フルコースイエロー (FCY)
セーフティカーを導入するまでもないけれども、コースにおける安全上の理由で競技長が必要であると判断した場合にフルコースイエロー(FCY)が導入される場合があります。
フルコースイエローはFCY(エフ・シー・ワイ)と呼ぶ場合もあります。
フルコースイエローはすべての四輪モータースポーツで導入されているわけではありません。フルコースイエローの運用がある場合は、各レースシリーズごとの特別規則書に詳細な運用方法が記載されます。
世界耐久選手権(WEC)でのフルコースイエローの導入がきっかけとなり、世界的に広まりました。国内のレースシリーズにおいても、SUPER GTやスーパー耐久でフルコースイエローが運用されています。
出典:supergt.net
フルコースイエローの導入が決定すると、タイミングモニター上でメッセージが表示されると共に、すべてのオブザベーションポストでイエローフラッグが振られ、『FCY』と書かれた黄色いボードが提示されます。
コース上での追い越しが禁止され、車両の速度は80km/hに制限されます。速度はレースシリーズによって異なる場合があります。スーパー耐久ではフルコースイエロー導入中の制限速度は50km/hと定められています。
フルコースイエロー導入中のピットインが認められるかどうかについては、各レースシリーズによって異なります。通常はフルコースイエローが導入されるよりも前にピットインしていた車両についてはピット作業が認められます。
また、フルコースイエロー導入中にドライブスルーペナルティやペナルティストップを消化することは認められません。
フルコースイエローの解除は、タイミングモニター上に解除のメッセージが表示されると共に、オブザベーションポストで振られていたイエローフラッグとFCYボードが撤去された後、グリーンフラッグが振られることによってドライバーやチームに知らせます。
各シリーズにおけるFCY運用ルール
フルコースイエローの詳細な運用ルールは各レースシリーズによって異なります。フルコースイエローの導入・解除の手順やピットイン禁止の有無など、運用方法に違いがあるので注意が必要です。
バーチャルセーフティカー (VSC)との違い
フルコースイエローは2015年にF1で運用が開始されたバーチャルセーフティカー(VSC)と運用ルールが似ています。
F1ではレースコントロールがバーチャルセーフティカーの導入を決定したとき、各マシンのディスプレイに導入されたことを示す表示が行われます。また、レースコントロールで各マシンの速度を管理することができるため、F1ならではのシステムであると言えます。
バーチャルセーフティカーはあらかじめ決められた区間を設定されたタイムよりも遅く走行する必要があります。それに対して、フルコースイエローはコース全域であらかじめ決められた制限速度よりも遅く走行しなければなりません。
若干の違いはありますが、バーチャルセーフティカーもフルコースイエローもセーフティカーを導入するまでもないけれども、イエローフラッグでは不十分と判断された場合に導入されます。
14.5 レースの非競技化 : フルコースイエロー (FCY)
14.5.1 レースをFCYとする
14.5.2 FCY中のピットレーンへのアクセス
14.5.3 FCYの終了
14.5.4 FCYおよびセーフティカー
FCY期間終了後も、問題が解決しておらず、安全面が危険にさらされている場合には、セーフティカーの介入がなされる。
14.5.4 FCY実行中のピットレーンでのストップ・アンド・ゴー、ペナルティ
FCY手順が実行されている時、ドライバーがドライブスルーおよび/あるいはストップ・アンド・ゴーのペナルティを消化する目的で、すでにピット入口にいない限り、レースが再開されるまでペナルティに服することはできない。
14.5.6 FCY実行中の周回数計算
FCY手順中、ドライバーがラインを通過した回数は、走路上でラインを通過できる最大回数に追加される。