2020年
『TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race』の後継レースシリーズとなる『TOYOTA GAZOO Racing Yaris Cup』の詳細はこちらを参照ください。
TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race とは
トヨタ自動車が2000年にNetz Cupとして日本で初めてのナンバー付きのヴィッツによるレースをスタートしました。
ナンバー付きの車両であるため、レース仕様の車両ではありますが、当然ながら公道を走行することができます。公道走行のための車検をクリアする必要があることから、車両の改造範囲も狭くなっており、参戦費用の高騰を抑えることに貢献しています。
Netz Cupは現在ではトヨタがモータースポーツブランドとして展開している『GAZOO Racing』冠に付け、『TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race』として全国のサーキットで開催されています。
トヨタはナンバー付きの86やSUBARU BRZを使用した『TOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ Race』を2013年にスタートしました。そのため、トヨタとしては2種類のナンバー付きレースを開催しています。
86/BRZ Raceは参戦するドライバーのレベルが高く、多額の参戦費用もかかります。
一方で、Netz Cupはベース車両がヴィッツということもあり、参戦費用が抑えられ、レース初心者向けの参加しやすいレースカテゴリーとなっています。そのため、2種類のナンバー付きレースはうまく住み分けができていると言えます。
また、86/BRZ Raceは全国のサーキットを転戦して開催されますが、Netz Cupは北海道、東北、関東、関西、西日本と5つのシリーズで開催されています。常に近郊のサーキットでの開催となるため、遠方へのサーキットへの交通費や車両運搬費のような遠征費を抑えることができるようになっています。
ヴィッツは国内では『ヴィッツ』の名称で販売してきましたが、海外では『ヤリス』として販売されています。2020年にヤリスがフルモデルチェンジし、日本でもヤリスとして販売されることになりました。
トヨタが参戦するWRC(世界ラリー選手権)でもヤリスをベースとしたWRC車両を使用していることから、世界での販売戦略を意識したものと考えられます。
2020年のNetz Cupはこれまでのヴィッツを使用して開催されますが、2021年には新型ヤリスを使用したレースにシフトしていくのではないかと考えられます。
TOYOTA Vitz RS Racing 仕様
車両型式・重量・性能
車両型式 | DBA-NCP131-VPNTMV |
ベース車両型式 | DBA-NCP131-AHMVK |
車両重量 | 1050 kg |
車両総重量 | 1325 kg |
最小回転半径 | 5.6 m |
主要燃費改善対策 | 可変バルブタイミング・電動パワーステアリング・充電制御 |
寸法・定員
全長/全幅/全高 | 3,930 mm / 1,695 mm / 1,480 mm |
ホイールベース | 2510 mm |
トレッド フロント/リヤ | 1,485 mm / 1,470 mm |
最低地上高 | 120 mm |
室内 長/幅/高 | 1,920 mm / 1,390 mm / 1,250 mm |
乗車定員 | 5 名 |
エンジン
型式 | 1NZ-FE |
総排気量 | 1496 L |
種類 | 直列4気筒DOHC |
使用燃料 | 無鉛レギュラーガソリン |
内径×工程 | 75.0 mm × 84.7 mm |
圧縮比 | 10.5 |
最高出力<ネット> | 80 kW (109 PS) / 6,000 r.p.m |
最大トルク<ネット> | 138 N・m (14.1 kgf・m) / 4,400 r.p.m |
燃料供給装置 | 電子制御式燃料噴射装置 (EFI) |
燃料タンク容量 | 42 L |
ステアリング・サスペンション・ブレーキ・駆動方式
ステアリング | ラック&ピニオン式 |
サスペンション (フロント) | ストラット式コイルスプリング |
サスペンション (リヤ) | トーションビーム式コイルスプリング |
ブレーキ (フロント) | ベンチレーテッドディスク |
ブレーキ (リヤ) | ディスク |
駆動方式 | 前輪駆動方式 |
トランスミッション (5速マニュアル)
変速比・減速比 | 第1速 | 3.166 |
第2速 | 1.904 | |
第3速 | 1.392 | |
第4速 | 1.031 | |
第5速 | 0.815 | |
後退 | 3.25 | |
減速比 | 4.312 |
ライセンス・参加料
TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Raceに参戦するには普通自動車免許とJAFが発行するJAF国内競技運転者許可証A(国内A級ライセンス)以上を保有している必要があります。
また、エントリーするには事前にT.R.A(トヨタカーズ・レース・アソシエイション)レーシングパスポートに登録しなければなりません。
TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Raceの1戦あたりの参加料は35,000円(税別)です。
2020年 TOYOTA GAZOO Racing Netz Cup Vitz Race スケジュール
北海道シリーズ
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 開催中止 (6/21) |
十勝スピードウェイ |
第2戦 | 8/2 | 十勝スピードウェイ |
第3戦 (2レース) | 9/27 | 十勝スピードウェイ |
東北シリーズ
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 開催中止 (5/17) |
スポーツランドSUGO |
第2戦 | 7/26 | スポーツランドSUGO |
第3戦 | 10/4 | スポーツランドSUGO |
関東シリーズ
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 9/19 | ツインリンクもてぎ |
第2戦 | 開催中止 (5/9〜5/10) |
富士スピードウェイ |
第3戦 | 7/12 | ツインリンクもてぎ |
第4戦 | 11/14 | 富士スピードウェイ |
関西シリーズ
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 3/14〜3/15 | 鈴鹿サーキット |
第2戦 | 開催中止 (5/23~5/24) |
鈴鹿サーキット |
第3戦 | 6/27 | 岡山国際サーキット |
第4戦 | 10/17 | 岡山国際サーキット |
西日本シリーズ
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 開催中止 (5/3) |
オートポリス |
第2戦 | 8/30 | オートポリス |
第3戦 | 10/25 | オートポリス |
公式予選
Netz Cup Vitz Raceでは参加受付台数が各サーキット毎に設定されている予選最大出走台数を超過した場合、2組以上に分けて公式予選が行われます。公式予選の実施方法は各大会毎に公示されます。
公式予選ではタイムアタックを行い、ベストラップ順に決勝のグリッドが決定されます。公式予選での上位3位のドライバーのベストタイム平均値の130%が公式予選通過基準タイムとなります。
各サーキット毎に最大決勝出走台数が設定されており、この台数よりも後ろの順位の場合は予選落ちとなります。Netz Cup Vitz Raceでは予選落ちドライバーによるレース『コンソレーションレース』が開催されます。コンソレーションレースではポイントは与えられませんが、予選落ちとなってもレースに参加することができます。
決勝
Netz Cup Vitz Raceでは約40kmのレース距離で争われます。スタートはスタンディング方式で行われます。決勝レースが2回のレース(2レース制)で開催される場合があります。
決勝が2レース制で行われる場合、ベストラップ順が第1レースのグリッド順、セカンドベストラップ順が第2レースのグリッド順になります。第1レースと第2レースの周回数を合算し、同一周回の場合は第2レースの結果が決勝順位となります。
レース距離
開催地 | 周回数 | レース距離 |
十勝スピードウェイ | 12 | 40.860 km |
スポーツランドSUGO | 10 | 35.860 km |
ツインリンクもてぎ | 8 | 36.504 km |
富士スピードウェイ | 8 | 38.408 km |
鈴鹿サーキット | 8 | 46.456 km |
岡山国際サーキット | 10 | 37.030 km |
オートポリス | 9 | 42.066 km |
2レース方式で開催される場合の1レース目のレース距離
開催地 | 周回数 | レース距離 |
十勝スピードウェイ | 6 | 20.430 km |
スポーツランドSUGO | 5 | 17.930 km |
オートポリス | 5 | 23.37 km |
タイヤ
Netz Cup Vitz Raceでは公式予選、決勝を通して使用できるタイヤは4本までに制限され、事前の車検時に使用するタイヤにマーキングが行われます。
やむを得ない理由の場合に限り、レース審査委員会の承認を受けてタイヤ1本のみの交換は認められます。ただし、タイヤを2本以上交換した場合はピットスタートとなります。
公道車検
Vitz Raceはナンバー付き車両によるレースであるため、レース終了後に公道走行チェックが行われます。
チェック項目は決められており、安全に公道を走行するための検査を受けることが義務付けられています。検査を受けなかった場合は、レース結果は抹消されてしまいます。
サーキット走行中はエアバッグの作動を禁止させるためにエアバッグコンピュータのコネクタを取り外しているため、コネクタの接続の確認も行われます。
ポイント
決勝の順位に応じて、以下のポイントが与えられます。また、ポールポジションを獲得したドライバーに1ポイント、決勝でファステストラップを記録したドライバーに1ポイントが加算されます。コンソレーションレースではポイントが与えられません。シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがチャンピオンとなります。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
20 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
ポールポジションを獲得したドライバーに1ポイント加算
決勝でファステストラップを記録したドライバーに1ポイント加算
赤旗でレースが中断したままレースが終了した場合
先頭車両が2周回を完了する前にレースが赤旗により中止された場合
レースは成立せず、ポイントは与えられません。
先頭車両が2周回を完了し、レース距離の75%未満でレースが中止された場合
レースは成立しますが、与えられるポイントは半分となります。
先頭車両がレース距離の75%以上を完了した後にレースが中止された場合
レースは成立し、全てのポイントが与えられます。
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