2023年
TCRジャパンシリーズとは
TCRは前輪駆動車(FF)で1750cc~2000ccのターボ付きのエンジンを搭載した市販車をベースとしたTCR規格に準拠した車両によるレースです。
WTCR (世界ツーリングカーカップ)をはじめとして、国内でもスーパー耐久など、TCR車両によるレースが開催されています。
日本ではTCR規格に準拠した車両によるレースとして『TCR ジャパン シリーズ (TCRJ)』が2019年にスタートしました。
出典:tcr-japan.jp
TCRジャパンシリーズ
ロゴマーク
©TCR Japan Series
TCR規格
TCRはWSC (World Sporting Consulting)が定めるツーリングカー(市販車)のレース車両規格のことです。
車両規則は『TCR TECHNICAL REGULATIONS』に詳細に規定され、市販車をベースとした世界共通のレース車両規格として世界中でTCR車両によるレースが行われています。
自動車メーカーもTCR規格に準拠したレース車両を開発しています。例えばホンダは量産車のFK8型CIVIC Type Rをベースとした『Honda CIVIC TCR』を開発しています。
Honda CIVIC TCR
出典:honda.co.jp
世界選手権ではWTCRとして開催され、国内ではTCRジャパンシリーズの他、スーパー耐久においてもTCR車両での参戦を可能としたST-TCRクラスが2019年に新設されました。
TCR規格の詳細は割愛しますが、概要は以下のとおりです。
ベース車:ツーリングカーのFIAグループA規定に準拠した車両
エンジン:排気量1750cc~2000ccのターボ付きのガソリンエンジンもしくはディーゼルエンジン
ドア数:4ドアまたは5ドア
駆動方式:前輪駆動
全長:4.2m以上
全幅:1,950mm以下
TCR認定車両一覧
- Alfa Romeo Giulietta RF TCR
- Alfa Romeo Giulietta Veloce TCR
- Audi RS3 LMS SEQ
- CUPRA TCR
- Honda Civic Type R FK2 TCR
- Honda Civic Type R FK7/FK8 TCR
- Hyundai i30 N TCR
- Hyundai Veloster N TCR
- KIA cee’d TCR
- LADA Vesta Sport TCR
- Lynk & Co 03 TCR
- MG 6 XPower TCR
- Opel Astra TCR
- Peugeot 308 TCR
- Renault Megane RS TCR
- Subaru WRX STI TCR
- Volkswagen Golf GTI TCR SEQ
BoP (性能調整)
TCRJではシーズンを通して、BoP(Balance of Performance:性能調整)によって車両の性能が適宜調整されます。BoPの調整値はTCRJ Technical Bulletinにて公示されます。
BoPによって調整される項目は以下の通りです。
- 車両の最低重量
- 電子機器によって監視されるエンジン性能レベル
- 必要とみなされるその他の技術的制限
TCRジャパンシリーズ
2022年 エントリーリスト
No. | ドライバー | チーム | マシン |
17 | 鈴木 建自 | バースレーシングプロジェクト【BRP】 | Audi RS3 LMS |
19 | HIROBON | バースレーシングプロジェクト【BRP】 | CUPRA TCR |
24 | 滝川 聡 | TEAM MOTOYAMA | Audi RS LMS |
55 | MOTOTINO | 55MOTO RACING | Honda CIVIC TCR |
62 | 塩谷 烈州 | 全薬工業 with TEAM G/MOTION’ | Honda CIVIC TCR |
65 | 加藤 正将 | Audi Team Mars | Audi RS3 LMS |
73 | 大蔵 峰樹 | M-PROTOTYPING Team STILE CORSE | ALFAROMEO GIULIETTA Veloce TCR |
88 | 梅田 真祐 | J’S TECHCEN GIULIETTA TCR | ALFAROMEO GIULIETTA TCR |
98 | 猪爪 杏奈 | DOME RACING | Honda CIVIC TCR |
※第1大会 富士スピードウェイ エントリーリスト
TCRジャパンシリーズ
2023年 開催スケジュール
2023年のTCRジャパンシリーズは2022年シーズンから1戦少ない全5戦で開催されます。
これまで全日本スーパーフォーミュラ選手権と併催される場合が多かったTCRJですが、2023年シーズンはモビリティリゾートもてぎでの開催を除き、各サーキットの地方選手権に組み込まれています。
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 5/13~5/14 | 鈴鹿サーキット |
第2戦 | 6/10~6/11 | 岡山国際サーキット |
第3戦 | 8/19~8/20 | モビリティリゾートもてぎ |
第4戦 | 10/7~10/8 | 富士スピードウェイ |
第5戦 | 11/25~11/26 | スポーツランドSUGO |
公式テスト
日程 | 開催地 |
3/15 | 富士スピードウェイ |
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 4/8~4/10 | 富士スピードウェイ |
第2戦 | 6/25~6/26 | 岡山国際サーキット |
第3戦 | 7/23~7/24 | スポーツランドSUGO |
第4戦 | 8/19~8/21 | モビリティリゾートもてぎ |
第5戦 | 9/9~9/11 | 富士スピードウェイ |
第6戦 | 10/28~10/30 | 鈴鹿サーキット |
公式テスト
日程 | 開催地 |
3/22 | 富士スピードウェイ |
ライセンス
TCRJに参戦するドライバーはJAFが発行する『国内競技運転者許可証A (国内A級ライセンス)』を保持している必要があります。
外国籍ドライバーについては、FIAドライバーカテゴライズシステム(2021 FINAL LIST OF DRIVERS CATEGORISATION)のゴールド以下でなければなりません。
2020年シーズンでは参戦できるドライバーはFIAドライバーカテゴライズシステムのシルバー以下と定められていましたが、2021年シーズンからゴールド以下へ変更されました。
以下のドライバーはTCRJへの参加が制限されます。
- 1. 過去にスーパーライセンスを取得したことがある。
- 2. FIA WEC の各大会において、総合/ クラス優勝経験、もしくはLMP1/LMP2/GTE のシリーズランキング3 位以内の経験がある。
- 3. FIA WTCC/WTCR の各大会において優勝経験、もしくはシリーズランキング3 位以内の経験がある。
- 4. Super Formula (2015 年以降)へのシリーズ参加実績がある。
- 5. Super GT500 クラス(2015 年以降)へのシリーズ参加実績がある。
- 6. Super GT300 クラス(2015 年以降)へのシリーズチャンピオン実績がある。
- 7. Super GT500 クラス(2017 年以降)において優勝したことがある。
- 8. その他、TCRJ が特にプロドライバーと認めたドライバー。
ブロンズクラス
TCRJには『ブロンズクラス』の設定があり、ブロンズクラス内での順位認定や表彰を受けることができます。
2020年シーズンでは『ジェントルマンクラス』として設定されていましたが、2021年シーズンでは『ブロンズクラス』へ名称変更されました。
ブロンズクラスはプロのレーシングドライバーとしてレースに参戦するのではなく、レース参戦を趣味として楽しむドライバーに向けたクラスです。
ブロンズクラスへのエントリーには事前に申請し、承認を受ける必要があります。ただし、FIAドライバーカテゴライズシステム(2020 FINAL LIST OF DRIVERS CATEGORISATION)のシルバーに該当するドライバーはジェントルマンクラスへのエントリーはできません。
また、シーズン開幕時にブロンズクラス以外の申請者が3名未満の場合、ドライバー区分はオーバーオールのみとなります。
参加料
TCRジャパンシリーズのフルシーズンの1台あたりの参加料は240万円(税別)です。
スポット参戦の参加費用は33万円(税込)ですが、モビリティリゾートもてぎで開催される第3戦においては55万円(税込)となっています。
レースフォーマット
TCRJは各大会でSaturdayシリーズとSundayシリーズが開催され、それぞれ公式予選と決勝レースが行われます。まず、土曜日に公式予選と決勝レースが1回ずつ開催されます。これをSaturdayシリーズと呼びます。日曜日も同様に公式予選と決勝レースが1回ずつ行われるSundayシリーズが開催されます。
公式予選
TCRJではSaturdayシリーズ、Sundayシリーズそれぞれにおいて各15分間の公式予選が行われます。
公式予選に出走しなかったドライバーはレース審査委員会に不可抗力と認められた場合を除き、決勝に出場することができません。
最速タイムの110%を超えたドライバーは決勝への出場が認められない場合があります。
決勝
TCRJのレーススタートはスタンディングスタートで行われます。
TCRJのレース距離は時間で決定されます。
レースは最大23分経過+1ラップの構成とされ、あらかじめ設定されたレース時間が経過した次のラップがファイナルラップとなります。
セーフティカーは国際モータースポーツ競技規則付則H項に従い運用されます。
TCRJではフルコースイエロー(FCY)を導入しています。FCYが導入されるとコース全域で追い越し禁止となり、車両速度を60km/hまで減速する必要があります。
タイヤ
TCRJで使用が認められるタイヤはダンロップが供給する指定されたものに限定されます。
TCRJがスタートした2019年から2021年シーズンまで横浜ゴムがタイヤを供給していましたが、2022年シーズンからの3年間はダンロップがタイヤを供給します。
タイヤの使用制限
ドライタイヤ
1大会(Saturdayシリーズ/Sundayシリーズ)それぞれで8本まで、両シリーズで合計16本までの使用が認められます。
2020年シーズンでは1大会で使用できるタイヤの本数はSaturdayシリーズとSundayシリーズそれぞれで12本までと定められていました。
ウェットタイヤ
使用制限はありません
- ウェットタイヤはウェット宣言後に使用することが認められます。
- タイヤは常に4本同一スペックを使用する必要があります。
- ドライタイヤとウェットタイヤを組み合わせて使用することはできません。
- タイヤウォーマーの使用は禁止されています。
エンジン交換
TCRJでは、1シーズンで使用できるエンジンの数は1台あたり1基に限られます。
エンジン交換した車両は直後に開催されるレースで最後尾スタートのペナルティが科されます。
ターボ交換
TCRJでは、1シーズンで使用できるターボの数は1台あたり3基に限られます。
ターボを3基を超えて使用した場合は、直後に開催されるレースで最後尾スタートのペナルティが科されます。
ポイント
TCRJでは公式予選の結果と決勝レースの結果に応じてポイントが与えられます。
シリーズを通して最も多くポイントを獲得したドライバーがチャンピオンとなります。
表彰はブロンズクラスを含む全体における順位(オーバーオール)とブロンズクラスのみの順位それぞれにおいて行われます。
公式予選
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
決勝
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
赤旗でレースが中断したままレースが終了した場合
先頭車両が2周回を完了する前にレースが赤旗により中止された場合
ポイントは与えられません。
先頭車両が2周回を完了し、レース距離の75%未満でレースが中止された場合
与えられるポイントは半分となります。
先頭車両がレース距離の75%以上を完了した後にレースが中止された場合
全てのポイントが与えられます。
TCRジャパンシリーズ
視聴方法
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