ピットロード入口のホワイトラインカット
オーストリアのレッドブルリンクで開催された2021年第9戦オーストリアGPでは、アルファタウリの角田裕毅選手がピットロード入口のホワイトラインを2回またいでしまったことにより5秒間のタイムペナルティを2回科せられてしまいました。
今回は、ピットロード入口のホワイトラインカットの違反について解説したいと思います。
FIAやJAFの公認を受けたサーキットにはピットロード入口にピットインする車両とピットインしない車両が交錯することがないように、ホワイトラインが引かれています。
ピットインする車両はこのホワイトラインをまたぐことがないように走行し、ピットインしなければならないことになっています。
【参考】富士スピードウェイ
レギュレーション
レギュレーションとしては、FIAが定めるモータースポーツの共通規則である『国際モータースポーツ競技規則 付則L項』にピットロード入口のホワイトラインをまたぐことが禁止されています。
タイヤがホワイトラインを踏むのは認められていますが、タイヤが1本だけでもホワイトラインをまたいでしまうと違反と判定されます。
今回の角田選手の場合、左側のタイヤ2本がホワイトラインをまたいでしまったため、違反と判定されました。
同様に、ピットロード出口にもホワイトラインが引かれており、ピットアウトした車両がホワイトラインをまたいでコースへ合流すると違反と判定されます。
スチュワードの裁定
オーストリアGPでは、スチュワードによる審議の結果、角田選手のピットロード入口のホワイトラインカットが違反と判定され、角田選手に5秒間のタイムペナルティとペナルティポイント1が科せられました。
角田選手は2回実施したピットストップの両方で、ピットロード入口のホワイトラインをカットしてしまったため、ペナルティもそれぞれに対して科せられました。
1回目 (15:18)
5秒間タイムペナルティ
2回目 (16:04)
5秒間タイムペナルティ
【関連】2020年 F1 第14戦 トルコGP
2020年にイスタンブール パークで開催されたF1第14戦トルコGPでは、ピットストップの後、ピットロードからコースへ合流する際に、マックス・フェルスタッペン選手は濡れた路面で挙動を乱し、ピットロード出口に引かれているホワイトラインをカットしたのではないかとして審議にかけられました。
スチュワードによる審議の結果、フェルスタッペン選手はホワイトラインをまたぎきっていなかったと判定され、ペナルティが科せられることはありませんでした。
まとめ
サーキットのピットロード入口と出口にはホワイトラインが引かれています。
ピットインする車両はこのホワイトラインをまたぐことがないようにピットロードの入口に進入しなければなりません。
ピットアウトする車両はこのホワイトラインをまたいでコースへ合流することがないように走行しなければなりません。
レース中に限らず、公式予選などのすべてのセッションで守らなければなりません。
これは、FIAが定めるモータースポーツの世界共通のレギュレーションで定められており、国内で開催されている地方選手権のようなレースにおいても遵守しなければならない基本的なルールとなっています。
第4章 サーキットにおけるドライブ行為の規律
第4条 ピットレーンへの進入
d) 不可抗力(審査委員会によってそのように認められた)の場合を除き、ピット入口と走路の間の区分線は、いかなる方向であっても、ピットレーンに進入する車両が横断することは禁止される。
第5条 ピットレーンからの退去
ピットレーン出口には、緑色灯火と赤色灯火(あるいは類似の合図)が設置される。
車両は、緑色灯火が点灯(あるいは合図が出されている)時に限りピットレーンを離れることができる。
不可抗力(審査委員会によってそのように認められた)の場合を除き、ピットを離れる車両とトラック上を走行する車両とを区分する目的でピット出口のトラック上に引かれているいかなるラインも、ピットを離れる車両のいかなる部分が超えてはならない。