富士スピードウェイで開催された2021年SUPER GT 第2戦では、レース終盤に36号車 au TOM’S GR SupraとGT500クラスのトップ争いをしていた8号車 ARTA NSX-GTに対して黄旗区間での追い越しがあったとしてドライブスルーペナルティが科せられました。
この8号車に科せられた黄旗区間の追い越しについて解説します。
31号車のストップによるイエローフラッグ提示
レース終盤、コカコーラコーナー(ターン3)の手前でGT300クラスの31号車 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTがトラブルによりコース脇にストップし、現場手前の2番ポストではイエローフラッグが振られ、3番ポストから4番ポストの間が黄旗区間となりました。
GT500クラスのトップを走行していた8号車は後方に迫る36号車とトップ争いをしている最中に、この黄旗区間に差し掛かりました。前方にはGT300クラスの6号車 Team LeMans Audi R8 LMSがいましたが、8号車は6号車を追い越しました。
その後、31号車の車両撤去作業のため、フルコースイエロー(FCY)が導入されましたが、FCYが解除された後、8号車に対して黄旗区間での追い越しがあったと判定されドライブスルーペナルティが科せられました。
このペナルティにより、8号車はトップ争いから脱落し、最終的に8位でレースをフィニッシュしました。ペナルティが無ければ優勝していたレースだと言えます。
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31号車のストップした時間と8号車が現場を通過する時間を考慮すると、イエローフラッグが振られてから時間が経っていたとため、8号車がイエローフラッグを視認することは可能だったと考えられます。また、2位の36号車は黄旗区間では6号車を追い越すことなく走行をしていました。
また、SUPER GTでは無線でチームとドライバーは会話ができるため、チームは黄旗区間の存在についてドライバーへ教えることができます。そのため、8号車がイエローフラッグの存在に気付いていなかったとは考えにくいです。
したがって、8号車はイエローフラッグが振られていた3番ポストの前を通過する時点で6号車を抜き切っていたと判断したのかもしれません。
SUPER GTでは黄旗区間の開始と終了の地点を明確にするために、フラッグが提示されるオブザベーションポストの前のコース脇にポストの位置を示す白いペイントが施されます。
そのため、レースコントロールでの検証では、8号車が6号車を追い越した位置が確実に黄旗区間であったと判断したと考えられます。
イエローフラッグの無視はレースの安全性に関するレギュレーションですので、F1でも厳しく判定されていますが、今回の8号車のケースのようにSUPER GTでも厳しい検証が行われています。
ただ、いきなりドライブスルーペナルティが科せられてもレース観戦者はすぐに理解できないので、SUPER GTでもF1のようにレギュレーション違反などの検証が行われている案件については映像上で分かるようにしていただけると嬉しいですね。