『ピットイン』、『ピットアウト』
コースを走行している車両がピットロード入口からピットへ入ることを『ピットイン』、ピットにいる車両がピットロードを通過して、コースへ出ることを『ピットアウト』と呼びます。
ピットロードを走行するときは、当然ながら、ピットロードの制限速度を守らなければなりませんが、ピットイン、ピットアウトのやり方についても、レギュレーションで定められています。
ピットロード入口のホワイトライン
モータースポーツを開催しているサーキットのピットロード入口にはコースとピットロードを区切るホワイトライン(白線)が引かれています。
【参考】富士スピードウェイ
ピットロード入口のホワイトラインの横断禁止
ピットインする車両はピットロード入口に引かれているホワイトラインよりもピットロード側を走行しなければならず、ピットイン時にこのホワイトラインをまたぐことは禁止されています。
これは、FIAが定める四輪モータースポーツの共通規則である『国際モータースポーツ競技規則 付則L項』に定められており、レースカテゴリーに関わらず守らなければならないレギュレーションのひとつとなっています。
ピットインする車両がこのホワイトラインを踏むことは許容されています。ただし、タイヤが1本でも、ホワイトラインをまたいでしまう(横切ってしまう)と、違反と判定され、ペナルティを科せられる場合があります。
ピットイン時、ピットロード入口と走路の間の区分線を超えてはならない。
ピットロード出口のホワイトライン
ピットロード入口と同様に、ピットロード出口にもコースとピットロードを区切るホワイトラインが引かれています。
【参考】鈴鹿サーキット
ピットロード出口のホワイトラインの横断禁止
ピットアウトする車両はピットロード出口に引かれているホワイトラインをまたぐ(横切る)ことなく走行し、コースへ合流しなければなりません。
ピットイン時と同様に、ピットアウトする車両がこのホワイトラインを踏むことは許容されていますが、タイヤが1本でも、ホワイトラインをまたいでしまう(横切ってしまう)と、違反と判定され、ペナルティを科せられる場合があります。
ピットアウト時、ピットロード出口と走路の間の区分線を超えてはならない。
第4章 サーキットにおけるドライブ行為の規律
第5条 ピットレーンからの退去
(2021年12月15日発行版)
c) 不可抗力(審査委員会によってそのように認められた)の場合を除き、ピットレーンを出ようとする車両の一切のタイヤは、ピットを離れる車両とトラック上を走行する車両とを区分する目的でピット出口のトラック上に引かれているいかなるラインも超えてはならない。
ピットアウト時の他車への妨害行為の禁止
フリー走行や公式予選などでは、ピットロードを通過し、ピットロード出口からコースへ合流した車両は、メインストレートを走行している車両よりも、速度が遅いため、他車の走行を妨害しないように走行する必要があります。
後方から速い車両が接近しているにも関わらず、レーシングラインをふさぐなどして、後方から迫る車両の走行を妨害してしまうと、ブルーフラッグ(青旗)無視や、他車への妨害行為、危険なドライブ行為などを行ったと判定され、ペナルティが科せられる場合があります。
決勝においては、順位を争っているため、コースへ合流した車両が順位を守るために、後方から迫る車両をブロックすることは問題ありません。ただし、ピットロード出口のホワイトラインをカットすることなく、正しくピットアウトしていることが前提となります。
2021年 F1 第9戦 オーストリアグランプリ
オーストリアのレッドブルリンクで開催された2021年第9戦オーストリアGPでは、アルファタウリの角田裕毅選手がピットロード入口のホワイトラインを2回またいでしまったことにより5秒間のタイムペナルティを2回科せられてしまいました。
(2021年12月15日発行版)
第4章 サーキットにおけるドライブ行為の規律
第4条 ピットレーンへの進入
不可抗力(審査委員会によってそのように認められた)の場合を除き、ピットレーンに進入する車両の一切のタイヤは、いかなる方向であっても、ピットレーンに進入する車両とコース上の車両を分離する目的でピット入口のコース上に引かれた一切のラインを横断することは禁止される。