合、セーフティカーを導入して作業を行っています。そのため、レース展開にも影響を与えてしまいます。

 

ランオフエリアのアスファルト化

グラベルを用いたランオフエリアに代わり、比較的、最近に建設された近代的なサーキットでは、ランオフエリアがアスファルト舗装されていることが多いです。

国内では2005年にリニューアルした富士スピードウェイがアスファルト舗装されたランオフエリアを有しています。

出典:toyotagazooracing.com

ランオフエリアをアスファルト舗装化すると、コントロールを失ってコースを外れた車両がガードレールに衝突する前にじゅうぶんに減速できなければならないため、ランオフエリアが非常に広く作られています。

ランオフエリアをアスファルト舗装化することで、ドライバーにとっては、ミスをしてもグラベルにはまってリタイアを強いられることが無くなり、タイムロスも小さくなりました。そのため、より速く走行するために限界まで攻めることができるようになっています。また、スピンやオーバーランをしても、自力でコースに復帰できる可能性が高いため、レース中にマーシャルによる車両回収作業を行う頻度も減ります。

デメリットとしては、走路の外を走行してもタイムロスが少ないため、走路外走行によってアドバンテージが生まれてしまう懸念があります。そのため、ドライバーにとってはトラックリミットに注意して走行する必要があり、コースマーシャルやレースコントロールはトラックリミットを監視する必要が出てきます。

 

 

市街地コース

モータースポーツが開催されるサーキットはどのサーキットもランオフエリアが広く作られているかと言うと、そうではありません。例えば、市街地コースやオーバルコースなどが挙げられます。

市街地コースのランオフエリアはほとんどありません。一般道を閉鎖してレースが開催されるため、ランオフエリアを確保するだけの広いスペースが無いためです。そのため、アクシデントが発生するとガードレールに衝突してしまいます。そして、コース上にマシンが残ってしまったり、パーツが散乱してしまったりするため、セーフティカーが導入されやすいレース展開となります。

 

出典:formula1.com

 

オーバルコース

オーバルコースの場合、コース外側にはランオフエリアがありません。また、ガードレールではなく、コンクリートウォールもしくは『セーファー・バリア』、『セーファー・ウォール』などと呼ばれる緩衝材の入った壁が設置されています。

コントロールを失ったマシンはウォールに衝突することになりますが、セーファー・バリアの進化によって、車両への衝撃が吸収されたり、マシンも高速でのクラッシュに対して耐えられる強度のある設計がされています。

 

まとめ

最近のサーキットのランオフエリアは、安全性向上の観点からほとんどがアスファルト舗装となっています。いつからランオフエリアをアスファルト舗装化するようになったのかは、よく分からないのですが、2000年よりも前に建設されたサーキットはランオフエリアがまだグラベルのところが多いかと思います。

国内では1997年に完成したツインリンクもてぎのランオフエリアはグラベルで構成されています。一方で2005年にリニューアルした富士スピードウェイのランオフエリアはほとんどがアスファルト舗装となっています。また、古くからのサーキットにおいては、グラベルのランオフエリアの一部をアスファルト舗装化する改修が行われたりしています。

二輪のレースを開催するようなサーキットの場合、転倒したバイクやライダーのスピードを減速させるために、グラベルのランオフエリアが効果的な場合が多いです。二輪と四輪の両方のレースを開催しているサーキットなどは、コース近くはアスファルト舗装、コースから離れたところはグラベルのままといったハイブリッド方式となっているところもあります。国内では、鈴鹿サーキット、ツインリンクもてぎ、スポーツランドSUGOのようなサーキットでこのようなランオフエリアを採用しています。

先日、F1ベルギーグランプリの開催地であるスパ・フランコルシャンサーキットがサーキット改修計画を発表し、アスファルト舗装したランオフエリアをグラベルに戻すことを明らかにしました。FIMのライセンスを取得し、二輪レースを開催するためとのことです。

 

サーキットの安全性が高いことに越したことはありませんが、グラベルのランオフエリアが良いのか、アスファルト舗装のランオフエリアが良いのかは、どちらも一長一短なので、はっきりと判断することは難しいと考えます。

富士スピードウェイのようにランオフエリアのほとんどがアスファルト舗装されているサーキットの安全性は高そうですが、雨が降ると、マシンはアスファルト上を滑ってしまうので、ランオフエリアが広く作られていても、結局、タイヤバリアにクラッシュしてしまうケースもあります。

グラベルのランオフエリアでは、マシンがグラベルにはまってしまうと、最近はすぐにセーフティカー導入となり、レースが一時中断となってしまいます。

モータースポーツの魅力と安全性を両立するのは難しいですが、これからも、サーキットのレイアウトや設計も進歩していくと考えられます。将来に向けて、新たなランオフエリアが登場するかもしれません。

 

 

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