2022年
2023年シーズンの内容については
こちらを参照ください。
レーシングカーにとって、タイヤはサーキットを速く走るために必要不可欠な要素であり、レースカテゴリーによってタイヤに関するレギュレーションが様々で運用も異なります。
例えば、2022年シーズンのF1ではタイヤはピレリの『ワンメイク』と定められていますが、SUPER GTでは複数のタイヤメーカーがタイヤを供給する『マルチメイク』が認められています。また、使用できるタイヤの種類や本数は様々でタイヤウォーマーの使用に制限がある場合もあります。
スーパーフォーミュラにおいても、競技を公平に行うために独自のタイヤに関するレギュレーションが存在します。本記事では、全日本スーパーフォーミュラ選手権の2022年シーズンにおけるタイヤに関するレギュレーションについて解説します。
スーパーフォーミュラのタイヤはヨコハマタイヤのワンメイク
2022年シーズンのスーパーフォーミュラのタイヤは『ヨコハマタイヤ』のワンメイクです。
スーパーフォーミュラの前身である全日本選手権フォーミュラ・ニッポンが発足した当初から、ブリヂストンがタイヤの供給を行ってきましたが、2015年をもって終了となりました。2016年からヨコハマタイヤがスーパーフォーミュラにタイヤを供給しています。
スーパーフォーミュラのドライタイヤは1スペック
2021年シーズンのスーパーフォーミュラのドライタイヤのスペックは2020年シーズンに続いて1スペックでした。
2022年シーズンのスーパーフォーミュラのドライタイヤのスペックやルールに関しては未発表であるため、詳細が発表され次第、内容を更新します。
スーパーフォーミュラのドライタイヤのサイドウォールには赤いペイントが施されています。
2016年 1スペック
2016年にヨコハマタイヤがスーパーフォーミュラにタイヤ供給を開始した当時は、『ミディアムタイヤ』の1スペックのみの供給でした。
2017年 1スペック → 2スペック
2017年シーズンの第4戦ツインリンクもてぎから従来のミディアムタイヤに加えて『ソフトタイヤ』が導入され2スペックとなりました。レース中にタイヤ交換を行い、ソフトタイヤとミディアムタイヤの両方の使用が義務付けられました。
2018年/2019年 2スペック
2019年、2019年シーズンでは、『ソフトタイヤ』と『ミディアムタイヤ』の2スペックが継続されました。2スペックタイヤに関するルールは大会毎に発行される特別規則書に記載されるため、大会ごとにレギュレーションが変化しますが、基本的には以下のとおりです。
- ソフトタイヤとミディアムタイヤを混在して装着することはできない。
- 公式予選Q1で使用するタイヤはミディアムでなければならない。
- 決勝レースではタイヤ交換が義務付けられる。
- 決勝レースではミディアムタイヤとソフトタイヤの両方を装着しなければならない。
- 決勝レース中にウェットタイヤを装着した場合はタイヤ交換の義務は無くなる。
- 赤旗によりレースが終了してしまった場合、タイヤ交換義務を完了していなかったドライバーには競技結果にタイムが加算される
2020年〜 1スペック
2019年は2スペックタイヤによって争われていましたが、2020年シーズンは『ソフトタイヤ』の1スペックへ変更されることになりました。
パフォーマンスの高いソフトタイヤの寿命が想定よりも長かったことから、レースの大半をソフトタイヤで走りきることができていたことが1スペック化となった原因と考えられています。
2020年シーズンの開幕戦は、レース中にピットストップを行う必要がありませんでしたが、第2戦からレース中のタイヤ交換が義務化され、そのルールは2021年シーズンも継続されました。
タイヤ供給数
ひとつの大会期間中に1レース、車両1台あたりに供給されるタイヤはドライタイヤが最大6セット、ウェットタイヤが最大6セットと定められています。
供給される6セットのドライタイヤは車検時にすべてマーキングが施され、マーキングされていないドライタイヤを使用することは認められていません。
2021年シーズンは、1大会あたり車両1台が使用できるドライタイヤは最大6セットと定められていましたが、2022年シーズンはレギュレーション変更により、1大会あたりの車両1台が使用できるドライタイヤは1レースごとに最大6セットへ変更されました。
1大会2レース制のフォーマットで開催される場合は、1レースごとに最大6セットのドライタイヤが使用できるようになります。
ドライタイヤ
最大6セット (前輪12本/後輪12本)
ウェットタイヤ
最大6セット (前輪12本/後輪12本)
タイヤウォーマーの使用禁止
2020年シーズンのスーパーフォーミュラではタイヤウォーマーの使用が禁止されていました。ところが、新型コロナウイルス『COVID-19』の感染拡大の影響を考慮して、開催スケジュールが8月から12月へ変更されたため、想定されていない気温の低い時期にレースが開催されることになりました。
タイヤの温まりが不十分な状況ではグリップが確保できずに安全性に対する課題があったことから、2020年シーズンではレギュレーションが変更され『当該競技会特別規則もしくは公式通知で示される方法』でのタイヤへの加熱が認められることになりました。
しかし、F1で使用されているようなブランケットタイプのタイヤウォーマーの使用は禁止され、テント内に保管したタイヤをヒーターで温めるといった方式に留まりました。
2021年シーズンにおいては、『公式通知に示す方法以外での、タイヤに対する走行前の意図的な加熱は一切禁止される。』とレギュレーションが変更され、基本的にはタイヤウォーマーの使用は禁止されるものの、公式通知が発行された場合は、例外的にタイヤへの加熱が認められることになります。
このルールは2022年シーズンも踏襲されます。
レース中のタイヤ交換義務
2021年シーズンのスーパーフォーミュラではレース中にタイヤ交換が義務付けられていました。
先頭車両が10周回目の第1セーフティカーラインを通過した時点から、先頭車両が最終周回に入るまでの間に最低1回のタイヤ交換を完了していなければならないルールでした。
2022年シーズンにおけるタイヤ交換義務などのルールについては詳細が発表され次第、掲載します。
2020年/2021年
2020年シーズンのスーパーフォーミュラは新型コロナウイルス『COVID-19』の感染拡大の影響によって、日曜日1日で公式予選と決勝を行うワンデー開催となりました。その一環で決勝中の給油が廃止され、レース距離を短縮して開催されました。
開幕戦のツインリンクもてぎではレース中のタイヤ交換が義務付けられていなかったため、基本的にはピットストップを行わないレース展開となりました。そのため、レース中の順位変動が少なく、ドライバーや観客から不評であったことから、第2戦以降においてはレース中のタイヤ交換が義務付けられ、レース戦略やピットストップによる順位変動の増加が図られることになりました。
レース中に『ウェット宣言』が行われ、ウェットタイヤへ交換した場合は、ドライタイヤのタイヤ交換義務は適用されなくなります。
2021年シーズンも、2020年シーズンと同等のタイヤ運用ルールで開催されました。
タイヤの保管方法
2020年のレギュレーション変更において、タイヤの保管方法が明確化されました。
スーパーフォーミュラはタイヤウォーマーの使用が禁止されていますが、タイヤの温度を上げるためにタイヤを密閉された空間や外気温よりも著しく高温になる空間に保管することがレギュレーションにより禁止されました。
ウェット宣言
スーパーフォーミュラでは路面がウェット状態であると判断された場合に、競技長は『ウェット宣言』を行います。
ウェット宣言とはウェットタイヤを使用することが認められるという意味で、『WETボード』の提示やタイミングモニタなどのメッセージによってチームに知らされます。
ウェット宣言が行われていない状態でウェットタイヤを使用することは認められていません。
レギュレーション
第25条 SFタイヤ交換義務
1) 決勝レース中は2セット以上のドライタイヤを用い、 ピット内を含む自己の作業エリアで タイヤ交換をしなければならない。
2) タイヤ交換とは、装着された1セット(4本)のドライタイヤから別の1セット(4本)のドライタイヤへの交換を指す。
3) タイヤ交換義務は、先頭車両が 10 周回目のSC導入時の仮想ライン(同規則31条)に到達した時点から先頭車両が最終周回に入る前までに完了しなければならない。タイヤ交換義務を完了せずにレースが終了するまで走行した車両は失格とする。10周回目とは、9周終了後10周目に入った周回を指す)
4) 赤旗中断時のタイヤ交換作業はタイヤ交換義務を果たしたとはみなされない。ただし、赤旗提示時にピットインしてタイヤ交換作業を実施した場合は交換義務を果たしたとみなされる。
5) レースが終了する前に何らかの理由で赤旗中断となりそのまま終了となった場合、タイヤ交換作業を実施していなかったドライバーには競技結果に対して40秒のタイムを加算する。
6) 決勝レースにおいて、ウェットタイヤを装着して決勝レースをスタートした場合および決勝レーススタート後にドライタイヤからウェットタイヤに交 換した場合は、本条1)は適用されない。なお、決勝レースにおいてウェットタイヤが使用できるのは競技長が「ウェット宣言」を行った場合のみとする。
アーカイブ
第23条 タイヤ
1. 本選手権に使用するタイヤは、外側のサイドウォールにバーコードが施された者とし、JAF承認のもとでオーガナイザーによって指定されたものを使用しなければならない。
2. 競技会期間中を通じ、1レース、車両1台あたりに使用できる溝なしタイヤ(以下、「ドライタイヤ」という)は最大6セット(前輪12本、後輪12本)とする。
3. 各競技参加者は、公式車両検査の際に上記2.の最大6セットのタイヤすべてにバーコードリーダーによる確認をオーガナイザーから受け、公式車両検査が終了次第、各自が保管すること。
ただし、タイヤ供給メーカーからの申請に基づき、競技会審査委員会が認めた場合、確認を受けた未走行のタイヤを別のタイヤへ交換することが許される。
4. 競技会期間中を通じ、車両1台あたりに使用できるウェットタイヤは最大6セット(前輪12本、後輪12本)とする。
5. ウェットタイヤの使用規定
ウェットタイヤは、当該競技会特別規則書または公式通知で示される方法および時間に確認される。
プラクティスセッションにおいては、路面がウェット状態であると競技長が宣言した時にのみ使用することができる。
6. 公式通知に示す方法以外での、タイヤに対する走行前の意図的な加熱は一切禁止される。タイヤの保管場所は密閉された空間であってはならず、外気温より著しく高温になる空間での保管は認められない。
7. タイヤの空気圧は管理される。
8. タイヤ交換が義務付けられる競技会は、当該競技会特別規則または公式通知にその旨明記される。
9. 上記2.〜5.以外のタイヤはピットエリア内に持ち込まないこと。
10. 上記2.〜5.のタイヤをピットエリア外に持ち出す場合は、競技役員の許可を得ること。