ペレス選手がボッタス選手をオーバーテイク
ポールリカール サーキットで開催された2021年F1第7戦フランスGP決勝の終盤となる49周目に、タイヤ交換のタイミングを遅らせたことによってタイヤのライフで優位に立つレッドブルのセルジオ・ペレス選手がターン10でメルセデスのバルテリ・ボッタス選手をオーバーテイクしました。
その後、国際映像では『TURN 11 INCIDENT INVOLVING CARS 11 AND 77 UNDER INVESTIGATION (No.11とNo.77が関係するターン11でのインシデントを検証中)』と表示がされ、チェッカーフラッグが振られた後に、『TURN 11 INCIDENT INVOLVING CARS 11 (PEREZ) AND 77 (BOTTAS) – NO FURTHER ACTION (No.11とNo.77が関係するターン11でのインシデントはこれ以上審議を行わない)』いわゆる『お咎め無し』と判定されました。
国際映像の情報だけでは、この時、何が起きていたのか分からなかったと思いますので、何が審議されていたのか解説をします。
オーバーテイク時のトラックリミット違反
ペレス選手のボッタス選手のオーバーテイクについての審議は、国際映像では『TURN11 INCIDENT INVOLVING CARS 11 AND 77 UNDER INVESTIGATION』と表示がされましたが、正しくはターン11ではなくターン10が正しいかと思います。
ペレス選手がボッタス選手をターン10の入口でオーバーテイクした後、ペレス選手はターン10の出口でトラックリミット違反をしました。映像ではトラックリミット違反かどうか正確に確認できませんが、スチュワードにより審議されているため、ペレス選手はトラックリミット違反をしていたのだと考えられます。
このペレス選手のオーバーテイク時のトラックリミット違反が審議の対象になりました。
スチュワードの裁定
スチュワードの判定を確認すると、ペレス選手のオーバーテイクはターン10の入口で完全に完了していることから、ペレス選手のトラックリミットは、ボッタス選手のオーバーテイクに関係なく、単なるトラックリミット違反として判定されたようです。
次のターン11に向けての走行が検証され、継続的なアドバンテージを得たと判断できなかったとして、お咎め無しと判定されました。
疑問点
スチュワードはペレス選手のボッタス選手に対するオーバーテイクとターン10出口でのトラックリミットを分けて判定していますが、ボッタス選手のオーバーテイクが無ければ、ペレス選手もトラックリミット違反をしていなかったと考えられます。
つまり、オーバーテイクをトラックリミット違反を分けて考えるのは無理があると言えます。
開幕戦のバーレーンGPでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手がメルセデスのルイス・ハミルトン選手をオーバーテイクした際に、トラックリミット違反によってアドバンテージを得たとしてレースコントロールは順位を戻すように指示をしましたが、今回はこの時と似たような状況であったと考えられます。
今回のペレス選手のオーバーテイクはアドバンテージが無かったと判定されましたが、視聴者にとっては何がアドバンテージで何がアドバンテージではないのか分からないため、レギュレーションで明文化するなど、判定の基準を明確にしてほしいと感じました。
今シーズンのF1は例年になく非常にエキサイティングなレースが続いていますので、レースディレクターやスチュワードには公平な判定をお願いしたいです。