ピットロード入口の閉鎖
モンツァで開催された2020年F1第8戦イタリアGPでは、ハースのケビン・マグヌッセン選手がマシントラブルのため、ピットロード入口のコース脇にマシンを停止させました。マシンからオイルが漏れていたこともあり、すぐにセーフティカーが導入されました。
セーフティカー導入のタイミングがタイヤ交換のタイミングと一致していたため、先頭を走行していたルイス・ハミルトン選手はタイヤ交換のためにピットインしました。しかし、このとき、ピットレーンの入口が閉鎖されており、ピットインが禁止されていました。
ピットロード手前のデジタルフラッグにもピットロードの入口が閉鎖されている表示がされており、チームにもメッセージでピットロードの入口が閉鎖されていることが伝えられていました。
これにより、ルイス・ハミルトン選手には10秒のストップ・アンド・ゴーのペナルティが科されました。ペナルティにより順位を落とし、最終的に7位でフィニッシュしました。
⚠️ PENALTIES ⚠️
Lewis Hamilton and Antonio Giovinazzi both receive a 10-second stop-go penalty for entering the pit lane when closed
They will both serve this when racing resumes#ItalianGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/BYFxWAi22D
— Formula 1 (@F1) September 6, 2020
ピットロードの入口が閉鎖されたことは過去に全くと言って良いほど無かったと認識しています。しかしながらスポーティングレギュレーションにはレースディレクターの判断でピットロード入口が閉鎖される場合があること、違反すると10秒間のストップ・アンド・ゴーのペナルティが科されることが明記されています。
ルイス・ハミルトン選手へのペナルティはこのルールに基づいて科されたと言えます。
イタリアGPではメルセデスのルイス・ハミルトン選手以外にもアルファロメオのアントニオ・ジョビナッツィ選手もピットロードの入口が閉鎖されている間にピットインしたことによって10秒間のストップ・アンド・ゴーのペナルティが科されました。
ピットロード入口が閉鎖されることは稀ですが、この2台以外はピットロード入口の閉鎖を認識しており、ピットロードがオープンになった後にピットインを行いました。国際映像のメッセージにもピットロード入口閉鎖の情報が表示されなかったため、TVの視聴者にとっても何が起こっているのか分からなかったと思います。
もし、国際映像の画面上にピットロード入口閉鎖のメッセージが表示されていれば、気づいたエンジニアがピットロードへの進入をストップさせたかもしれません。
今回のペナルティによって、ルイス・ハミルトン選手の独走をストップし、アルファタウリのピエール・ガスリー選手の劇的な勝利の要因のひとつになったと言えます。
モータースポーツはルールが複雑であるため、このようなレース結果に大きな影響を与える可能性のあるピットロードの入口閉鎖の情報はわかりやすく伝えて欲しいと思いました。
28 ピット入口、ピットレーンおよびピット出口
28.14 例外的な状況において、レースディレクターは安全上の理由で、決勝レース中にピット入口を閉鎖することを求めることができる。そのような時、ドライバーは、車両に必須であり明らかに修理を実施するためにのみ、ピットレーンに進入することができる。競技審査委員会の意見で、ピットレーンが閉鎖されている間にその他一切の理由でそこへ立ち入った一切のドライバーには、第38条3 d)のペナルティが課される。
38) レース中の事件
38.3 競技審査委員会は、事件に関与したいかなるドライバーに、以下のペナルティうち1つを科すことができる:
d) 10秒間のストップアンドゴー・タイムペナルティ。
ドライバーはピットレーンに進入し、自己のピットの停止位置に最低でも10秒間停止した後、レースに復帰しなければならない。