公式予選Q1での妨害行為
オーストリアのレッドブルリンクで開催された2021年第8戦シュタイアーマルクGPの公式予選Q3で1回目のタイムアタックを終えたアルファタウリの角田裕毅選手がタイムアタック中のメルセデスのバルテリ・ボッタス選手とターン4で交錯しました。
角田選手が明らかにボッタス選手の進路を妨害したわけではありませんが、空力の影響を受けやすい現代のF1マシンは数秒前方に走行しているマシンがいるだけで後方を走行する車両へ影響を与えます。そのため、ボッタス選手は大きなタイムロスをしたわけではありませんが、角田選手の走行により、わずかにタイムをロスしたのは事実と言えます。
Bottas fumes at Tsunoda 😡
Watch all the highs and lows from qualifying at the Red Bull Ring 🐂⛰#StyrianGP 🇦🇹 #F1
— Formula 1 (@F1) June 26, 2021
スチュワードの裁定
公式予選終了後、スチュワードは角田裕毅選手とバルテリ・ボッタス選手から事情聴取を行いました。
スチュワードのレポートによると、角田裕毅選手はボッタス選手がタイムアタック中であるという連絡をチームから無線で受けていましたが、チームは後方から迫っている警告を行わなかったとのことです。
スチュワードはボッタス選手が角田選手に迫ったとき、角田選手はレーシングライン上を走行していることを確認し、角田選手がレーシングラインを外そうとしたとき、ボッタス選手を不必要に妨害したと判断しました。
したがって、不必要に他のドライバーを妨害してはならないと定められているスポーティングレギュレーションの31.5条に違反したとして、角田選手に対して3グリッド降格のペナルティとペナルティポイント1が科せられました。
2021年 F1 第4戦 スペインGP 公式予選
シュタイアーマルクGPでの角田祐希選手の妨害行為と同様の事例として、2021年F1第4戦スペインGPの公式予選Q1でハースのニキータ・マゼピン選手がマクラーレンのランド・ノリス選手を不必要に妨害したとして、3グリッド降格のペナルティとペナルティポイント1が科せられました。
まとめ
予選8番手を獲得した角田裕毅選手でしたが、妨害行為により、3グリッド降格のペナルティが科せられてしまいました。ターン4手前でボッタス選手の接近を認識していれば、ターン4手前でレーシングラインを外し、コースの右側を走行することでボッタス選手を先行させていれば問題なかったと考えられます。
チームとドライバーのミスコミュニケーションが原因だと考えられますが、スチュワードは『チームはより速い車両が接近していることをドライバーが認識するために支援を行う必要があるが、コミュニケーションの欠如はドライバーの言い訳にはならない』と明らかにしました。
ただし、公式予選ではタイムアタックを妨害されないため、トラフィックに引っかからないようにクリアラップを確保しようとするのは当然であり、トラフィックに引っかかってしまうことはタイムアタック中のドライバーのリスクでもあります。
トラフィックに引っかかってしまったことが原因でタイムをロスしたとしても、明らかな妨害行為が無い限りは、タイムアタック中のドライバーに責任はあると考えます。
角田選手の対応が適切ではなかったかもしれませんが、明らかな妨害行為があったとも言えず、トラフィックのリスクを抱えてタイムアタックのタイミングを遅らせたボッタス選手にもわずかな責任があったと考えます。
5) PRACTICE SESSIONS
31.5 Any driver taking part in any practice session who, in the opinion of the stewards, stops unnecessarily on the circuit or unnecessarily impedes another driver shall be subject to the penalties referred to in Article 31.4.