赤旗 (レッドフラッグ)

 

 

 


 

赤旗(レッドフラッグ Red Flag)はレースの中断を意味します。安全上の理由で競技長がレースを中断する必要があると判断した時に提示されます。赤旗の提示は振動(旗を振る)で行われます。

具体的には、大雨などの天候の急変や、コース上に車両が停止するなどして競技の続行が困難と判断されたときなどが挙げられます。

 

 

規則

国際モータースポーツ競技規則 付則H項
(2016年3月11日発行版)

2.4.4.1 b) 赤旗:
プラクティスセッションまたは決勝レースの中止が決定された時、スタートラインにおいて振動表示される。サーキット上のすべてのマーシャルポストでも赤旗を振動表示するものとする。中止の合図が与えられた際、

1) プラクティス中であれば、全車両、直ちに減速し、低速で各自のピットに戻らなければならない。

2) 決勝レース中であれば、全車両、直ちに減速し、低速で赤旗ライン※(本項末の注参照)に向かわなければならない。

3) 追い越しが禁じられるとともに、ドライバーは、レース車両およびサービス車両がトラック上に存在するかもしれないこと、サーキットは事故のための完全封鎖がされることがあること、天候により当該サーキットでレーススピードでの走行が不可能となることがあることについて留意していなければならない。

4) 決勝レースが中止となった場合、ドライバーは、レーススピードでの走行が以下の理由により、無意味となることについて留意していなければならない。

– 決勝レースの順位認定または再スタートにおけるグリッド順は、競技の各規則に則った赤旗提示直前の状況で確定するため。

– ピットレーン出口が閉鎖されるため。

全車両、決勝レースが再開されるか終了するかの情報が与えられ、マーシャルによる競技の各規則に則った適切な指示が与えられるまで、赤旗ライン※前に整列して停止するものとする。

コースを閉鎖するために、赤旗は競技長または競技長に指名された役員によって表示される(2.1.4 C)参照)。

※赤旗ライン:コースサイドからもう一方のコースサイドまで、トラックのセンターラインに対し直角で、トラックを横切る20cm幅の実線で、ノンスキッドペイント(すべり止め効果のある塗料)で示される。決勝レースが中止または中断した際に、その箇所の後方に全車両が停止しなければならない。この車両停止箇所は、決勝レースが再開した際に、セーフティカーが先導をするためのスターティンググリッド隊列を容易に編成することができるとともに、各車両が容易にその隊列に加わることができる場所とする。

2.4.5.1 a) 赤旗:
前述の2.4.4.1b)に従いプラクティスセッションまたは決勝レースを中止する必要が生じた場合、競技長の指示のみに基づいて振動表示される。

 

 

赤旗が提示されるとき

競技長がセッションを中断する必要があると判断した時に全てのオブザベーションポストで赤旗が提示されます。赤旗は各ポストの判断で提示することはできません。

redflag_stop

 

大雨などの天候の急変

大雨により、競技車両が安全に走行できないと判断されたとき、赤旗により中断されます。

 

ドライバーが自力で降りられない

アクシデントによりドライバーが負傷するなどして、自力で車両から降りられない場合や、ドライバーの意識がなく、救出作業が必要な場合は競技を続行することよりもドライバーが優先され、赤旗により中断されます。

 

火災が発生したとき

ガソリンに引火するような大規模な車両火災が発生し、ファイヤーカーによる消火作業が必要な場合は消火が優先され赤旗により中断されます。消火器で対応できるような小規模な火災の場合は競技は続行されるケースが多いです。

 

停止車両の回収に危険が伴う

コース上に車両がストップし、セーフティカーを導入したとしても、作業中のコースマーシャルに危険が及ぶ可能性がある場合は赤旗により中断されます。

 

停止車両の回収に時間がかかる

複数台の車両がコース上にストップした場合など、車両回収に時間がかかると判断されたときはは赤旗により中断されます。

 

安全設備の破損

アクシデントにより、ガードレールやタイヤバリアが破損したとき、安全に競技を継続することが困難と判断され、赤旗が提示されます。

ガードレール破損の場合は修復のため長時間の中断となる場合があります。

 

濃霧による視界不良

大雨だけではなく濃霧の場合においても競技が安全に行えないと判断され、赤旗が提示されます。

コース上の隣り合ったオブザベーションポスト同士が目視で確認できるかどうかが、赤旗中断となる目安になります。

 

ドクターヘリが飛べない場合

F1などドクターヘリの配備が求められるレースにおいてはドクターヘリが飛べないと判断された時、赤旗中断となる場合があります。

サーキットの天候は良くても、搬送先の病院に到達できないと判断されると競技は継続できません。また、ドクターヘリが飛べずにサーキットに配備できない場合は走行セッションを開始できません。

2017年F1第2戦中国グランプリの金曜日フリー走行では天候不良のためドクターヘリが飛べずにセッションの大半が赤旗のため中断となりました。このとき、ドクターヘリがサーキット上空では飛行できても、搬送先の病院上空で視界不良のため飛行できないとの理由でした。

 

 

赤旗が提示されると

赤旗が提示されるとコース全域で追い越しが禁止されます。また、減速していないとペナルティの対象となります。

redflag_overtake

 

 

フリー走行および公式予選での運用

 

全ての競技車両はピットインしなければならない

フリー走行および公式予選では赤旗が提示されると全ての競技車両はピットインしなければなりません。

赤旗後にピットインせずにメインストレートを立ち上がった車両については、ドライバーが赤旗が振られているのを確認できたかどうかが審議され、赤旗を確認できたにも関わらずピットインしない車両はペナルティの対象となります。

また、赤旗が提示された時点でピットロード出口のシグナルが赤に変わりますので、ピットインしていた車両はコースインできなくなります。当然、シグナルが赤の状態でコースインするとペナルティの対象になります。

redflag_pitroad

 

 

決勝での運用

 

全ての競技車両は赤旗ライン後方に整列

決勝中に赤旗が提示されると全ての競技車両は赤旗ラインの後方に整列します。全車両が整列した後、コース上の危険が取り除かれるまでは、競技は中断されます。

コース上の危険が取り除かれると、レースコントロールで競技の再開時間が決定されます。再開の手順については特別規則書等で規定されます。

 

赤旗ラインの位置

サーキット毎に異なるため、特別規則書にて赤旗ラインの位置が規定されます。コントロールライン付近に設定されるケースが多く、F1においてはピットロード出口付近に設定されています。基本的に赤旗ラインは仮想ラインとなりますので、実際にコース上にラインが引かれてはいません。

鈴鹿サーキット

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(2016年 鈴鹿サーキット一般競技規則書)

 

富士スピードウェイ

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(2016年 富士スピードウェイ一般競技規則書)

 

ツインリンクもてぎ

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(2016年 ツインリンクもてぎ四輪一般競技規則書)

 

レースの再開手順

レース再開の手順は特別規則書でシリーズやサーキット毎に規定されますが、レーススタート時のように、5分前、3分前、1分前といったようにボード提示と共にカウントダウンされます。

 

セーフティカー先導でレース再開

赤旗後のレース再開はセーフティカー先導により走行が開始されます。再スタートはセーフティカー解除時と同様の手順となります。

 

レースの成立

赤旗提示後は基本的に再スタートに向けて進行されますが、レースコントロールの審議の結果によっては、レースを再開せずに、そのままレースが成立する場合があります。レースを再開できない理由としては、以下のような場合が挙げられます。

  • 中断による遅延のため日没となり視界不良のため。
  • 天候が回復する見込みがない(大雨、濃霧)
  • 破損したガードレールやタイヤバリアが修復できない
  • コース上の危険が取り除かれない

赤旗によるレース中断のまま成立となった場合は、順位は中断された時の順位どおりにはなりません。

順位の決定方法は特別規則書などに規定されますが、通常は中断した周回から2周回前のコントロールライン通過順といったように、中断の数周前の順位が採用されます。

2016年マカオ・ギアサーキットで開催されたFIA GTワールドカップではレース終盤にマシンが横転する大クラッシュが発生し赤旗が提示され、協議の結果、レースは再開されることなくそのまま終了となりました。レギュレーションに則り、レース結果は赤旗の2周前のコントロールライン通過順が採用されローレンス・バントールが勝者となりましたが、バントールは赤旗の原因となったクラッシュを起こしたドライバー本人で物議を醸しました。