2020年
スーパー耐久シリーズでは2018年シーズンからFCY(フルコースイエロー)が導入されています。FCYはWEC(世界耐久選手権)をはじめとした海外のレースでは既に運用されていますが、国内のシリーズとしてはスーパー耐久シリーズが初めての運用となります。
国内のレースカテゴリーでは2020年シーズンからSUPER GTとスーパーフォーミュラにおいてもフルコースイエローが導入されることになりました。
出典:supergt.net
フルコースイエローが導入される場合
フルコースイエローはセーフティカーと同様に、コース上やコース脇に停止してしまった車両の回収作業を行う場合など、セーフティカーを導入するほとではないけれども、ダブルイエロー(黄旗2本)での対応では作業を行うコースマーシャルに危険が及ぶとレースコントロールが判断した場合に導入されます。
セーフティカーの運用はレース中に限られ、フリー走行や公式予選ではセーフティカーがコースインすることはありません。しかし、フルコースイエローはフリー走行や公式予選でも導入されます。フルコースイエローのおかげで、セッションを中断することなく、車両回収のような危険を伴う作業を行うことができます。
フルコースイエローの導入
レースコントロールでフルコースイエローの導入が決定されると、タイミングモニターやレースコントロール無線によってチームへフルコースイエローの導入が伝えられます。同時に、FCY導入に向けての10秒のカウントダウンが開始されます。
このとき、コース脇にある全てのオブザベーションポストで『FCY』ボードが提示されます。この時点からコース全域で追い越しが禁止されます。
※FCY原因の現場の手前のポストでは黄旗を提示
FCY導入に向けての10秒のカウントダウンがゼロになったタイミングで、全てのオブザベーションポストで提示されている『FCY』ボードに加えて、黄旗が振られます。この時点から速度が50km/hに制限され、速度の監視が開始されます。
セーフティカーが導入された場合、セーフティカーを先導とした縦列走行となるため、それまで築いてきたタイム差が無くなってしまいます。フルコースイエローの場合はすべての競技車両に対して同時に速度が50km/hに制限されるため、フルコースイエローの導入前のタイム差がそのままキープされます。
フルコースイエローの解除
フルコースイエローの導入中に停止車両の回収作業が完了したなど、コース上の危険が取り除かれたら、レースが再開されます。
レース再開に向けて、フルコースイエロー解除宣言がタイミングモニターやレースコントロール無線を通じてチームへ伝えられます。そのあと、全てのオブザベーションポストで緑旗が振られ、フルコースイエローが解除となり、レースが再開されます。
緑旗が振られるまでは50km/hの速度制限を守る必要があり、追い越しも禁止されます。
フルコースイエロー導入中のピットイン
スーパー耐久シリーズにおいては、フルコースイエロー導入中のピットインが認められています。
ただし、フルコースイエローが導入されている間にペナルティストップペナルティやドライブスルーペナルティを消化することはできません。
セーフティカーへの切り替え
フルコースイエローが導入された後、レースコントロールがコース上の危険な状況が解消されないと判断した場合は、フルコースイエローからセーフティカーの導入へ切り替わる場合があります。
その場合は、フルコースイエロー導入中にセーフティカーがコースインし、先頭車両の前に介入します。そのあと、オブザベーションポストで提示されている『FCY』ボードが『SC』ボードに切り替わります。黄旗はそのまま継続されます。この時点でフルコースイエローは終了し、セーフティカーの導入に切り替わります。50km/hの速度制限は解除されますが、セーフティカーの運用ルールを守る必要があります。
ZONE50
スーパー耐久シリーズのスポーツ規則には『ZONE50』というコースの一部分に限定した速度規制のルールが定められています。しかしながら、ZONE50の本格的な運用はまだ行われておらず、現状はコース全域における50km/hの速度制限の運用に留まります。
公式通知の一例
ピレリ スーパー耐久シリーズ2018 第6戦 岡山国際サーキット
レギュレーション
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<附則1> 決勝レース中のフルコースイエロー「FCY」+ゾーン50「ZONE50」運用規定
1. 競技長は、安全上の理由で必要であると判断した場合は、フルコースイエロー「FCY」期間を宣言することができる。一旦「FCY」の状態になると、1列縦隊に整列し、追い越しは厳禁とされる。すべての監視ポストでは、振動表示のイエローフラッグならびに「FCY」と書かれたボードが提示される。
「FCY」が運用されている間に、不要に遅く、一定しない動きで、あるいはその他のドライバーに危険を及ぼす恐れがあるような方法で運転されている一切の車両は大会審査委員会に報告される。これは、そのような車両が本コース走路にある時、ピット入口にある時、或いはピットレーン出口にある場合にも適用される。
2. 「FCY」運用中、全ての競技車両はピットレーンに進入する事は出来ない。従わなかった場合には、60秒以上のペナルティストップが課せられる。
3. マーシャルによるコース上での撤去作業や危険な現場直前の監視ポストでは、イエローフラッグ2本の振動表示と「ZONE50」と記載されたボードが提示され、車両は直ちに50km/hまで速度を落とさなくてはならない。
「ZONE50」区間を通過後、次のイエローフラッグの振動表示と「FCY」と記載されたボードが提示された監視ポストより50km/h規制区間は解除されるが、追い越しは禁止される。「ZONE50」区間は、複数のポスト間となる場合もある。
4. 一旦問題が解決したならば、競技長は、「FCY」の解除を宣言する。この時点で、全ての監視ポストは、イエローフラッグと「FCY」ボードを撤去し、同時にグリーンフラッグが振動表示される。レースおよび追い越しは、制約を受けることなく、車両同士の位置関係やラインに対する車両の位置に関わりなく、通常に再開される。
5. 「FCY」期間終了後も、問題が解決しておらず、安全面が危険にさらされている場合には、セーフティカーの介入がなされる。
6. 「FCY」が運用されている間、ドライバーがドライブスルーおよびペナルティストップを消化する目的で、すでにピット入口にいない限り、ペナルティを消化することはできない。
7. 上記以外の運用を行う場合、大会特別規則書、または公式通知にて公示される。