バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されたF1第15戦バーレーンGPではスタート直後に発生したハースのロマン・グロージャン選手の大クラッシュにより赤旗が提示され、約80分間に渡ってレースが中断されました。
レース中断のあと、セーフティカー先導でレースが再開され、スタンディングスタートによって、3周目からレースが再スタートとなりました。再スタート直後のターン8ではアルファタウリのダニール・クビアト選手とレーシングポイントのランス・ストロール選手との接触がありました。
接触により、ストロール選手のマシンはクビアト選手の左フロントタイヤに乗り上げた形となり、ストロール選手のマシンが横転してしまいました。その結果、再度、セーフティカーが導入されることになりました。
⚠️ SAFETY CAR ⚠️
Stroll has crashed
The Canadian has radioed the team to say he is ok and he's out of car #BahrainGP 🇧🇭 #F1 pic.twitter.com/C6fRGPjBL3
— Formula 1 (@F1) November 29, 2020
接触の原因
ターン8へ進入するとき、ストロール選手がクビアト選手の少し前を走行していたものの、並走と言える状態であったと考えられます。並走の状態でコーナーへ進入する場合は、お互いに相手の走行ラインを1台分以上空けて走行しなければならないことが国際モータースポーツ競技規則 付則L項で定められています。
ストロール選手は右側にいたクビアト選手に気づいていない様子で、ターン8のインに飛び込んでいきました。クビアト選手に対する1台分以上のスペースが確保されていなかったため、ストロール選手の右リアタイヤとクビアト選手の左フロントタイヤが接触し、ストロール選手のマシンが弾かれてしまい、横転してしまいました。
ストロール選手がクビアト選手に対するスペースを確保できていれば、お互いに接触することがなかったように考えられます。
出典:formula1.com
10秒間のタイムペナルティ
前述のとおり、接触の原因はストロール選手の右後方からクビアト選手が迫っているにも関わらず、ストロール選手がクビアト選手をブロックしようとせず、アウト・イン・アウトのラインで走行したことが原因と考えられます。
しかし、スチュワードはクビアト選手に対して、10秒間のタイムペナルティを科しました。
映像を確認する限り、クビアト選手は無理をしてストロール選手のイン側に飛び込んだわけではなく、ストロール選手と並走の状態でブレーキングをし、問題なくコーナリングを開始しているように見えます。
ストロール選手がクビアト選手のスペースを残さずにインを閉めたことによって、接触が発生したと考えるのが妥当と言えます。クビアト選手はストロール選手にインを閉められたことによって行き場を失い、インカットを防止するために設置されたボラードを弾き飛ばすほどイン側を走行せざるを得ない状況でした。
したがって、どちらのドライバーに接触の原因があったのかを考えると、ストロール選手に非があったと考えるのが妥当であると言えるのではないでしょうか。ストロール選手はマシンが横転してしまったため、レースをリタイヤせざるを得ない状況となってしまいましたが、レーシングアクシデントであったと判断するのが正しいと考えます。
まとめ
クビアト選手は、赤旗中断前に発生したハースのロマン・グロージャン選手のクラッシュの原因となった接触にも関係していました。クビアト選手とグロージャン選手の接触については、レーシングアクシデントと見なされていますが、公平な観点で接触を検証すると、急な進路変更を行ったグロージャン選手に非があったと考えるのが妥当です。
クビアト選手に科されたペナルティはグロージャン選手との接触とは関係は無いと思いますが、F1ではたびたび判定の経緯が分からないペナルティが発生します。
F1ではドライバーに対してペナルティが科される場合、以下のようなドキュメントがFIAから発行されるようになっており、ペナルティに至った経緯が説明されることになっています。
ペナルティに至った理由は『スチュワードはビデオを検証した。No.18(ストロール選手)はレーシングライン上を走行した。No.26(クビアト選手)はオーバーテイクしようとしたができなかった。スチュワードはインシデントの責任が完全にNo.26にあると結論付けた。』と記載されています。
しかし、映像を確認する限り、完全にクビアト選手に責任があるとは考えられません。
今回のクビアト選手とストロール選手の接触に関しては、正しい判定が行われたとは言えないため、クビアト選手のどのようなドライビングに接触の責任があったと判断されたのか明確にしてほしいと感じました。
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