2022年
FIA Formula 3 Championshipとは
FIA Formula 3 ChampionshipはF1ドライバーになるためには参戦必須となっているFIA Formula 2 Championshipへの登竜門となるシリーズです。各地域のFIA Formula 4 Championshipやジュニアフォーミュラレースシリーズのチャンピオンや上位ドライバーが参戦します。
Formula 1がF1と呼ばれるようにFormula 3もF3と呼ばれます。
FIA F3 Championshipは世界中の若手ドライバーが数多く参戦し、F1がヨーロッパなどで開催される時には、FIA F2 Championshipと共にサポートレースとして併催されています。
2019年以前は日本を含む世界の各地域でF3選手権が開催されていました。また、FIA F2 Championshipの前身であるGP2シリーズの下位カテゴリーとして2010年から2018年まで『GP3シリーズ』が開催されていました。
FIAがF1を頂点としたフォーミュラカーシリーズの再編を行うため、GP3シリーズはFIA F3 Championshipとして2019年に新たにスタートしました。FIA F3 ChampionshipはFIA F2 Championshipの下位カテゴリーに位置付けられ、それまでに開催されていた各地域のF3選手権は2019年をもって終了することになりました。
各地域で開催されていたF3選手権はフォーミュラリージョナルとしてFIA F3 Championshipと各地域で開催されているFIA F4 Championshipの間に位置付けられるカテゴリーとして残っています。日本で開催されていた全日本F3選手権は『全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権』へ引き継がれています。
FIA Formula 3 Championship
ロゴマーク
©FIA Formula 3 Championship
マシンは『ダラーラ F3 2019』のワンメイク
FIA F3 Championshipで使用されるマシンはイタリアのレーシングカーコンストラクターであるダラーラがFIA F3 Championshipのために専用開発した『ダラーラ F3 2019』が採用されています。
エンジンはメカクローム製の3.4L V6 自然吸気エンジンで全車イコールコンディションのワンメイクレースとなっています。
タイヤはF1と同様に『ピレリ』が供給します。
ダラーラ F3 2019
2019年にそれまでのGP3からFIA F3 Championshipへ変わるとともに、マシンもGP3で採用されていた『ダラーラ GP3/16』から『ダラーラ F3 2019』へ変更されました。
ダラーラ F3 2019はダラーラ GP3/16をベースにフロントサスペンション周りに修正が加えられ、HALOを装備するなど、安全性が向上しています。
F1と同様にレース中のオーバーテイクのチャンスを増加させるため、DRS(Drag Reduction Systems)が採用されています。
車両名称 | ダラーラ F3 2019 |
モノコック | ダラーラ製 カーボンモノコック |
トランスミッション | ヒューランド製 6速 縦型シーケンシャル ギアボックス |
電装系 | マレリ製 電気/油圧式パドルシフト |
ECU-GCUデータロガー | |
高速データ収集システム (テレメトリー非装備) |
メカクローム 3.4L V6 自然吸気エンジン
ダラーラ F3 2019にはメカクローム製の3.4L V6 自然吸気(NA)エンジンが搭載されます。エンジンの最大出力は380馬力(@8,000rpm)に達します。このエンジンはGP3シリーズでも採用されていましたが、引き続きFIA F3 Championshipでも継続して採用されています。
パフォーマンス
(ダラーラ F3 2019との組み合わせ)
0-100 km/h 加速 | 3.0秒 |
最高速度 | 300 km/h |
最大ブレーキ制動力 | -1.9 G |
最大 横G | ±2.6 G |
FIA Formula 3 Championship
2022年ドライバーラインナップ
No. | ドライバー | チーム |
1 | ジョニー エドガー | トライデント |
2 | ロマン スタニェク | |
3 | ゼイン マロニー | |
4 | アルトゥール ルクレール | プレマ レーシング |
5 | ジャク クロフォード | |
6 | オリバー バーマン | |
7 | ビクター マーティンズ | ART グランプリ |
8 | グレゴワール ソーシー | |
9 | ファン マヌエル コレア | |
10 | カイオ コレット | MP モータースポーツ |
11 | アレクサンドル スモリアル | |
12 | クッシュ マイニ | |
14 | ラズロ トース | チャロウズ レーシング システム |
15 | エアトン シモンズ | |
16 | フランチェスコ ピッツィ | |
17 | カイレン フレデリック | ハイテック グランプリ |
18 | イサック ハジャール | |
19 | ナジム アズマン | |
20 | デビッド ヴィダレス | カンポス レーシング |
21 | ハンター イェーニー | |
22 | ペペ マルティ | |
23 | イド コーエン | イエンツァー モータースポーツ |
24 | ニコ カリ | |
25 | ウイリアムズ アラタロ | |
26 | ザック オサリバン | カーリン |
27 | ブラッド ベナヴィデス | |
28 | エンツォ トゥルーリ | |
29 | フランコ コラピント | ファン アメルスフォールト レーシング |
30 | ラファエル ヴィラゴメス | |
31 | リース ウシジマ |
FIA Formula 3 Championship
2022年 開催スケジュール
FIA F3 Championshipはこれまでのシーズンと同様にF1のサポートレースとして開催されます。
2021年シーズンは新型コロナウイルス『CIVUD-19』の感染拡大の影響のため、FIA F2 Championshipと分けてF1のサポートレースとして、1大会3レースのフォーマットで開催されました。
2022年シーズンのFIA F3はかつての1大会2レースのフォーマットに戻り、FIA F2 Championshipと共にF1のサポートレースとして全9大会が開催されます。
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 3/18〜3/20 | バーレーン |
第2戦 | 4/22〜4/24 | エミリア・ロマーニャ |
第3戦 | 5/20〜5/22 | スペイン |
第4戦 | 7/1〜7/3 | イギリス |
第5戦 | 7/8〜7/10 | オーストリア |
第6戦 | 7/29~7/31 | ハンガリー |
第7戦 | 8/26~8/28 | ベルギー |
第8戦 | 9/2~9/4 | オランダ |
第9戦 | 9/9~9/11 | イタリア |
【参考】2021年 開催スケジュール
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 5/7~5/9 | スペイン |
第2戦 | 6/25~6/27 | フランス |
第3戦 | 7/2~7/4 | オーストリア |
第4戦 | 7/30~8/1 | ハンガリー |
第5戦 | 8/27~8/29 | ベルギー |
第6戦 | 9/3~9/5 | オランダ |
第7戦 | 10/22~10/24 | アメリカ |
ライセンス
FIA F3 Championshipへ参戦するにはFIAが発行する国際Aもしくは国際Bライセンスを保有している必要があります。
スーパーライセンスポイント
FIA F3 Championshipのシリーズ10位までのドライバーには、F1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスポイントが与えられます。過去3年においてスーパーライセンスポイントを40ポイント以上を獲得することでスーパーライセンスを取得できる資格が与えられます。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
30 | 25 | 20 | 15 | 12 | 9 | 7 | 5 | 3 | 2 |
走行セッション
FIA F3 Championshipでは金曜日の午前に『フリー走行』、午後に『公式予選』が開催されます。土曜日はレース時間が40分間+1周で争われる『スプリントレース』、日曜日はレース時間が45分間+1周で争われる『フューチャーレース』が開催されます。
2021年シーズンは、金曜日にフリー走行と公式予選、土曜日にレース1とレース2、日曜日にレース3が開催されるフォーマットで開催されていました。
金曜日 午前
フリー走行
( 45分 )
金曜日 午後
公式予選
( 30分 )
土曜日
スプリントレース
( 40分 + 1周 )
日曜日
フューチャーレース
( 45分 + 1周 )
フリー走行
FIA F3 Championshipでは公式予選の前に45分間のフリー走行(Practice Session)が開催されます。
F1と併催されない場合はフリー走行や公式予選のスケジュールを変更できることが認められています。
公式予選
FIA F3 Championshipの公式予選は金曜日のフリー走行の後に開催されます。30分間の走行時間の間にタイムアタックを行い、タイムが速いドライバーの順に順位が決定されます。
公式予選の順位に基づき、土曜日に開催されるスプリントレースと日曜日に開催されるフューチャーレースのスターティンググリッドが決定されます。
また、ポールポジションを獲得したドライバーにはシリーズポイントが2ポイント与えられます。
ポールポジションドライバーのタイムの107%が公式予選通過基準タイムとなります。
スプリントレース
FIA F3 Championshipでは決勝レースは『スプリントレース』と『フューチャーレース』の2回開催されます。
スプリントレースはレース時間が40分間+1周と定められています。レース時間が40分を経過した次の周がファイナルラップ(最終週)となります。
スプリントレースで上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
リバースグリッドによりグリッド順を決定
スプリントレースのグリッド順は公式予選の順位に応じて決定します。公式予選で上位12位のドライバーのグリッドはリバースグリッドとなります。
公式予選で1位だったドライバーはレース1では12位スタートとなり、2位だったドライバーは11位スタートとなります。公式予選で13位以下だったドライバーはレース1ではその順位でのスタートとなります。
公式予選の順位 | レース1のグリッド |
1位 | 12位 |
2位 | 11位 |
3位 | 10位 |
4位 | 9位 |
5位 | 8位 |
6位 | 7位 |
7位 | 6位 |
8位 | 5位 |
9位 | 4位 |
10位 | 3位 |
11位 | 2位 |
12位 | 1位 |
13位 | 13位 |
14位 | 14位 |
: | : |
フューチャーレース
FIA F3 Championshipのフューチャーレースはレース時間が45分間+1周と定められています。レース時間が45分を経過した次の周がファイナルラップ(最終週)となります。
フューチャーレースのスターティンググリッドは公式予選の順位に基づき決定されます。スプリントレースと異なり、リバースグリッドは採用されません。
フューチャーレースで上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
セーフティカー / バーチャルセーフティカー(VSC)
FIA F3 Championshipではレース中、コース上に危険な状況が発生した場合は、『セーフティカー (SC)』や『バーチャル・セーフティカー (VSC)』が導入されます。
セーフティカーの運用ルールは基本的に国際モータースポーツ競技規則付則H項に準拠します。また、バーチャル・セーフティカーの運用ルールはF1での運用ルールを踏襲します。
タイヤ
FIA F3 ChampionshipのタイヤはF1と同様にピレリのワンメイクです。
FIA F3 Championshipでは週末を通して使用できるタイヤはドライタイヤ4セットと2セットのウェットタイヤと定められています。
4セットのドライタイヤのうち、3セットは新品のタイヤが供給されますが、1セットは前回のレースイベントやテストから持ち越して使用する場合があります。
この持ち越されたドライタイヤは公式予選の開始までにタイヤサプライヤーへ返却する必要があります。
ポイント
FIA F3 Championshipではスプリントレースとフューチャーレースの2回のレースが開催されますが、順位に応じて与えられるポイントはスプリントレースとフューチャーレースで異なります。フューチャーレースで与えられるポイントはスプリントレースで与えられるポイントよりも多く設定されています。
また、ポールポジションを獲得したドライバー、それぞれのレースでファステストラップを記録したドライバーにもポイントが与えられます。
シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがシリーズチャンピオンとなります。
スプリントレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
10 | 9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
フューチャーレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
ポールポジションに2ポイント
FIA F3 Championshipでは公式予選でポールポジションを獲得したドライバーに2ポイントが与えられます。
ファステストラップドライバーに1ポイント
FIA F3 Championshipではスプリントレースとフューチャーレースのそれぞれのレースでファステストラップを記録したドライバーに1ポイントが与えられます。
ファステストラップでポイントを獲得するには、レース距離の90%以上を走行し、レースを10位以内で完走する必要があります。
ポールポジションを獲得し、スプリントレースとフューチャーレースのそれぞれでファステストラップを記録して優勝した場合、39ポイントを獲得することができます。
レースが途中で中止となった場合
悪天候のためレースをスタートすることができなかったり、レースの途中でレッドフラッグが振られてレースが中断となり、再開されることなくレースが終了となる場合もあります。
このように、レースが規定の周回数を終える前に終了した場合、ドライバーやチームに与えられるポイントが通常と異なる場合があります。
2022年シーズンから、F1と同様にレースが途中で中止となった場合に与えられるポイントが変更となりました。
先頭車両が2周回を完了する前に中止となった場合
レースは成立したと認められず、ポイントは与えられません。
SC、VSCの介入無しで先頭車両が2周回を完了する前に中止となった場合
セーフティカー(SC)やバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、セーフティカーやバーチャル・セーフティカーが介入されていない状態で先頭車両が2周回を完了していない場合は、レースは成立したと認められず、ポイントは与えられません。
先頭車両が2周回を完了し、レース距離の25%未満で中止となった場合
レースは成立したと認められますが、与えられるポイントは以下のとおりになります。
スプリントレース
1位 | 2位 | 3位 |
3 | 2 | 1 |
フューチャーレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
先頭車両がレース距離の25%を完了したが、レース距離の50%未満で中止となった場合
レースは成立したと認められますが、与えられるポイントは以下のとおりになります。
スプリントレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 |
5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
フューチャーレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 |
13 | 10 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
先頭車両がレース距離の50%を完了したが、レース距離の75%未満で中止となった場合
レースは成立したと認められますが、与えられるポイントは以下のとおりになります。
スプリントレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
フューチャーレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
19 | 14 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
先頭車両がレース距離の75%以上を完了した後で中止となった場合
レースは成立したと認められ、通常のポイントが与えられます。
歴代チャンピオン
シリーズ | ドライバー | チーム |
2019 | ロバート シュワルツマン | プレマ レーシング |
2020 | オスカー ピアストリ | プレマ レーシング |
2021 | デニス ハウガー | プレマ レーシング |
関連サイト
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