2024年 F1 第24戦 アブダビGP 開催概要

 

『ピットロード』、『ピット作業』に関するルール

 

コース上だけではなく、ピットロード(ピットレーン)上においても制限速度やピット作業、ピットイン/アウトの進路などに関連する様々な規則があります。例えばピットロードの制限速度は60km/h以下と規定されています。

 

 

ピットロード

ピットロードは以下の3つのエリアから構成されます。

 

  • 作業エリア
  • ファストレーン
  • サインエリア

 


出典:supergt.net

 

作業エリア

レース中などにピットインした車両がタイヤ交換や給油などを行う場所のことです。各車両毎に割り当てられたピットの前に作業エリアが設定されます。

 

ファストレーン

ピットロードを走行する車両が走行するレーンのことです。自己の作業エリアに停止する場合でも可能な限り近づくまで、ファストレーンを走行する必要があります。ピットロードを走行するときは制限速度を守らなければなりません。

 

サインエリア

ファストレーンとコースの間のエリアのことで、チームはこの場所からサインボードを提示してドライバーにピットインの指示やライバルとのタイム差などを知らせます。トップカテゴリーのレースではサインエリアにチーム監督やレースエンジニアが待機しチームやドライバーに指示を出します。

レーススタート時はアクシデントが発生しやすいことから、サインエリアへの入場が規制されます。

 

 

ピットロード制限速度

ピットロードの制限速度は基本的には60km/h以下です。特別規則書で規定すれば、制限速度は自由に設定することができます。F1は80km/h、SUPER GTにおいては50km/hです。

ピットロードの入口や出口に光電管を配置して速度を監視する場合が一般的ですが、ピットロードに埋め込んだループコイルで監視を行なっているサーキットもあります。

 

FIA Formula 1 (F1)

80km/h

 

SUPER GT

50km/h

 

スーパーフォーミュラ

60km/h

 

スーパー耐久

50km/h

 

 

国際モータースポーツ競技規則 付則H項

(2021年12月23日発行版)

2.2 ピットレーン

2.2.1 スピード制限
F1世界選手権およびオーバルサーキットを除くすべての国際サーキット競技において、プラクティスまたは決勝レースでピットレーンを使用する車両は、時速60kmを超えてはならない。これはピットレーン全体に適用され、速度超過についてのチェックが行われなければならない。

 

2022 SUPER GT Sporting Regulations

第26条 一般安全規定

11. 各ドライバーは本シリーズに定められたピットレーン通過速度(最高50km/h)を遵守しなければならない。ファストレーン走行中、意図的な加減速や蛇行運転は厳重に禁止される。

 

 

バックギアの使用禁止

ピットロードではバックギアの使用は禁止されます。車両を後退させたい場合はピットクルーが手押しで移動させます。

 

出典:youtube.com

 

2016年 FIA Formula 1 第18戦 アメリカGP

2016年F1アメリカGPではキミ・ライコネンがピットロード出口で車両トラブルによりストップした時に、停止した場所が上り坂だったためギアをニュートラルにし惰性でマシンを後退させピットロードまで戻りましたが、バックギアを使用していなかったため、規則違反には問われませんでした。

 

 

2022 SUPER GT Sporting Regulations

第26条 一般安全規定

7. プラクティスセッションおよび決勝レース中にやむを得ずまたはその他の理由により競技車両が停止した場合は、車載のスターターで、当該ドライバーによってエンジンが再始動されなければならない。
ピットエリアでの後退ギアの使用は厳重に禁止される。

 

 

『ピットイン』、『ピットアウト』に関するルール

コースを走行している車両がピットロード入口からピットへ入ることを『ピットイン』、ピットにいる車両がコースへ出ることを『ピットアウト』と呼びます。

ピットイン、ピットアウトに関するルールについてはこちらを参照ください。

 

 

 

ピットアウト後の合流

ピットアウトした車両はコース上を走行する他の車両の走行を妨害してはいけません。サーキットの規則書でピットアウト後は急な進路変更をして合流しないように規定している場合もあります。

 

 

ピットクルー人数の制限

ピット作業に関わることのできるピットクルーに人数制限がある場合は特別規則書に規定されます。

 

Formula One (F1)

規定無し

 

SUPER GT

最大7名

 

スーパーフォーミュラ

最大6名

 

スーパー耐久

最大7名

 

 

危険なリリース (アンセーフ・リリース)

ピットロード上ではファストレーンを走行する車両に優先権があります。ファストレーンに走行している車両がいる場合は、ピットストップ中の車両は発進することはできません。

ファストレーンに走行車両がいるにも関わらず、ピットから車両を発進させた場合は危険なリリースとしてペナルティの対象となります。

 

ピットロードではファストレーンを走行する車両に優先権があり、ピットアウトする車両は安全ではない状態で車両を発進させると、ペナルティが科せられる場合がある。

出典:youtube.com

 

2019年 FIA Formula 1 第6戦 モナコGP

ファストレーンを走行するバルテリボッタス選手とピット作業を終えた直後のマックスフェルスタッペン選手が接触しました。レースコントロールはマックスフェルスタッペン選手に非があるとして5秒のタイムペナルティを科しました。

出典:youtube.com

 

ピット作業

ピットストップ中、チームのピットクルーが行う作業においても規則があります。内容はシリーズによって様々でそれぞれで異なります。

出典:youtube.com

 

SUPER GTの例

  • ピットクルーは規定された装備品を正しく着用していなければならない。
  • ピットで車両を停止するときはエンジンを停止しなければならない
  • コースインする際のエンジン始動はドライバーによって四輪が接地された状態で行わなければならない
  • タイヤ交換の際、外したタイヤは平置きしなければならない。外したタイヤの手渡し禁止
  • 外したタイヤを片付ける際はタイヤを転がしてはならない
  • 燃料補給中は他の作業禁止
  • ピット作業エリアに持ち込めるインパクトレンチは2個まで

 


出典:toyotagazooracing.com