2006年以来の14年ぶりとなるイモラで開催されたF1第13戦エミリア・ロマーニャGPですが、レース展開としては、コース上でのオーバーテイクの数はとても少なく、ピットストップのタイミングの違いで順位が変わるかどうかといった展開でした。
期待されていたホンダ・パワーユニット勢のアルファタウリのピエール・ガスリー選手は序盤にマシントラブルでリタイヤ、2位争いをしていたレッドブルのマックス・フェルスタッペン選手もタイヤのトラブルにより残念ながらリタイヤに終わってしまいました。
単調なレース展開でしたが、レースの途中でバーチャルセーフティカー(VSC)とセーフティカー(SC)が導入され、セーフティカー解除後はチェッカーまでスプリントの接近戦が楽しめたので、見どころのあったレースだったと思います。
今回はレース中に導入されたバーチャルセーフティカーとセーフティカーについて、気になった細かいところを取り上げてみたいと思います。
バーチャルセーフティカー (VSC)
29周目、ルノーのエステバン・オコン選手がマシントラブルにより、コース脇に車両をストップさせました。ストップした場所はコースマーシャルが待機しているガードレール開口部のすぐ近くでした。
LAP 30/63
Race over for Esteban Ocon – he's out of he car and heading back to the garage #ImolaGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/M4DadQR9y8
— Formula 1 (@F1) November 1, 2020
現在のF1では、車両回収のために、コースマーシャルがガードレールの内側に入って作業を行う際には、バーチャルセーフティカー(VSC)もしくはセーフティカー(SC)が導入されることになっています。
ガードレールの開口部からストップした車両の距離が近いとは言え、過去の事例から、今回のケースも当然ながらバーチャルセーフティカーもしくはセーフティカーが導入されることが想定できました。
その後、バーチャルセーフティカーが導入され、車両の回収作業が行われましたが、マシンがストップしてからバーチャルセーフティカーが導入されるまでに時間がかかったことが気になりました。
コースマーシャルもバーチャルセーフティカーが導入されなければ、ガードレールの内側に入ることも、車両の回収作業に取り掛かることもできないと考えられます。時間にすると1分程度だと思いますが、バーチャルセーフティカーが導入されるまでの間、イエローフラッグが振られていたとは言え、ストップした車両がコース脇に放置されたことになりました。
コースマーシャルとストップした車両との距離が近かったため、すぐにバーチャルセーフティカーを導入して、すぐに回収作業に取り掛かればよかったのではないかと思いました。可能な限り早く、ストップした車両の回収に取り掛かることは、安全性の向上にもつながります。
細かいことですが、バーチャルセーフティカーの導入タイミングが少し変わるだけで、有利になるドライバー、不利になるドライバーが変わってきます。今回のバーチャルセーフティカーは導入が少し遅れたことが、トップを走行していたルイス・ハミルトン選手に有利に働きました。
バーチャルセーフティカーが導入されていなくても、ルイス・ハミルトン選手はトップのままピットストップを完了できたと考えられましたが、バーチャルセーフティカーの導入によって、かなり余裕を持ってピットストップを完了することができました。
バーチャルセーフティカーの導入のタイミングが数十秒ちがうだけでレース結果は簡単に変わります。安全優先でレースが行われることは大賛成なのですが、レースコントロールの判断によってレース結果が変わることは可能な限り無いようにしてほしいと感じました。
車両がストップしてから、すぐにバーチャルセーフティカーを導入して、車両の回収作業に取り掛かれば、不公平感は無かったはずです。チームに作戦を考えさせる時間を与えないようにする必要があると考えます。それでも、有利に働いたドライバーがいたとすれば、それは完全に運が良かっただけです、
モータースポーツなので、できればコース上のバトルで順位が決まって欲しいです。
セーフティカー (SC)
51周目、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手がタイヤのトラブルによりスピンし、マシンがグラベル上にストップしたため、セーフティカーが導入されました。
Running P2 with 12 laps to go at Imola – and disaster strikes for Max Verstappen 😧 💥#ImolaGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/TDNzPHPdYq
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その後、セーフティカー導入中に、タイヤを温めようとしたウィリアムズのジョージ・ラッセル選手が挙動を乱してスピンをし、アクアミネラーリの手前のウォールにクラッシュしました。
GEORGE: "I don't know what to say" 🎧 😳 🙈#ImolaGP 🇮🇹 #F1 pic.twitter.com/qefrtEPvCD
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国内で開催されているレースにおいては、セーフティカー導入中にスピンやオーバーランなどをすると、H項違反として判定される場合が多いです。これは、セーフティカー導入中はイエローフラッグと同じように減速して安全に走行しなければならないと考えられているためです。スピンをするということは、安全に走行できていないとみなされます。
今回のジョージ・ラッセル選手はこのクラッシュにより、リタイヤしてしまいましたが、ペナルティなどは科されませんでした。審議もされていないのではと推測します。
今回のケースは単独でのクラッシュであり、周囲のドライバーを巻き込むようなことが無かったので、違反として扱われなかったのでしょうか?それとも、当該ドライバーがリタイヤしてしまったからペナルティは無しなのでしょうか?
細かいことではありますが、セーフティカー導入中にアクシデントを起こしたドライバーに対するF1での判定結果と国内でのレースにおける判定結果の違いが気になりました。
どちらが正しいのか判断できませんが、最近のF1では軽い違反がペナルティになったり、ペナルティと思われる接触がペナルティにならなかったり、ドライバーによって判定が変わったりと違反に対する判定にバラツキがあるように感じています。
まとめ
14年ぶりとなるイモラでのF1開催となったエミリア・ロマーニャGPですが、個人的には決勝よりも公式予選の方がエキサイティングだったと感じています。
公式予選ではトラックリミットにより、記録されたタイムが数分後に削除されるといったことが何度かあり、水を差された感がありましたが、鈴鹿やスパのようなF1マシンらしい走りを見せてくれるサーキットだったと思います。
決勝の単調なレース展開は現在のF1マシンでも変わらず、少し残念でしたが、これは鈴鹿サーキットにも言えることではないかと思います。コース上でのバトルが少なく、接触もほとんど無かったため、今回はバーチャルセーフティカーとセーフティカーの導入で気になったことを書かせていただきました。
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