【6/15】2022年 F1レギュレーションの主な変更内容

 

公式予選中に赤旗の原因となったドライバーに対するペナルティ

 

2021年F1第5戦モナコGP

2021年F1第5戦モナコGPでは公式予選Q3の終了間際にフェラーリのシャルル・ルクレール選手がガードレールにクラッシュし、赤旗(レッドフラッグ)が振られ、Q3へ進出したドライバーは最後のタイムアタックを中断することになり、公式予選は赤旗のまま終了となりました。

ルクレール選手は赤旗の原因となったアクシデントの当事者ではありますが、赤旗が振られた時点でトップタイムを記録していたため、モナコGPのポールポジションはルクレール選手が獲得することになりました。

モナコGPの後、公式予選で赤旗の原因となったドライバーにペナルティを科すべきではないかといった意見が多くありました。他のモータースポーツカテゴリーでは公式予選中に赤旗の原因となったドライバーに対して、タイムを抹消するなどのペナルティを科す場合があります。

そこで、公式予選で赤旗の原因となったドライバーに対する扱いについてまとめてみました。

 

 

 

赤旗の基本ルール

四輪モータースポーツで運用される赤旗の基本ルールを振り返ります。フラッグの共通ルールはFIAが発行する『国際モータースポーツ競技規則 付則H項』に記載されています。

H項目では公式予選中に赤旗が振られた場合、

  • セッションは中断される。
  • すべての車両は減速して走行しなければならない。
  • コース全域で追い越しが禁止される。
  • すべての車両は自身のピットに戻らなければならない。

と定められています。

このように、H項では公式予選中に赤旗の原因となったドライバーに対してペナルティを科すようなことは記載されていません。ペナルティを科すかどうかは各々のシリーズで定められ、必要な場合は特別規則書に記載されます。

シリーズの特別規則書に定められない場合は、公式予選中に赤旗の原因となったことに対して何らかのペナルティが科せられることはありません。

 

国際モータースポーツ競技規則 付則H項

2.5.4 競技長または副競技長によって使用される信号
2.5.4.1 競技長旗信号

b) 赤旗 :
プラクティスセッションまたは決勝レースの中止が決定された時、スタートラインにおいて振動表示される。サーキット上のすべてのマーシャルポストでも赤旗を振動表示するものとする。
中止の合図が与えられた際、

1) プラクティス中であれば、全車両、直ちに減速し、低速で各自のピットに戻らなければならない。

2) 決勝レース中であれば、全車両、直ちに減速し、低速で赤旗ラインに向かわなければならない。

3) 追い越しが禁じられるとともに、ドライバーは、レース車両およびサービス車両がトラック上に存在するかもしれないこと、サーキットは事故のための完全封鎖がされることがあること、天候により当該サーキットでレーススピードでの走行が不可能となることがあることについて留意していなければならない。

4) 決勝レースが中止となった場合、ドライバーは、レーススピードでの走行が以下の理由により、無意味となることについて留意していなければならない。
- 決勝レースの順位認定または再スタートにおけるグリッド順は、競技の各規則に則った赤旗提示直前の状況で確定するため。
- ピットレーン出口が閉鎖されるため。

全車両、決勝レースが再開されるか終了するかの情報が与えられ、マーシャルによる競技の各規則に則った適切な指示が与えられるまで、赤旗ライン※前に整列して停止するものとする。

コースを閉鎖するために、赤旗は競技長または競技長に指名された役員によって表示される。 

 

 

 

F1の公式予選で赤旗の原因となった場合

F1の2021年のスポーティングレギュレーションではモナコGPのとおり、公式予選で赤旗の原因となったドライバーに対してペナルティを科すようなレギュレーションはありません。

そのため、モナコGPの公式予選Q3で赤旗の原因となったルクレール選手に対してペナルティが科せられることはなく、ポールポジションはルクレール選手が獲得しました。

ただし、スポーティングレギュレーションの第31.5条ではスチュワードがコース上で不必要に停止したり、他のドライバーを妨害したと判断したドライバーに対してペナルティを科すことがあると記載されています。

F1では赤旗の原因となった行為に対してペナルティが科せられることはありませんが、意図的にクラッシュを引き起こすなどの行為によって、他のドライバーの走行を不必要に妨害したと判断された場合はペナルティが科せられる場合があります。

モナコGPのルクレール選手のアクシデントは他のドライバーに対する不必要な妨害と判断されなかったと言えます。

 

2021 FORMULA 1 SPORTING REGULATIONS

5) PRACTICE SESSIONS

31.5 Any driver taking part in any practice session who, in the opinion of the stewards, stops unnecessarily on the circuit or unnecessarily impedes another driver shall be subject to the penalties referred to in Article 31.4.

 

 

SUPER GTの公式予選で赤旗の原因となった場合

SUPER GTでは公式予選中に赤旗の原因となった車両は当該セッションで記録したラップタイムが抹消され、当該セッションへの参加ができなくなります。

つまり、公式予選中に赤旗の原因となった車両は当該セッションの最下位の順位となるため、かなり厳しいレギュレーションであると言えます。

これらのレギュレーションはSUPER GTのシリーズ規則である『2021 SUPER GT Sporting Regulations』の第29条 5. に記載されています。

SUPER GTの公式予選はGT500クラスとGT300クラスのそれぞれのクラスにおいて、Q1とQ2のセッションが行われ、出走台数も多いことから、赤旗が頻発すると、公式予選の時間が長くなってしまうことが考えられます。

あらかじめ決められたレーススケジュールを守り切るため、可能な限り赤旗が提示される状況を少なくしたいのではないかと考えます。そのため、SUPER GTでは赤旗の原因となった車両に対して重いペナルティが科せられるレギュレーションになっているのだと推測します。

 

2021 SUPER GT Sporting Regulations

第29条 プラクティスセッション (公式予選等)

5. 公式予選中、または公式予選中断時に、何らかの理由により競技役員の手助けを受けピットに戻った競技車両は、公式予選の残りの時間内に再びコースインすることはできない。公式練習での適用、および第18条ドライバーの遵守事項3項におけるケースを除く。

公式予選の各セッションで赤旗提示の原因と特定された車両は、当該セッションを含む残りの予選の走行はできない。また、当該セッションのタイムは抹消される。

 

 

スーパーフォーミュラの公式予選で赤旗の原因となった場合

スーパーフォーミュラでは公式予選中に赤旗の原因と特定されたドライバーに対してペナルティを科すことがある旨がレギュレーションで定められています。

レギュレーション上は赤旗の原因となったドライバーに対して、即ペナルティが科せられるというわけではなく、赤旗の原因となった経緯が審議され、ペナルティを科すかどうかが判断されるということが読み取れます。

スーパーフォーミュラでは、公式予選中に赤旗が振られた場合、自力で走行し自身のピットに戻った場合に限り、以降の走行に参加することが認められています。そのため、公式予選中にコースアウトしたり、ストップしたことが原因で赤旗が振られた場合、当該車両は自力でピットまで戻ることができなければ、以降の走行に参加できなくなってしまいます。

ただし、F1モナコGPでの事象のようにセッション終了間際での赤旗の原因となったドライバーに対しては、レギュレーションの『黄旗もしくは赤旗提示の原因と特定されたドライバーは、罰則の対象となる場合がある』の文言の運用に則って審議され、ペナルティが科せられるのかどうかが判断されることになると考えられます。

オートポリスで開催された2021年スーパーフォーミュラ第3戦ではウェット路面によるアクシデントのため赤旗が4回提示されましたが、赤旗の原因となったすべてのドライバーに対してタイム抹消のペナルティが科せられました。

したがって、2021年シーズンのスーパーフォーミュラでは『赤旗の原因=タイム抹消のペナルティ』といった運用が行われていると言えます。

 

2021年 全日本スーパーフォーミュラ選手権 統一規則

第27条 プラクティスセッション (公式予選等)

7. 公式予選中にコースアウトした車両は、当該予選中、赤旗中断中およびインターバル中に自力で走行し自己のピットに戻った場合は、以降の公式予選に出走することが許される。ただし、その際に何らかの理由により競技役員の手助けを受けピットに戻った場合は、再びコースインすることは許されない。ただし、第19条7.におけるケースを除く。

なお、黄旗もしくは赤旗提示の原因と特定されたドライバーは、罰則の対象となる場合がある。

 

まとめ

公式予選における赤旗の原因となったドライバーに対してペナルティを科すかどうかは、各レースシリーズの判断に委ねられています。

個人的には、赤旗の原因となったドライバーに対してペナルティが科せられるレギュレーションが採用されると、赤旗の原因とならないようにマージンを持った走行となり、公式予選で限界まで攻めたタイムアタックを観ることができなくなってしまう可能性が考えられるため、レギュレーションの変更は不要と考えます。

また、赤旗の原因となったドライバーに対してペナルティを科したところで、赤旗が振られた時点で予選が終了してしまう事実は変わらないため、安易にレギュレーションを変更をしたところで改善されるとは限りません。

ただし、現状のままでは、不公平が発生することが避けられないため、走行時間を延長するなど、全ドライバーが公平にタイムアタックができるチャンスを与えるというのも手段のひとつだと考えます。

可能な限り公平でエキサイティングな予選を演出できるレギュレーションの制定を期待したいです。

 

 

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