モータースポーツをテレビで観戦していると、放送が始まった時にはすでにレーシングカーがグリッドに並んだ状態となっているため、車両がいつピットからコースインして、どのようにグリッドに着いているのかといった手順がよく分からないと思います。
実際にサーキットでモータースポーツを観戦したことがある方であれば常識ではありますが、各車両がレースのスタートに向けて、ピットアウトするところからフォーメーションラップをスタートするまでの流れについて解説したいと思います。
スタート進行
以下に説明するスタート手順は国内における一般的なレースの手順となります。シリーズによって特別な手順がある場合は特別規則書に記載されます。
グリッドへの試走
決勝のスタートに先駆けて、ピットロード出口のシグナルが赤から緑に点灯しコースオープンとなります。競技車両は自身のピットからコースインし、コースを1周走行した後にメインストレートにある自身のグリッドに着きます。四輪のレースではこれを『グリッドへの試走』と呼びます。
レコノサンスラップ
F1などの国際レースにおいては、コースイン後もすぐにグリッドに着く必要はなく、ピットインすることで時間内であれば何周も走行することができます。この方式は『レコノサンスラップ』と呼んでいます。
グリッド順は公式予選の結果で決められます。コースインした後に着くグリッドのことを『ダミーグリッド』と呼びます。決勝のスタートまでにトラブルなどによって当初のグリッドからスタートできない場合があるためです。
予め決められた時間になるとピットロード出口のシグナルが赤に変わり、コースインすることができなくなります。時間内にコースインできなかった車両はレースをピットロードからスタートすることになります。これを『ピットスタート』と呼びます。
ピットスタート
レースがスタートし、全ての車両がピットロード出口付近を通過した後、ピットロード出口のシグナルがグリーンに変わます。この後、ピットスタートの車両はコースインし、レースに加わることができます。ピットスタートはグリッドの最後尾からスタートするよりも後方からのスタートとなってしまいます。
出典:youtube.com
カウントダウン
全ての競技車両がダミーグリッドに着き、決勝のスタートに向けてカウントダウンが始まります。カウントダウンの内容は特別規則書や公式通知などによって事前にチームに案内されますので、その内容に従い、作業の禁止やピットクルーの退去などの時間を守る必要があります。
F1の場合
F1の場合、スタート進行の流れは以下のようになります。フォーメーションラップ開始時刻の3分前にはタイヤを装着しておかなければなりません。
フォーメーションラップ開始 | 内容 |
40分前 | レコノサンスラップ開始 (ピットロード出口オープン) |
32分前 | 警告音 (ピットロード出口閉鎖2分前) |
30分前 | レコノサンスラップ終了 (ピットロード出口クローズ) |
10分前 | ドライバー、競技役員、チーム技術スタッフ以外は全員グリッドから退去 |
3分前 | 全ての車両はタイヤの装着を完了 |
1分前 | エンジン始動 |
15秒前 | チームスタッフは全員グリッドから退去完了 この後グリーンライトが点灯されフォーメーションラップ開始 |
スタートシグナルによるカウントダウン表示
スタートシグナルを使用して、フォーメーションラップ開始までの時間が表示されます。グリッド上のチームスタッフやドライバーはスタートシグナルを見れば、フォーメーションラップ開始までのおおよその時間を知ることができるようになっています。
シグナルの点灯個数とフォーメーションラップ開始までの残り分数は一致していないので注意が必要です。
フォーメーションラップ開始時刻になるとグリーンシグナルが点灯します。そして、フォーメーションラップ開始から30秒後に消灯され、レーススタートに備えます。
シグナルの点灯方法
スタート進行時のシグナルの詳細な点灯方法についてはこちらを参照ください。
スタートの方式
レースのスタート方式は、『スタンディングスタート』と『ローリングスタート』の2種類の方式があります。それぞれのスタート方法についての詳細はこちらを参照ください。
まとめ
レースシリーズによっては運用が異なる点もありますが、おおよそのスタート進行は上記のような流れになっています。実際にサーキットでレース観戦をすると、理解しやすいかと思います。
あわせて、『スタンディングスタート』と『ローリングスタート』のスタート手順についても理解しておくとモータースポーツ観戦に役立つのではないでしょうか。
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