モータースポーツではレースはあらかじめ定められた周回数を完走すると、チェッカーフラッグが振られて終了となります。
野球やサッカーのようなスポーツの場合は、試合が終了したときの結果がそのまま正式な結果となるのが普通です。試合終了後に点数が変わったり、勝利チームが変わったりすることはありません。
ところが、モータースポーツにおいてはレースが終了した時の順位がそのまま正式な結果になるとは限りません。レースに勝利したドライバーが失格となり、2位のドライバーが繰り上がって優勝となる場合もあります。
そこで、モータースポーツにおいて、チェッカーフラッグが振られてレースが終了となってから、正式なリザルトが発行されるまでの流れを解説します。
レース中に処理できなかった違反行為の検証
チェッカーフラッグが振られ、レースが終了となっても、レース終盤に発生した車両同士の接触やフラッグの無視といった違反行為に対する検証が続けられます。
違反に対する検証がすべて完了しなければ、レース結果は発行されません。
レース中の車両同士の接触に関しては記録された映像だけでは判定できない場合もあります。そのような場合は、レース後のドライバーから事情聴取を行う場合もあります。そのため、審議が長時間におよぶこともあります。
審議の結果、ペナルティと判定された場合は、レース結果にタイムが加算されたり、完走した周回数が減算されたりするため、レースをフィニッシュした順位から大きく変わる可能性があります。
車両保管
モータースポーツでは、チェッカーフラッグを受けてレースを終了した車両は『パルクフェルメ』と呼ばれる場所に駐車し、正式結果が発行されるまでは、競技役員しか車両に触れることができなくなります。これを『車両保管』と呼びます。
車両保管中の車両を対象として、再車検が行われます。もし、再車検で車両に技術的な違反があった場合は失格となり、レース結果から除外されます。
パルクフェルメや車両保管についての詳細はこちらの記事を参照ください。
暫定結果の発行
レース中の違反に対する検証やレース後に行われる再車検が全て完了すると、レースオフィシャルの計時委員によって、レースの暫定結果が作成されます。
作成されたリザルトには、計時委員長、競技長、審査委員長といった競技役員の直筆サインが記入されて完成となります。
その後、レース事務局からレースの暫定結果が発行されます。リザルトはチームに配布されるだけでなく、パドックにある掲示板にも貼り出されるため、誰でも見ることができる状態になります。
抗議
発行された暫定結果に納得ができない場合は、『抗議』をすることが認められています。レース中の接触に対する判定や、他チームの技術違反を指摘するような場合に抗議が行われます。
抗議についての詳細はこちらの記事を参照ください。
正式結果の発行
レースの暫定結果は、ほぼ『正式結果』であると言えます。それは、暫定結果が発行されてから30分が経過した時点で、抗議やリザルトの修正などがなければ暫定結果の内容がそのまま正式結果となるからです。
正式結果が発行された時点で、レース結果が確定します。正式結果が発行された後の抗議は認められていません。
正式結果が発行されるとパルクフェルメで行われていた車両保管が解除されます。レース車両はチームに引き渡され、ピットやパドックでは撤収作業が行われます。
このようにして、レースが終了します。
もし、暫定結果に対して『控訴』があった場合、レース結果は暫定のままとなります。後日、JAFのモータースポーツ審査委員会によって審議と裁定が行われ、レース結果が決まります。
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