2020年
2021年シーズンの内容についてはこちらを参照ください。
Formula 1(フォーミュラ・ワン)は四輪レースの世界最高峰に位置するカテゴリーで一般的にF1と呼ばれます。FIA(国際自動車連盟)の認定を受け、世界選手権として日本をはじめとする世界中で開催されています。F1は1950年にイギリスのシルバーストーンサーキットで初めて開催された歴史の長い四輪レースです。F1マシンはレース専用のタイヤが剥き出し(オープンホイール)のフォーミュラカーで、レースは世界各国で開催され、2020年シーズンはF1史上最大となる全22戦で争われます。
出典:youtube.com
F1マシン
F1マシンは参戦するチーム(コンストラクター)がテクニカルレギュレーション(技術規則)に則って独自に制作されたマシンによって争われます。規則によって形状やサイズが規定される部品が多いため、一見同じに見えるF1マシンですが、設計はチーム毎に行われています。
F1マシンが速く走行できる理由はウイングなどの空力デバイスによってフロア下部に負圧を発生させ、マシンを地面に押しつけながら走行しているからです。この下方向の力はダウンフォースと呼ばれ、F1マシンが高速で走行するための重要な要素になっています。
マシンを下方向に押し付けて走行することにより非常に高速でコーナリングすることが可能となっています。ストレートエンドでのトップスピードにおいては他のカテゴリーのレーシングカーと比較してF1が飛び抜けて速いわけではありません。F1マシンのコーナリングスピードが他のカテゴリーよりも突出しています。
シャーシは軽量で強固なカーボンファイバー(CFRP)製のモノコックが採用され、安全性を確保するためにFIAのクラッシュテストに合格する必要があります。
トランスミッションは8速+リバース1速とレギュレーションで規定されています。オートマチックトランスミッションやCVTは禁止されています。ステアリングにあるパドルでシフトアップ、シフトダウンを行うパドルシフトを採用しているため、ギアチェンジ時のクラッチ操作は不要です。
ブレーキはカーボンファイバー製のディスクブレーキが採用されています。非常に高いブレーキ性能を発揮するために高い技術力が要求されるため、ブレーキパッドやブレーキディスクはブレンボ社、ヒトコ社、カーボンインダストリー社といった限られたメーカーのみが供給しています。
パワーユニット
2014年から使用されている現在のF1のパワーユニットは1.6リッターV6ターボエンジンにERS(Energy Recovery System)と呼ばれるハイブリッドシステムが組み合わされたもので、メルセデスベンツ、フェラーリ、ルノー、ホンダの4社が供給しています。
ホンダは他サプライヤーから1年遅れとなる2015年から第4期となるF1活動を再開し、マクラーレンへのパワーユニット供給を行いました。復帰当初はパワー不足と信頼性に苦しみましたが、2019年シーズンはトップ3の一角であるレッドブルと共に3勝を挙げ、パワーユニットのパフォーマンスとしては互角の争いができるようになっています。
ERSはMGU-KとMGU-Hから構成されており、MGU-Kはブレーキング時の減速エネルギーを電気エネルギーに変換し、MGU-Hはエンジンの排気熱を電気エネルギーに変換します。MGUはMotor Generator Unitの略でKはKinetic(動的)、HはHeat(熱)を意味します。
MGU-Kの回生量は1周あたり2MJに制限されていますが、MGU-Hの回生量に制限はありません。
変換された電気エネルギーはバッテリーなどのES(Energy Store)に蓄えられ、加速時にMGU-Kのモーターによって発生する駆動力がエンジンの出力をアシストします。MGU-Kの最大出力は120kW(約161馬力)でESからMGU-Kへの放出量は1周あたり4MJに制限されています。
またMGU-Hによるアシスト量に制限はありません。ただし、MGU-Hはコンプレッサーとタービンに直結しなければならず、直接駆動力を発生させることができないため、MGU-Hによってコンプレッサーを強制的に回しターボラグの改善に役立てます。
エンジン(ICE)とMGU-Kの合計によるパワーユニットの最大出力は1000馬力に迫ると言われています。1レースで使用できる燃料の量が110kgに制限され、また、瞬間的な燃料流量も100kg/hに制限されているため、レースをコンスタントに速く走行するためには、低燃費で高出力なパワーユニットである必要があります。
このように、F1のパワーユニットはエンジンの排気量が1.6リッターとコンパクトですが、ターボおよびMGU-KとMGU-Hの2種類のハイブリッドシステムによって、高出力だけでなく高燃費も実現しています。
パワーユニットは以下の6コンポーネントから構成されており、2019年シーズンでは1年間で各コンポーネントを3基もしくは2基使用することができます。規定数を超えて使用する場合はグリッド降格のペナルティとなるため、レースで勝つことを考えるとパワーユニットの信頼性が重要となります。
DRS (Drag Reduction System)
現在のF1ではコース上でのオーバーテイク(追い越し)を増加させるためにDRSと呼ばれる独自のシステムが導入されています。DRSが作動するとリアウイングのエレメントが動き、空気抵抗が減少します。これにより最高速度を増加させることができ、オーバーテイクしやすくなります。
DRSはサーキット毎に決められているDRS Detectionポイントで前方を走行するマシンとの差が1秒以内となったとき、ストレートなどに設定されているDRSゾーンでDRSを作動させることができます。F1以外のカテゴリーではFIA F2やDTMでもDRSの導入が行われています。
F1と日本との関係
日本人F1ドライバー
1987年に中嶋悟が日本人初のF1フル参戦ドライバーとなってから、鈴木亜久里、片山右京、井上隆智穂、中野信治、高木虎之介、佐藤琢磨、山本左近、中嶋一貴、小林可夢偉といったフル参戦ドライバーをはじめ、スポット参戦も含めると数多くのF1ドライバーを排出しました。ホンダが第4期F1活動を行なっている現在において、新たな日本人F1ドライバーの誕生が期待されています。
日本企業
F1と日本との関係は深く、1964年にホンダが国内の自動車メーカーとして初めてF1に参戦しました。1965年にはF1初勝利を挙げ、第2期となる活動ではホンダエンジンの圧倒的なパワーとアイルトン・セナやアラン・プロストといったドライバーらの活躍によって、日本ではF1ブームが起きました。
タイヤメーカーのブリヂストンが1997年〜2010年の間、F1へタイヤを供給しました。2002年にはトヨタもF1へ参戦し、2015年からはホンダが第4期のF1活動を開始しました。スポンサーやテクニカルパートナーとしてF1に参加する日本企業も数多く誕生しました。F1における活躍は世界にブランド力を発信できるため、ビジネス面においても日本の企業はF1と深い関係を築いてきました。
日本でのF1開催
日本では1976年に富士スピードウェイにて『F1世界選手権イン・ジャパン』が初めて開催され、翌年も富士スピードウェイにて開催されましたが1978年から1986年の間は空白の期間となります。しかしながら、1987年に鈴鹿サーキットで初めてF1が開催されてから現在まで日本でのF1開催は絶えることなく毎年開催され、F1日本グランプリはF1開催地の中でも歴史あるグランプリとなっています。2018年には鈴鹿でのF1開催が30回目を迎えました。
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