2021年F1エミリア・ロマーニャGPではスタート直後にコースオフしたウイリアムズのニコラス・ラティフィ選手がコースへ復帰した後、ハースのニキータ・マゼピン選手と接触し、ラティフィ選手がウォールに衝突しました。このアクシデントのためレースはセーフティカーが導入されました。
このセーフティカー導入中にレッドブルのセルジオ・ペレス選手が追い越しをしたため、10秒間のタイムペナルティが科せられました。
セーフティカー導入中の追い越し
セーフティカーが導入され、セーフティカーを先頭とした隊列走行を行っていたとき、レッドブルのセルジオ・ペレス選手がターン9でウェットコンディションの路面のため挙動を乱し、コース右側へオーバーランしてしまいました。
その際、マクラーレンのダニエル・リカルド選手とアルファタウリのピエール・ガスリー選手はコースオフしたペレス選手を追い越しました。
コースへ復帰したペレス選手は、順位を取り戻すため、ガスリー選手とリカルド選手を追い越しました。
スチュワードはペレス選手が順位を取り戻すためにガスリー選手とリカルド選手を追い越した行為に対してセーフティカー導入中の追い越しとして10秒間のタイムペナルティとペナルティポイント2を科しました。
国際モータースポーツ競技規則 付則H項ではセーフティカー導入中にコース上で追い越しが認められる場合は、『セーフティカーから合図された場合』と『明らかに問題を抱えて車両がスローダウンしている場合』に限られます。
リカルド選手とガスリー選手がペレス選手を追い越した行為が問題無いのはペレス選手が『明らかに問題を抱えて車両がスローダウンしている場合』に該当するためです。
コース復帰したペレス選手が順位を取り戻すために、ガスリー選手とリカルド選手を追い越した行為はレギュレーションでは認められていないため、スチュワードは違反と判定したと考えられます。
国内で開催されているモータースポーツではセーフティカー導入中にオーバーランをする行為に対してペナルティが科せられる場合があります。セーフティカー導入中はコース全域が黄旗区間のような状況のため、細心の注意を払って走行しなければならず、そのような状況でオーバーランをすることが違反行為に該当すると判断されるためです。
今回のペレス選手のセーフティカー導入中のオーバーランの行為自体は特に審議されていません。
2.10 セーフティカー運用手順
決勝レースの非競技化
2.10.10 その後、すべての競技車両はセーフティカーの後方に隊列を作って整列し、その隊列はセーフティカーから車両5台分の距離で続き、以下の例外を除いて、セーフティカーがピットレーンに戻った後車両がスタートライン(もしくは次の決勝レースの非競技化終了地点)に到達するまで追い越しは禁止される。
次の状況においては、追い越しが許される。