カタロニアサーキットで開催された2021年F1第4戦スペインGPではレース終盤にアストンマーティンのランス・ストロール選手がアルピーヌのフェルナンド・アロンソ選手をオーバーテイクしようとして、サイドバイサイドの状態でターン1へ進入したところ、両者が接触しました。
この接触により、ストロール選手はターン1左側のランオフエリアへ弾かれる形となりましたが、この接触はレース後に審議されることになりました。
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レース後、スチュワードによって、以下の2点について審議が行われました。
- アロンソ選手とストロール選手の接触行為について
- ストロール選手がランオフエリアを通過した際に、あらかじめ決められていたボラードの左側を通って合流しなければならない取り決めを守らずコースへ合流したことについて
ストロール選手はアロンソ選手との接触によってランオフエリアに弾かれてしまいましたが、通常は、今回の件のように接触に対する検証とコースへの合流の仕方に対する検証はそれぞれ分けて行われます。
アロンソ選手とストロール選手との接触について
ターン1でのアロンソ選手とストロール選手との接触は、アロンソ選手がターン1を曲がり切れずストロール選手をコース外へ押し出すような形となりました。そのため、アロンソ選手に非があったと考えられます。
レース後、スチュワードはアロンソ選手とストロール選手から事情聴取を行い、映像による検証を行った結果、レーシングアクシデントと判定しました。
アロンソ選手は古いタイヤを履いていたこともあり、ターン1のエイペックスを通過することができず、ストロール選手をコース外へ押し出してしまいましたが、スチュワードはアロンソ選手が接触を避けようと適切な行動をしていたと判断しました。
最終的にストロール選手がアロンソ選手をオーバーテイクしたため、両ドライバーが納得できる結果になったと言えます。もし、接触の結果、ストロール選手がリタイヤを強いられる状況になっていた場合や、アロンソ選手が先行したままレースが終了した場合は、スチュワードの裁定結果は変わっていたかもしれません。
ストロール選手のコースへの合流の仕方について
今回のスペインGPではターン1はトラックリミットの監視対象となっており、ターン1を曲がり切れずにターン2へ進入し損ねた場合は、ランオフエリアを通過して、ターン3入口に設置してある2本のボラードの左側を通過した後、コースへ合流するようにあらかじめ決められていました。
今回のストロール選手は意図的にトラックリミット違反をしたのではなく、アロンソ選手との接触によってランオフエリアへ弾かれる形となりました。ストロール選手は、ランオフエリアに出た後、ボラードの左側を通過せずに、コースへ合流しました。
スチュワードは、ストロール選手がコースへ合流した後、コース左側のラインを走行をし続けたこと、スローダウンしてアロンソ選手とボッタス選手を先へ行かせたことを鑑み、総合的にアドバンテージが無かったと判断し、ペナルティは科しませんでした。