2024年 F1 第6戦 マイアミGP 開催概要

 

2020年 F1 第15戦 バーレーンGP ロマン・グロージャン選手の大クラッシュ

 

2020年11月29日、バーレーン・インターナショナル・サーキットで開催されたF1第15戦バーレーンGPのスタート直後に大きなクラッシュが発生しました。

 

 

アクシデント発生の経緯

近年のF1では、スタート直後の接戦で順位を大きく上げるジャンプアップを狙って、数コーナーにわたって、多くのマシンが接近してレベルの高いバトルを魅せるのが、当然のようになっています。

バーレーンGPでも同様にスタート直後のターン1からターン3にかけて接近したバトルが繰り広げられました。バーレーン・インターナショナル・サーキットのレイアウトとして、ターン3の後に長いストレートがあるため、ターン3までにポジションを上げておくのが定石といえます。

そのような中、ターン3で19番手グリッドからスタートしたハースのロマン・グロージャン選手が前方を走行する車両を避けようとして、右に進路を大きく変更しようとしたところ、右後方にいたアルファタウリのダニール・クビアト選手と接触しました。

接触の結果、ロマン・グロージャン選手はコントロールを失い、コース右側へ飛び出し、高速の状態でコース脇のガードレールに正面から衝突しました。

接触自体は、グロージャン選手が右後方にいたクビアト選手に気づかずに大きく進路変更をしたことが原因と考えられますが、どちらのドライバーにもペナルティ等が科されていないことから、レーシングアクシデントと判定されています。

 

アクシデントの結果

グロージャン選手のマシンはガードレールへのクラッシュと同時にマシンから出火し、ガソリンに引火したため、マシンは爆発的に炎上しました。すぐに、駆けつけたメディカルカーのクルーやコースマーシャルによって消火作業が行われました。

マシンはドライバーが乗車しているコックピット部分がガードレールに突き刺さり、コックピットとパワーユニットが搭載されているリア周りがちぎれてしまうほどであり、近代のF1ではこれまでに発生したことがないような大きなアクシデントとなりました。

現在のF1マシンは110kgの燃料を搭載できるようになっています。また、スタート直後でほぼフルタンクの状態であったこともあり、大規模な火災となってしまい、すぐに消火することができませんでした。

クラッシュ直後、ロマン・グロージャン選手は炎上するコックピットの中にいましたが、すぐに自力でマシンから脱出することができました。不幸中の幸いだったと言えます。

このアクシデントにより、バーレーンGPはすぐに赤旗が振られました。グロージャン選手のマシンの撤去作業と破損したガードレールの修復により、レースは約1時間20分にわたって中断となりました。

自力で炎上するマシンから脱出したグロージャン選手はすぐに病院へ搬送され、手と足に火傷を負ったものの、大きな怪我が無かったことが確認されました。

 

F1マシンの安全性の高さ

現在のF1マシンやサーキットの安全性は高いと言われています。今回のグロージャン選手のアクシデントは、それを証明したと言えると考えます。

モノコックがガードレールを突き破る程の大きなクラッシュだったにも関わらず、グロージャン選手は意識があり、大きな負傷もしていませんでした。

これは、運が良かったわけではなく、F1マシンの安全性の高いコックピットだけでなく、2018年からF1で導入されたHALOの効果があったからだと考えられます。他にも、ヘルメット、HANS、シートベルトのような安全に関するデバイスがすべて設計どおりに機能した結果だと考えます。

グロージャン選手は火災の影響により、手などに火傷を負ってしまったようですが、この程度で済んだのも、ドライバーが装着しているヘルメット、レーシングスーツ、レーシンググローブ、レーシングシューズ、インナーシャツ、バラクラバなどの高い難燃性による結果だと言えます。

モータースポーツで大きなアクシデントが発生すると、モータースポーツのマイナス面ばかりが注目されることが多いと感じます。しかし、今回のような大きなアクシデントからのドライバーの生還を見ると、モータースポーツの高い安全性を感じることができたのではないでしょうか。

それでも、安全性に対する追求はまだまだだと言われ、さらなる安全性の向上に向けて研究開発が進められていると言います。今回のアクシデントにおいても、なぜ火災が発生したのかという原因が追究されることによって、大きなアクシデントが発生しても火災が発生しないようなマシンづくりが行われていくのだと思います。

このような高い安全性のおかげで、モータースポーツを楽しむことができています。

素晴らしいですね。