モータースポーツではレース中に違反行為を行ったドライバーに対してペナルティが科せられます。
ペナルティには、主に『ドライブスルーペナルティ』、『ペナルティストップ』、『タイムペナルティ』の3種類に分類され、それぞれのペナルティの意味やペナルティが執行される手順を紹介します。
出典:youtube.com
ペナルティの種類
レース中に科せられるペナルティは主に以下の3種類に分類されます。
レースシリーズによって運用されるペナルティの種類が異なります。詳細はレースシリーズごとの特別規則書を確認する必要があります。
- ドライブスルーペナルティ
- ペナルティストップ
- タイムペナルティ
ペナルティの提示方法
レース中に発生した違反行為に対して、過失があるとレース審査委員会が判定した場合は、ペナルティが科せられます。ペナルティが科せられる時は、あらかじめ定められたコントロールライン付近のオブザベーションポストにおいて、ペナルティボードが提示されます。
ドライブスルーペナルティ
ドライブスルーペナルティは”D”にゼッケンナンバーが書かれたボードが提示されます。
ペナルティストップ
ペナルティストップは”P”にゼッケンナンバーが書かれたボードが提示されます。
ドライブスルーペナルティ
ドライブスルーペナルティを科せられたドライバーはピットインし、自身のピットエリアに止まることなく、ピットレーンを通過しなければなりません。
ピットロードを走行するときは、制限速度を守る必要があります。サーキットごとにピットロードの長さが異なりますが、ドライブスルーペナルティは20秒から30秒程度のタイムロスになります。
ピットインし、自身のピットに止まることなく、ピットロードを通過しなければならない。
ペナルティストップ
ペナルティストップを科せられたドライバーはピットインし、規定されたペナルティストップエリアに停止し、科せられた時間が経過するまで発進することができません。ペナルティが重いほど、停止時間が長くなります。
通常、ペナルティストップエリアはピットロードエンドに設定されています。F1の場合は自身のピット前で停止します。ペナルティの消化と同時にピット作業を行うことは認められません。
ピットインし、ペナルティストップエリアに停車し、科せられた時間が経過するまで待たなければならない。
タイムペナルティ
F1で導入されたペナルティでドライバーはピットインし、自身のピットに科せられた時間(5秒もしくは10秒)の間、停止しなければなりません。ピットストップ時に消化することも可能ですが、ペナルティ消化中にピットクルーが車両に触れることは認められません。ペナルティを消化しないままレースを終了することも可能で、その場合はレース結果に5秒加算されます。
ペナルティを消化しない場合
ドライブスルーペナルティやペナルティストップを課せられたにも関わらず、ペナルティ消化をしない場合は、黒旗が提示され失格となります。
レース後にペナルティが科せられる場合
レース中の違反行為に対して、レース中にペナルティが科せられなかった場合や、レース後にドライバーから事情聴取して判定を行う場合などは、競技結果に対して
- タイム加算
- 周回数減算
- 競技結果から除外
- 訓戒
などの措置がとられます。
ペナルティが科せられるまで
レース中に違反行為があったとき、レースコントロールから即座にペナルティが科せられるわけではありません。
レース中の違反行為はコースやピット、技術などの各セクション長からレースコントロールを統括する競技長に報告されます。
次に競技長からレース審査委員会に報告され、レース審査委員会は違反行為に対してどのようなペナルティを科すのか決定します。レース審査委員会の決定を受け、レースコントロールはペナルティを執行します。
レース審査委員会は競技長経験者などの有識者から構成され、第三者の立場で違反行為の確からしさを検証します。ペナルティを科すことが目的ではなく公平なジャッジが行われることを目的としているため、競技長がアウトと判定した結果をレース審査委員会が覆す場合もあります。