2023年
『全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権』とは?
四輪モータースポーツの最高峰として『FIA Formula 1 World Championship (F1)』が存在し、その下位カテゴリーとして以前はGP2とGP3が存在していました。FIAはF1を頂点とするピラミッドの再編を行い、GP2は『FIA Formula 2 Championship (FIA F2)』へ、GP3は『FIA Formula 3 Championship (FIA F3)』へと変更されました。
これまでF3として開催されてきたレースカテゴリーは2019年シーズンをもって廃止となり、1979年から国内で開催されてきた『全日本F3選手権』も同様に2019年をもって終了となりました。
世界ではこれまでのF3に代わり2020年から『フォーミュラ・リージョナル (FORMULA REGIONAL)』シリーズが新たにスタートすることになり、国内においても『FORMULA REGIONAL JAPANESE CHAMPIONSHIP (フォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップ)』が始まりました。
全日本F3選手権を運営していた日本フォーミュラスリー協会はフォーミュラ・リージョナルシリーズとは異なり、全日本F3選手権のマシンやレギュレーションを踏襲しつつ、ドライバーの育成も可能な新たなフォーミュラカーによるシリーズの発足を計画しました。
スーパーフォーミュラを運営するJRP(日本レースプロモーション)の協力もあり、これまでの全日本F3選手権の後継となる『全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権』が2020年から新たにスタートしました。
また、これまで日本フォーミュラスリー協会が行ってきた事業は新たに発足した『SFLアソシエーション』に引き継がれています。
フォーミュラリージョナルシリーズはエンジンがワンメイクであることがFIA公認の条件となっていますが、スーパーフォーミュラ・ライツのエンジンは全日本F3選手権と同様にマルチメイクを踏襲します。
スーパーフォーミュラ・ライツで使用されるマシンはイタリアのレーシングコンストラクターであるダラーラが開発した『ダラーラ320』のワンメイクです。これまでの全日本F3選手権で使用されてきたダラーラF312〜F317をダラーラ320相当にアップデートすることでスーパーフォーミュラ・ライツに参戦することができるようになっています。
スーパーフォーミュラ・ライツのタイヤは2023年シーズンから、これまでの『ヨコハマタイヤ』に代わり『ハンコック』のワンメイクとなります。横浜ゴムはスーパーフォーミュラ・ライツの前身となる全日本F3選手権の2011年シーズンから2022年シーズンまでタイヤを供給してきました。
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
ロゴマーク
©SFLアソシエーション
マシンは『ダラーラ 320』のワンメイク
スーパーフォーミュラ・ライツの競技車両はこれまで全日本F3選手権で使用されてきたダラーラF312〜F317の後継となるダラーラ製の『ダラーラ 320』が採用されます。
ダラーラF312〜F317のモノコックやサスペンションなどのパーツを交換することでダラーラ320相当にアップデートすることが可能となっています。
ダラーラ320は2018年のF1安全基準をクリアしており、ドライバーの頭部保護システムであるヘイロー(HALO)が追加されています。重量物であるHALOが追加されたものの軽量化やダウンフォースの増加によって、これまでのダラーラF312〜F317以上のパフォーマンスを発揮しています。
ダラーラ 320
安全規則 | FIA F1 2018 Technical Regulations |
安全装備 | チタン製HALO、サイドストラクチャー、リア ストラクチャー、シートピロー等 |
燃料タンク | FIA FT5 |
ホイールベース | 2,866 mm |
フロントトレッド | 1,618 mm |
リアトレッド | 1,540 mm |
重量 | 585 kg (ドライバー、バラスト含む) |
ギヤボックス | Hewland F3B-200 6-speed sequential + reverse |
エンジン | FIA F3 2018 Technical Regulations 準拠 (現行 F3エンジン) |
電子制御 | Bosch MS5.8 – Bosch C60 – Megaline semi-automatic system |
メカニカル | 現行のサスペンション、ダンパー、ブレーキパーツ、ホイール等を踏襲 |
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
2023年 エントリーリスト
No. | Mクラス | ドライバー | チーム |
2 | 小出 峻 | TODA RACING | |
4 | M | 今田信宏 | B-MAX RACING TEAM |
10 | 堤 優威 | Rn-sports | |
30 | M | DRAGON | B-MAX RACING TEAM |
35 | 野中誠太 | TOM’S | |
36 | 平良 響 | TOM’S | |
37 | エンツォ・トゥルーリ | TOM’S | |
38 | 古谷悠河 | TOM’S | |
40 | 佐々木大樹 | B-MAX RACING TEAM | |
50 | 木村偉織 | B-MAX RACING TEAM | |
51 | デビッド・ビダーレス | B-MAX RACING TEAM | |
52 | イゴール・オオムラ・フラガ | B-MAX RACING TEAM | |
300 | 菅波冬悟 | B-MAX RACING TEAM |
※未発表のため、鈴鹿サーキット合同テストエントリーリストを掲載
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
2023年 開催スケジュール
2023年シーズンのスーパーフォーミュラ・ライツは2022年シーズンと同様の全6大会が開催されます。オートポリス、スポーツランドSUGO、富士スピードウェイで開催される3大会がスーパーフォーミュラとの併催を予定しています。
ラウンド | 開催日 | 開催サーキット |
第1大会 | 5/20~5/21 | オートポリス |
第2大会 | 6/17~6/18 | スポーツランドSUGO |
第3大会 | 7/1~7/2 | 鈴鹿サーキット |
第4大会 | 7/15~7/16 | 富士スピードウェイ |
第5大会 | 9/9~9/10 | 岡山国際サーキット |
第6大会 | 11/18~11/19 | モビリティリゾートもてぎ |
【参考】
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
2022年 開催スケジュール
ラウンド | 開催日 | 開催サーキット |
第1大会 | 4/8~4/10 | 富士スピードウェイ |
第2大会 | 4/22~4/24 | 鈴鹿サーキット |
第3大会 | 5/20~5/22 | オートポリス |
第4大会 | 6/17~6/19 | スポーツランドSUGO |
第5大会 | 8/19~8/21 | モビリティリゾートもてぎ |
第6大会 | 9/23~9/25 | 岡山国際サーキット |
ライセンス
スーパーフォーミュラ・ライツに参戦できるドライバーの資格は『国内競技運転者許可証A (国内A級ライセンス)』以上の保持者である必要があります。
16歳以上18歳未満のドライバーに特別に発給される『限定国内競技運転者許可証A (限定Aライセンス)』の保持者でFJ1600、スーパーFJ、F4の地方選手権もしくは国内シリーズにおいて年間総合順位3位以内に入賞したドライバーは、翌年に限定Aライセンスでスーパーフォーミュラ・ライツへの参戦が認められます。
国際格式で開催される場合は国際競技運転者許可証B(国際B級ライセンス)以上の保持者である必要があります。
また、スーパーライセンスを所有しているドライバー、もしくは、2022年のFIA F2またはスーパーフォーミュラにおいてシリーズランキング上位6位のドライバーはスーパーフォーミュラ・ライツへの参戦が認められません。
スーパーライセンスポイント
スーパーフォーミュラ・ライツのシリーズ8位までのドライバーには、F1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスポイントが与えられます。
過去3年においてスーパーライセンスポイントを40ポイント以上を獲得することでスーパーライセンスを取得できる資格が与えられます。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
15 | 12 | 10 | 7 | 5 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 |
公式予選
スーパーフォーミュラ・ライツでは1大会で開催されるレース数によって決勝のグリット順を決める公式予選の手順が変わります。
1大会1レースの場合
1大会1レースの場合は最小30分の公式練習とその後2時間30分以上のインターバルをおいて行われる20〜30分の公式予選が開催されます。公式予選でのタイム順に決勝のグリッドが決定します。
すべてのドライバーは公式予選に出走(コースイン)することが義務付けられています。
1大会2レースの場合
1大会2レースの場合は以下のいずれかの方法で公式予選が行われます。どちらの方法で実施するのかは特別規則書で規定されます。
10分の公式予選を2回行う。
1回目の公式予選の結果が第1レースのグリッド順、2回目の公式予選の結果が第2レースのグリッド順になります。
30分の公式予選を1回行う。
公式予選で計測されたベストタイム順が第1レースのグリッド順、セカンドベストタイム順が第2レースのグリッド順になります。
1大会3レースの場合
1大会3レースの場合における公式予選の実施方法およびグリッド順の決定方法については大会特別規則書て規定されます。
レースフォーマット
1大会における開催レース数によってレース距離が変わります。
1大会1レースの場合
最短90km、最長100kmのレースが開催されます。
1大会2レースの場合
以下の距離で2レースが開催されます。
- 65kmのレース
- 90km~100kmのレース
1大会3レースの場合
以下の距離で3レースが2日間に分けて開催されます。
- 65kmのレース
- 90km~100kmのレース
- 65kmのレース、もしくは90km~100kmのレース
※国際格式として開催される場合は、いずれのレース形態であってもレース距離は最短65kmとなります。
タイヤ
スーパーフォーミュラ・ライツのタイヤはハンコックのワンメイクです。
2023年5月17日、3月に発生したハンコックタイヤの大田工場での火災の影響により、横浜ゴムがタイヤの供給支援を行うことが発表されました。
横浜ゴムは開幕戦からレインタイヤを供給し、第4大会からドライタイヤの供給も行います。
スーパーフォーミュラ・ライツでは、プラクティスセッションから決勝を通して使用できるドライタイヤのセット数は1大会2レース制の場合は最大2セット(前輪4本、後輪4本)、1大会3レース制の場合は最大3セット(前輪6本、後輪6本)と定められています。
ウェットタイヤはドライタイヤ同様に1大会2レース制の場合は最大2セット(前輪4本、後輪4本)、1大会3レース制の場合は最大3セット(前輪6本、後輪6本)と定められています。
スーパーフォーミュラ・ライツではタイヤの加工や裏組、タイヤウォーマーの使用は禁止されています。
レース中のペナルティ
スーパーフォーミュラ・ライツのレース中に科せられるペナルティは以下の4つと定められています。いずれも、スーパーフォーミュラを踏襲したペナルティとなっています。
- 5秒間のタイムペナルティ
- 10秒間のタイムペナルティ
- ドライブスルーペナルティ
- ペナルティストップ
ポイントシステム
決勝の順位に応じて、上位6位のドライバーに以下のポイントが与えられます。シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがチャンピオンとなります。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 |
10 | 7 | 5 | 3 | 2 | 1 |
レースが規定の周回数を完了せずに終了した場合
先頭車両が2周回を完了する前にレースが赤旗により中止・終了となった場合
レースは成立せず、ポイントは与えられません。
先頭車両が2周回を完了し、レース距離の75%未満でレースが中止・終了となった場合
レースは成立しますが、与えられるポイントは半分となります。
先頭車両がレース距離の75%以上を完了した後にレースが中止・終了となった場合
レースは成立し、全てのポイントが与えられます。
マスタークラス
スーパーフォーミュラ・ライツでは全日本F3選手権で導入されていた『マスタークラス』が継続して設定されています。
マスタークラスでは40歳以上のジェントルマンドライバーと女性ドライバーを対象としており、全ドライバーを対象とし、総合順位を争う『オーバーオール』とは別にマスタークラスに参戦するドライバーのみを対象とし順位付けが行われます。
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
レース結果
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
視聴方法
全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権
レギュレーション
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