2024年 F1 第6戦 マイアミGP 開催概要

 

2023年 スーパーフォーミュラでドライバーに科せられる『ペナルティ』

2023年

 

2024年シーズンの内容については
こちらを参照ください。

 

スーパーフォーミュラでは、他のレースカテゴリーと同様に、レギュレーションで定められているイエローフラッグなどのフラッグルールを無視したり、セーフティカーの運用ルールを遵守していないなどの違反行為を行ったドライバーや、他の車両への悪質な接触行為を行ったドライバーに対してペナルティが科せられる場合があります。

ペナルティはレース中に科せられるものと、レース結果にタイムが加算されるものなど、運用方法が変化する場合があります。

2023年シーズンのスーパーフォーミュラにおいて、どのようなペナルティがどのようにしてドライバーに科せられるのかを解説します。

 

 

ペナルティが科せられる場合

スーパーフォーミュラではレギュレーション違反や、他の車両への接触行為に対して一方のドライバーに対して過失が認められる場合、競技長はスチュワード(レース審査委員)に違反行為を通告します。

スチュワードは通告された行為を審議し、正式に違反行為と認められた場合、違反を犯したドライバーに対してペナルティを科します。

レギュレーション違反とはイエローフラッグやブルーフラッグなどのフラッグの無視、セーフティカー運用ルールの違反、ピットロード出口のホワイトラインカット、ピットロード出口のシグナル無視のような、競技を行う上で守らなければならないルールの違反のことです。

どんなに細かいことであっても、レギュレーションで禁止されている行為を行うことは、すべてレギュレーション違反と見なされます。

逆に、レギュレーションで禁止されていない行為を行うことは問題ありません。

ペナルティが科せられる理由としては以下のような場合が挙げられます。

 

  • レギュレーション(全日本スーパーフォーミュラ選手権 統一規則)、もしくは国際モータースポーツ競技規則を侵害するもの。
  • ジャンプスタート(反則スタート)の原因となったもの。
  • 他の車両との衝突を起こしたもの。
  • 他のドライバーのコースアウトを強いるもの。
  • 他のドライバーよる正当な追い越し行為を妨害するもの。
  • 追い越しの最中に他のドライバーを不当に妨害するもの。

 

モータースポーツにおける一般的なペナルティが科せられるまでの経緯についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

 

 

 

ペナルティボードの提示

ペナルティが科せられるとき、コントロールライン付近のオブザベーションポストでは、該当のドライバーに対して、ペナルティを示すボードが提示されます。

 

ドライブスルーペナルティ

ドライブスルーペナルティの場合、カーナンバーと共に『D』の文字が提示されます。

 

ペナルティストップ

ペナルティストップの場合、カーナンバーと共に『P』の文字が提示されます。

 

 

スーパーフォーミュラで科せられるペナルティの種類

スーパーフォーミュラではレース中に執行されるペナルティは以下の4種類があります。

 

  • 5秒間のタイムペナルティ
  • 10秒間のタイムペナルティ
  • ドライブスルーペナルティ
  • ペナルティストップ

 

スーパーフォーミュラでは、2021年シーズンから『5秒間のタイムペナルティ』と『10秒間のタイムペナルティ』の2つのペナルティが追加されました。

ペナルティの重さとしては、5秒間のタイムペナルティが最も軽く、ペナルティストップが最も重くなります。それぞれのペナルティの詳細を解説します。

 

 

5秒間のタイムペナルティ

『5秒間のタイムペナルティ』はレース結果に5秒のタイムが加算されるペナルティです。2021年シーズンからスーパーフォーミュラに新たに追加されました。

F1においても『5秒間のタイムペナルティ』が導入されていますが、F1ではピットストップを利用してレース中にペナルティを消化することができます。

F1では、ピットストップのタイミングで、ピットクルーによる通常のピット作業が完了した後、車両を発進させず停止したままの状態とし、誰も車両に触れることなく5秒を待つことでタイムペナルティをレース中に消化することができます。

スーパーフォーミュラでは、レース中にピットストップを利用してペナルティを消化することができません。この点がF1との違いとなります。

 

 

10秒間のタイムペナルティ

上記の『5秒間のタイムペナルティ』と基本的に同じ運用です。レース結果に加算される時間が10秒間になったものです。

 

 

ドライブスルーペナルティ

『ドライブスルーペナルティ』が科せられると、ドライバーはピットインし自身のピットに停止することなく、そのままコースへ復帰しなければなりません。

ドライブスルーペナルティが科せられると、3周以内にピットインをしてペナルティを消化しなければなりません。3周以内にペナルティを消化せず、走行を続けた場合は、失格となります。

ドライブスルーペナルティはサーキットのレイアウトにも寄りますが30秒程度のタイムロスに相当します。

レース終了後にドライブスルーペナルティ相当のペナルティが科せられる場合は、レース結果に30秒が加算されます。

 

 

ペナルティストップ

『ペナルティストップ』が科せられると、ドライバーはピットインをして、ピットロードにあるペナルティエリアに少なくとも10秒間停止し、その後コースへ復帰しなければなりません。

停止する時間は、ペナルティが科せられるタイミングで通知されます。10秒間の停止時間が基本となっていますが、重いペナルティの場合は10秒を超える停止時間を科せられる場合があります。

ドライブスルーペナルティと同様に、ペナルティが科せられると3周以内にピットインをしてペナルティを消化する必要があります。3周以内にペナルティを消化せず、走行を続けた場合は、失格となります。

サーキットのレイアウトにもよりますが、ペナルティストップは約30秒間+停止時間のタイムロスに相当します。

レース終了後にペナルティストップ相当のペナルティが科せられる場合は、レース結果に30秒+停止時間が加算されます。

 

 

ペナルティの目安

スーパーフォーミュラでは違反内容に対して科せられるペナルティの内容がレギュレーションに記載されています。

2022年シーズンからペナルティの内容が基本的に『タイムペナルティまたは、それ以上』へ変更になりました。

これまで、軽微な違反に対してもドライブスルーペナルティのような重いペナルティが科せられてしまいレースを失ってしまう場合がありましたが、タイムペナルティのような軽いペナルティが適用されるケースが増えていくのではないかと考えられます。

 

違反内容 ペナルティ
反則スタート タイムペナルティまたは、それ以上
黄旗無視等のH項違反 タイムペナルティまたは、それ以上
ピット作業違反 タイムペナルティまたは、それ以上
ピットレーンの速度制限違反 タイムペナルティまたは、それ以上
危険なドライブ行為 タイムペナルティまたは、それ以上、
または他の罰則。いずれかの罰則に加えペナルティポイント
スタート進行中の違反行為 タイムペナルティまたは、それ以上

 

 

訓戒

ペナルティストップ、ドライブスルーペナルティ、タイムペナルティには至らなくても、レギュレーションに反する行為や他の車両との接触に対して過失があったとされるドライバーに対して『訓戒』が科せられる場合があります。

スーパーフォーミュラでは、同一のシーズン中に3回の訓戒が科せられ、そのうち、2回が運転に関する違反であった場合、そのドライバーには10グリッド降格のペナルティが科せられます。

 

 

ペナルティポイント

スーパーフォーミュラでは他の車両との接触やレギュレーションの違反などによってペナルティを受けたドライバーに対して『ペナルティポイント』が加算されます。

ペナルティポイントの点数は違反内容によって異なります。累積したペナルティポイントが一定数に達すると、そのドライバーに対して出場停止の処分が科せられます。より悪質な場合には以降のレースへの出場停止やドライバーズポイント剥奪といった厳しい処分が行われます。

ペナルティポイントは加算されてから12ヶ月間に渡って有効となるため、シーズンが終了してもペナルティポイントは次シーズンへ持ち越されます。

 

  違反内容 ポイント
A 故意または重大な過失による危険な行為 3点以上
B 上記Aに属さない危険な行為 2点
C 接触行為または、それに相当する行為 1点

 

累積ペナルティポイントに応じた処分

ペナルティポイントが累積6ポイントに達すると、次戦の大会に出場することが認められません。出場停止がとけた時点で、ペナルティポイントは消去されます。

最初の出場停止の処分を受けた後に、ペナルティポイントが4ポイントに達すると、次戦の大会に出場することが認められません。

2回目の出場停止の処分を受けた後に、ペナルティポイントが2ポイントに達すると、次戦の大会に出場することが認められません。

ペナルティポイントを頻繁に与えられたドライバーには、さらに以下のペナルティが科せられる場合があります。

 

  • 選手権の全戦の出場停止処分
  • 選手権のポイントの剥奪
  • 次シーズンへの公式登録の拒否

 

 

ペナルティの事例

 

 

レギュレーション

2023年全日本スーパーフォーミュラ選手権 統一規則

第16条 罰則

1. 本規則の違反、および競技役員の指示の不遵守に対しては、FIA国際競技規則第12条に定める手続きにより罰則が適用される。

2. 競技参加者は、罰金が課せられた場合には、その支払い義務を有する。

3. 本規則の解釈ならびに本規則に明記されていない罰則の選択は、競技会審査委員会における出席者の多数決によって決定される。

4. 罰則は競技会審査委員会によって決定され、書面をもって競技参加者に対し迅速に通知される。

5. スタート進行中を含めた決勝レースで執行される罰則は、以下の通りとする。
1) 決勝レース中に課されるペナルティは、次の4つとする。

①5秒間のタイムペナルティ:
競技結果に対して5秒を加算する。

②10秒間のタイムペナルティ:
競技結果に対して10秒を加算する。

③ドライブスルーペナルティ:
ドライバーは下記2)のボード提示後、ピットレーンに進入し、ピットに停止せずにピットレーン出口からレースに復帰しなければならない。

④ペナルティストップ:
ドライバーは下記2)のボード提示後、ピットレーンに進入し、ペナルティストップエリアに少なくともタイムペナルティとして課せられた時間の間、停止した後、ピットレーン出口からレースに復帰しなければならない。また、自チームのピットに停止することは許されない。ペナルティストップエリアでは、車両はエンジンを停止する必要はない。エンジンが停止した場合は、ペナルティの時間が経過した後に、エンジン始動用外部エネルギー源あるいは補助的装置によって再始動することができる。

2) 下記の反則行為について、罰則が決定したならば、直ちに罰則の種類を示すボード、当該車両の競技番号を記入した黒のボードがコントロールラインで表示され、合わせてピット放送が行われる。

①反則スタート:タイムペナルティまたは、それ以上。

②黄旗無視等のH項違反:タイムペナルティまたは、それ以上。

③ピット作業違反:タイムペナルティまたは、それ以上。

④ピットレーンの速度制限違反:タイムペナルティまたは、それ以上。

⑤本条項1.違反:ドライブスルーペナルティ、ペナルティストップ10秒以上、または他の罰則。いずれかの罰則に加えペナルティポイント。

⑥スタート進行中の違反行為:ドライブスルーまたは、それ以上。

6. コントロールラインで、本条項8.1)③および④のペナルティが表示されてから3周以内に規定通りこれを実行できなかった車両については失格とする。

7. 失格の場合には、当該ドライバーに対しても信号で伝達される。この目的のため、当該車両の競技番号を記入した黒のボードと黒旗をコントロールラインで表示する。当該競技参加者またはその代理人も停止を指示する信号を当該ドライバーに表示すること。ドライバーが、なお停止しない場合には、追加の罰則が課せられる場合がある。

8. 決勝レース終了後に課せられる罰則は、以下の通りとする。
1) 罰則の表示後3周以内にレースが終了し、本条項8.1)③および④のペナルティを規定通り実行できなかった場合、競技結果に対して、ドライブスルーペナルティまたはペナルティストップに相当するタイムを加算する。なお、加算されるタイムはドライブスルーペナルティに対し30秒とし、ペナルティストップの場合は、その30秒に停止時間を加えたものとする。

2) 上記1)に該当しない場合、競技会審査委員会は、本条項8.2)に明記された①~⑥以外の罰金を含む罰則を課す場合がある。

3) 決勝レース中に違反行為を行ったドライバーに対し上記1)および2)による罰則の適用が履行できない場合、競技会審査委員会は、次大会の「スターティンググリッド降格」等の罰則を課すことができる。

9. 本規則の罰則に関する明確な条項が規定されていても、必要な場合には罰則の追加を妨げない。

10. 本選手権における同一のシーズンに、訓戒処分を3回受けたドライバーは、3回目の処分決定により、その決勝レースにて10グリッド降格の罰則を受ける。
その3回目の訓戒が、決勝レース中の事違反行為に基づいて課された場合は、10グリッド降格の罰則は、当該ドライバーの次の決勝レースに適用される。
10グリッド降格の罰則は、訓戒処分のうち少なくとも2回が、運転に関する違反であった場合にのみ課される。

11. 本条項に従い、「レース中に執行されたペナルティ」および「黒旗の表示」に対する抗議・控訴は認められない。

12. 競技参加者およびドライバー等のチーム関係者は、競技長によって待機の指示があった場合、もしくは事情聴取等を受けた場合は、正式結果発表まではサーキットを離れてはならない。やむを得ない事由により代理人を残す場合は、競技会審査委員会の承認を得なければならない。

 

 

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