2024年 F1 第22戦 ラスベガスGP 開催概要

 

2022年 F1のレース中に科せられる『ペナルティ』

2022年

 

2023年シーズンの内容については
こちらを参照ください。

 

モータースポーツでは、レギュレーションで定められているイエローフラッグなどのフラッグルールを無視したり、セーフティカーの運用ルールを遵守していないなどの違反行為を行ったドライバーや、他の車両に対して悪質な接触行為を行ったドライバーに対して、スチュワード(レース審査委員会)がペナルティを科す場合があります。

ペナルティはレース中に科せられるものと、レース結果にタイムが加算されるものなど、運用方法が変化する場合があります。

 

 

ペナルティが科せられる場合

F1ではレギュレーション違反や、他の車両への接触行為に対して一方のドライバーに対して過失が認められた場合、レースディレクターはスチュワード(レース審査委員)に違反行為を通告します。

スチュワードは通告された行為を審議し、正式に違反行為と認められた場合、違反を犯したドライバーに対してペナルティを科します。

レギュレーション違反とはイエローフラッグやブルーフラッグなどのフラッグルールの無視、セーフティカー運用ルールの違反、ピットロードの入口や出口のラインカット、ピットロード出口のシグナル無視のような、競技を行う上で守らなければならないルールの違反のことです。

どんなに細かいことであっても、レギュレーションで禁止されている行為を行うことは、すべてレギュレーション違反と見なされます。

逆に、レギュレーションで禁止されていない行為を行うことは問題ありません。

ペナルティが科せられる理由としては以下のような場合が挙げられます。

 

  • F1スポーティングレギュレーション、もしくは国際モータースポーツ競技規則を侵害するもの。
  • ジャンプスタート(反則スタート)の原因となったもの。
  • 他の車両との衝突を起こしたもの。
  • 他のドライバーのコースアウトを強いるもの。
  • 他のドライバーよる正当な追い越し行為を妨害するもの。
  • 追い越しの最中に他のドライバーを不当に妨害するもの。

 

モータースポーツにおける一般的なペナルティが科せられるまでの経緯についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

 

 

モータースポーツではレース中にペナルティが科せられる場合、コントロールライン付近のオブザベーションポストでペナルティを示すボードが提示されることによって、ドライバーやチームに伝えられます。

F1においては、公式のメッセージシステムや国際映像に表示されるメッセージなどを通じて、ペナルティを科せられるチームに情報が伝えられます。

レース中に執行されるドライブスルーペナルティやタイムペナルティなどに対して、抗議を行うことは認められません。

レースが残り3周未満となって以降、もしくはレースが終了した後でペナルティが科せられることが決定した場合は、レース結果にペナルティ相当のタイムが加算されます。

 

 

F1で科せられるペナルティの種類

2022年シーズンのF1でレース中に執行されるペナルティは以下の4種類があります。

 

  • 5秒間のタイムペナルティ
  • 10秒間のタイムペナルティ
  • ドライブスルーペナルティ
  • 10秒間のストップアンドゴー タイムペナルティ

 

ペナルティの重さとしては、5秒間のタイムペナルティが最も軽く、10秒間のストップアンドゴータイムペナルティが最も重くなります。

 

 

① 5秒間のタイムペナルティ

『5秒間のタイムペナルティ』はレース結果に5秒のタイムが加算されるペナルティです。

タイムペナルティはレース中にいつでも消化することができます。タイムペナルティをレース中に消化することができなかった場合はレース結果に5秒が加算されます。

タイムペナルティをレース中に消化するには、ピットストップのタイミングで、ピットクルーによる通常のピット作業を行う前に、車両が完全に停止した状態のまま、誰も車両に触れることなく5秒を待たなければなりません。これで、タイムペナルティを消化することができます。

ピットストップは予定通りのタイミングで良く、タイムペナルティを消化するためにピットストップを追加で行う必要はありません。

基本的にピットストップ前に科せられたタイムペナルティであればピット作業と合わせて消化してしまった方がタイムロスは小さいと考えられています。

後ろのライバルとのタイム差を広げた後にタイムペナルティを消化して、ライバルの前にピットアウトすることができれば、大きく順位を落とすことはありません。

タイムペナルティを消化していなかった場合、セーフティーカーが導入されると、各車両間のタイム差が無くなります。そのため、レース後にタイムペナルティのタイムが加算されると大きく順位を落としてしまうリスクがあります。

タイムペナルティを消化することで、遅いドライバーの後ろに引っかかってしまい、大きなタイムロスが想定される場合は、レース中にタイムペナルティを消化しないことも戦略のひとつになります。

ただし、5秒間のタイムペナルティはセーフティーカー(SC)導入中やバーチャル・セーフティーカー(VSC)導入中に消化することは認められていません。

 

 

② 10秒間のタイムペナルティ

上記の『5秒間のタイムペナルティ』と基本的に同じ運用です。ピットストップ時の停止時間やレース結果に加算される時間が10秒間になったものです。

 

 

③ ドライブスルーペナルティ

『ドライブスルーペナルティ』が科せられると、ドライバーはピットインし自身のピットに停止することなく、そのままコースへ復帰しなければなりません。

タイムペナルティと異なり、ドライブスルーペナルティが科せられる、数周以内にピットインをしてペナルティを消化しなければなりません。

ペナルティを消化しない状態で走行を続けた場合は、失格や他のペナルティがさらに科せられる場合があります。

ドライブスルーペナルティはセーフティーカー(SC)導入中やバーチャル・セーフティーカー(VSC)導入中に消化することは認められていません。

ただし、セーフティーカーやバーチャルセーフティーカー導入時にピットロード入口の第1セーフティーカーラインを超えていればペナルティの消化が認められます。

ドライブスルーペナルティはサーキットのレイアウトにも寄りますが20秒程度のタイムロスに相当します。

 

 

④ 10秒間のストップアンドゴー タイムペナルティ

『10秒間のストップアンドゴータイムペナルティ』が科せられると、ドライバーはピットインをして、自身のピットに少なくとも10秒間停止し、その後コースへ復帰しなければなりません。

5秒間のタイムペナルティ、10秒間のタイムペナルティと異なり、ペナルティの消化とあわせてピットクルーによるピット作業を行うことができません。

ドライブスルーペナルティと同様に、ペナルティが科せられると数周以内にピットインをしてペナルティを消化する必要があります。

また、セーフティーカー(SC)やバーチャル・セーフティーカー(VSC)導入時にペナルティを消化することは認められません。

ただし、セーフティーカーやバーチャルセーフティーカー導入時にピットロード入口の第1セーフティーカーラインを超えていればペナルティの消化が認められます。

サーキットのレイアウトにもよりますが、10秒間のストップアンドゴータイムペナルティは30秒間程度のタイムロスに相当します。

 

 

レース後に科せられるペナルティ

レースが残り3周未満となって以降、もしくはレース終了後にペナルティが科せられた場合、レース結果に対して以下に示すペナルティ相当のタイムが加算されます。

 

  • 5秒間のタイムペナルティ
     → 5秒加算
  • 10秒間のタイムペナルティ
     → 10秒加算
  • ドライブスルーペナルティ
     → 20秒加算
  • 10秒間のストップ・アンド・ゴー・タイムペナルティ
     → 30秒加算

 

レース中のインシデントに対してレース後に審議される場合、レース終了から60分以内に公式メッセージシステムを介して通知されます。この場合、関係するドライバーはスチュワードの同意を得ることなく、サーキットを離れることが認められません。

 

 

訓戒

モータースポーツではペナルティを科すには至らないものの、レギュレーションに反する行為や車両同士の接触行為に対してどちらか一方のドライバーに非があったと認められた場合、スチュワードがドライバーに対して『訓戒』を科す場合があります。

訓戒とは、スチュワードがドライバーを叱ったという意味です。F1においては訓戒は無罪というわけではなく、訓戒を受けた回数が累積で5回に達すると10グリッド降格のペナルティが科せられます。

10グリッド降格のペナルティが適用されるのは、少なくとも4回がドライビングに関する違反によって訓戒が科せられた場合に限ります。

レース中のレギュレーションに反する行為に対して訓戒が科せられ、累積5回に達した場合は、10グリッド降格のペナルティは次のレースに適用されます。

 

 

悪質な接触行為に対するペナルティ

スポーツマンシップに反するような悪質な違反行為に対しては、次戦でのグリッド降格のペナルティ、失格、出場停止といった厳しいペナルティが科せられる場合があります。

 

  • 次戦でのグリッド降格ペナルティ
  • レース結果から除外 (失格)
  • 次戦の出場停止

 

 

レギュレーション

2022 FORMULA 1 SPORTING REGULATIONS

2022/3/15発行版

18) SANCTIONS

18.1 The stewards may impose the penalties specifically set out in these Sporting Regulations in addition to or instead of any other penalties available to them under the Code.

18.2 Any driver who receives five (5) reprimands in the same Championship will, upon the imposition of the fifth, be given a ten (10) grid place penalty for the race at that Event. If the fifth reprimand is imposed following an Incident during a race the ten (10) grid place penalty will be applied at the driver’s next Event.
The ten (10) grid place penalty will only be imposed if at least four (4) of the reprimands were imposed for a driving infringement.

 

54) INCIDENTS DURING THE SPRINT SESSION OR THE RACE

54.1 The Race Director may report any on-track incident or suspected breach of these Sporting Regulations or the Code (an “Incident”) to the stewards. After review it shall be at the discretion of the stewards to decide whether or not to proceed with an investigation.
The stewards may also investigate an Incident noted by themselves.

54.2 a) It shall be at the discretion of the stewards to decide if any driver involved in an Incident should be penalised.
Unless it is clear to the stewards that a driver was wholly or predominantly to blame for an Incident no penalty will be imposed.
b) If an Incident is under investigation by the stewards a message informing all Competitors which driver or drivers are involved will be sent using the official messaging system.

i) Provided that such a message is displayed no later than sixty (60) minutes after the sprint session or the race has finished the driver or drivers concerned may not leave the circuit without the consent of the stewards.

54.3 The stewards may impose any one of the penalties below on any driver involved in an Incident:

a) A five (5) second time penalty. The driver must enter the pit lane, stop in his pit stop position for at least five seconds and then re-join the sprint session or the race. The relevant driver may however elect not to stop, provided he carries out no further pit stop before the end of the sprint session or the race. In such cases five (5) seconds will be added to the elapsed the sprint session or race time of the driver concerned.

b) A ten (10) second time penalty. The driver must enter the pit lane, stop in his pit stop position for at least ten seconds and then re-join the sprint session or the race. The relevant driver may however elect not to stop, provided he carries out no further pit stop before the end of the sprint session or the race. In such cases ten (10) seconds will be added to the elapsed the sprint session or race time of the driver concerned.

In both of the above cases the driver concerned must carry out the penalty the next time he enters the pit lane and, for the avoidance of doubt, this includes any stop the driver makes whilst a VSC or safety car procedure is in use.

c) A drive-through penalty. The driver must enter the pit lane and re-join the sprint session or the race without stopping.

d) A ten second stop-and-go time penalty. The driver must enter the pit lane, stop in his pit stop position for at least ten seconds and then re-join the sprint session or the race.

If any of the four (4) penalties above are imposed upon a driver, and that driver is unable to serve the penalty due to retirement from the sprint session or the race, the stewards may impose a grid place penalty on the driver at his next race.

If any of the four (4) penalties above are imposed during the last three (3) laps, or after the end of a sprint session or a race, Article 54.4b) below will not apply and five seconds will be added to the elapsed time of the driver concerned in the case of (a) above, 10 seconds in the case of (b), 20 seconds in the case of (c) and 30 seconds in the case of (d).

e) A time penalty.

f) A reprimand.

g) A drop of any number of grid positions at the driver’s next race.

If any of the seven penalties above are imposed they shall not be subject to appeal.

h) Disqualification from the results.

i) Suspension from the driver’s next Event.

54.4 Should the stewards decide to impose any of the penalties under Article 54.3a), 54.3b), 54.3c) or 54.3d), the following procedure will be followed:

a) The stewards will give written notification of the penalty which has been imposed to the Competitor concerned and will inform all Competitors using the official messaging system.

b) With the exception of Articles 54.3a) and 54.3b) above, from the time the Competitor concerned is notified of the stewards’ decision via using the official messaging system the relevant driver may cross the Line on the track no more than twice before entering the pit lane and, in the case of a penalty in accordance with Article 54.3d), proceeding to his pit stop position where he shall remain for the period of the time penalty.

However, unless the driver was already in the pit entry for the purpose of serving his penalty, he may not carry out the penalty if the VSC procedure is in use or after the safety car has been deployed. The number of times the driver crosses the Line behind the safety car or during the VSC procedure will be added to the maximum number of times he may cross the Line on the track.

c) Whilst a car is stationary in the pit lane as a result of incurring a penalty in accordance with Articles 54.3a) or 54.3b) above, it may not be worked on until the car has been stationary for the duration of the penalty.

d) Whilst a car is stationary in the pit lane as a result of incurring a time penalty in accordance with Article 54.3d) above it may not be worked on. However, if the engine stops any work necessary to re-start it may be carried out after the time penalty period has elapsed. If the Competitor is unable to start the engine the car may then only be worked on in the driver’s garage.

e) Any breach or failure to comply with Articles 54.4b), 54.4c) or 54.4d) may result in the car being disqualified.

 

 

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