2017 F1 SPORTING REGULATIONS
(2017/4/30)
39) セーフティカー
39.1 FIAのセーフティカーを、FIA指名のドライバーが運転し、全競技車両を認識できるFIAのオブザーバーが同乗する。オブザーバーはレースコントロールと常時無線連絡が取れる状態になっている。
39.2 フォーメーションラップのスタート時間より50分前から、セーフティカーがピットレーンを離れグリッドの前方の位置につき、5分前シグナルが提示されるまでその位置に留まる。この時点で(下記第39条16の場合を除く)、セーフティカーはサーキットを完全に1周し、所定の位置につく。
39.3 競技長の指示により、レースを非競技化するためにセーフティカーが使用される場合がある。
セーフティカーは、競技参加者またはオフィシャルが危険な状況または走路付近にいる状態ではあるがレースを中断するほどではない場合にのみ使用される。
39.4 セーフティカー出動の命令が下された場合、公式メッセージ送信システムにより「”SAFETY CAR DEPLOYED”(セーフティカー出動)」というメッセージが全チームに送信され、すべてのFIA灯火パネルには”SC”が表示され、すべてのマーシャルのポストはイエローフラッグの振動表示と”SC”ボードを表示し、セーフティカーの活動の間保持する。
39.5 いかなる車両もセーフティカーが出動中のどの時点であっても、不必要に遅くまたは不安定な走行する、
または他のドライバーあるいはそれ以外の人に対して危険を及ぼす可能性があるような方法で運転できない。これは、かかる車両がコース上にいる場合にも、ピット入り口あるいはピットレーンで走行中である場合にも適用される。
39.6 セーフティカーはオレンジ色の灯火を点灯させながら、レースの先頭車両の位置に関係なくトラックに合流する。
39.7 すべての競技車両は減速し、レース中セーフティカーの後方に車両10台分以下の車間距離を保ち、整列しなければならない。「”SAFETY CAR DEPLOYED”」のメッセージが公式メッセージ送信システムによりすべてのチームに送信された時点から各車両が第1セーフティカーラインを2回目に通過する時まで、ドライバーが充分に減速して走行することを確実とするため、ドライバーは、各マーシャルセクターについて少なくとも1回は(マーシャルセクターは、各FIA灯火パネルの間の走路の区画と定義される)、FIA ECUが設定した最低タイム以上をかけて走行していなければならない。さらに、セーフティカー出動の後、1周目あるいは2周目を終了してピットレーンに入る一切のドライバーは、ピットレーンに入る第1セーフティカーライン地点でFIA ECUにより設定された最低タイムより上でなければならない。
競技審査委員会は、上記に求められる最低タイム以上での走行をできなかった一切のドライバーに、第38条3項a)、b)、c)またはd)のいずれかのペナルティを課すことができる。
39.8 下記a)~h)の場合を除いて、セーフティカーがピットに戻った時、車両が最初に第1セーフティカーラインを通過するまで、ドライバーはセーフティカーを含め他車の走路上での追い越しが禁止される。しかしながら、セーフティカーが最終周の開始時点になってもまだ出動中である場合、あるいは最終周で出動することになった場合、第39条15が適用される。
以下は例外とする:
a) ドライバーがセーフティカーにより追い越しを指示された場合。
b) 下記第39条12あるいは39条16の場合。
c) ピットに入ろうとしている時に、ドライバーは第1セーフティカーラインに到達した後で、セーフティカーを含めたコースに残っているその他の車両を追い越すことができる。
d) ピットを出ようとしている時に、ドライバーは第2セーフティカーラインに到達する前に、セーフティカーを含め、その他の走路上の車両を追い越すまたは車両に追い越されることができる。
e) セーフティカーがピットに戻ってくる時、第1セーフティカーラインに到達した後で、走路上の車両に追い越される場合。
f) ピット入口、ピットレーンあるいはピット出口にいる間に、ドライバーは同じくこの3つのエリアにいるその他の車両を追い越すことができる。
g) セーフティカーがピットレーンを使用中(下記第39条11参照)に指定のガレージエリアに停止している車両が追い越される場合。
h) 明らかに問題が発生して速度を落としている車両の場合。
39.9 競技長から指示があった場合、搭乗するオブザーバーは、セーフティカーと先頭車両の間にいる車両に対してグリーンライトを使ってセーフティカーの前に出るよう合図する。これらの車両は減速したまま他の車両を追い越したりせず走行を続け、セーフティカー後方の車列につく。
39.10 下記第39条12項の場合を除き、セーフティカーは、少なくとも先頭車両がその後方につき、残りの全車両がさらにその後方に整列するまで活動を続ける。
一旦セーフティカーの後方についたなら、レース先頭車両は、セーフティカーの後方車両10台分以内の車間距離を保たなければならない(下記第39条13の場合を除く)。
39.11 特定の状況下で、競技長は競技車両およびセーフティカーにピットレーンを使用することを要請できる。この場合、ピットエントリー開始前にピットレーン使用の合図が表示され、すべてのチームは公式メッセージ送信システムにより知らされる。すべての車両はその後ピットレーンに進入し、そこを通過し走路に再合流しなければならない。しかしながら、この状況にてピットレーンに入った車両は自己のガレージエリアに停車することができる。ピットレーンに入る要請があったにも関わらずそれを怠ったドライバーには、第38条3c)のペナルティが科される。
競技車両およびセーフティカーがピットレーンを使用するよう要請された場合を除き、セーフティカーが出動中、タイヤ交換の目的でない限り、いかなる車両もピットへ進入することはできない。
39.12 競技長がそうすることが安全であると判断し、公式メッセージ送信システムにより「”LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE”(周回遅れ車両は追い越し可)」のメッセージがすべてのチームに送信された場合には、先頭車両に周回遅れにされていたすべての車両は、先頭車両と同一周回(リードラップ)にいる車両およびセーフティカーを追い越すことが求められる。これは、セーフティカーが出動した後で、第1セーフティカーラインを2回目に超えた周回の終了時点でラインを越えた時に周回遅れとなっていた車両にのみ適用される。
先頭車両と同一周回にいる車両およびセーフティカーを追い越した後、追い越しをすることなく適切な速度でコースを進み、セーフティカー後方の車両隊列の最後尾につくようあらゆる努力をする。先頭車両と同一周回にいる車両は、追い越されている間、それが安全に遂行されるよう、
レーシングラインを離れることが避けられない場合でない限り常にレーシングラインにとどまっていなければならない。競技長がセーフティカーの存在が引き続き必要であると判断しない限り、最後に追い越された車両が先頭車両を追い越したら、セーフティカーは次の周回の終了時点でピ
ットへ戻る。
競技長が、コース状況が追い越しに適さないと判断した場合には、「”OVERTAKING WILL NOT BE PERMITTED”(追い越し不可)」のメッセージが公式メッセージ送信システムにより全チームに送信される。
39.13 競技長がセーフティカーを呼び戻しても安全であると判断した時は、「”SAFETY CAR IN THIS LAP”(セーフティカーはこの周回で入る)」のメッセージが公式メッセージ送信システムにより全チームに送信され、セーフティカーはすべてのオレンジ色の灯火を消す。これはセーフティカーがその周回が終了した時点でピットレーンに入ることのチームおよびドライバーへの合図となる。
この時点でセーフティカー後方に位置する先頭車両が走行ペースを決めることができ、必要であればセーフティカーとの車間距離を車両10台分以上としても構わない。
セーフティカーがピットへ戻る前に事故を起こす可能性を避けるため、セーフティカーの灯火が消された時点から、ドライバーは一貫性を欠く加速あるいはブレーキングのない、また、他のドライバーを危険にさらす、あるいは再スタートの妨げとなるようなその他一切の行為のない一定ペースで進まなければならない。
セーフティカーがピット入口に進入すると同時に、イエローフラッグと”SC”ボードが撤去され、決勝レース最終周を除き、それらに代ってライン上にてグリーンライト点灯を伴うグリーンフラッグの振動表示がされる。これらは最終車両がラインを通過するまで振動表示される。
39.14 セーフティカーが出動中の各周回は、レース周回として数えられる。ただし、第39条16に規定される手順が実行される場合の1周目を除く(第5条3も参照)。
39.15 セーフティカーが最終周の開始時点になってもまだ出動中である時、あるいは最終周で出動することになった時、最終周の終了時点でセーフティカーはピットレーンへ入り、競技車両は追い越しをすることなく通常通りチェッカーフラッグを受ける。
39.16 予定時刻に走路の状態がレーススタートに適していないとみなされる場合、フォーメーションラップをセーフティカーの先導によりスタートする場合がある。この場合、10分前シグナルの時点でオレンジ色の灯火が点灯される。これは、セーフティカーの先導によりフォーメーションラップがスタートすることをドライバーに知らせる合図である。同時に公式メッセージ送信システムにより全チームにこれが確認される。
グリーンライトが点灯したら、セーフティカーはグリッドを離れ、すべてのドライバーはグリッド順位に従い車両10台分以内の車間距離で走行し、ポールポジションの位置を通過するまで、ピットレーンの速度制限を遵守しなければならない。セーフティカーはレースに適した状況となるまで介入を続ける。
ピットレーンからスタートする車両は、全隊列がピットレーン出口を最初に通過し終えた後で、フォーメーションラップに合流することができる。そのような車両はすべて、フォーメーションラップをすべて走破することができるが、セーフティカーがピットに戻った後にピットレーンに入り、レースをピットレーン終点に到着した順でそこからスタートしなければならない。このような状況でピットレーンに進入し、ピットレーンを離れる前にタイヤの仕様(含む複数)を変更したドライバーには、第38条3d)のペナルティが科される。
フォーメーションラップ中にピットレーンに入ったそれ以外の車両は、走路に合流することはできるが、セーフティカーがピットに戻った後にピットレーンに入り、レースをピットレーン終点に到着した順でそこからスタートしなければならない。このような状況でピットレーンに進入し、ピットレーンを離れる前にタイヤの仕様(含む複数)を変更したドライバーにも、第38条3d)のペナルティが課される。
セーフティカー先導で周回中、追い越しは、以下の状況でのみ許される:
a) グリッドを離れる際に遅れてしまった車両があり、その車両を追い越さないと、後続の車両が隊列の残りを不当に遅らせることになってしまう場合。あるいは、
b) ピットレーンスタートとなる車両が複数台あり、そのうちの1台が不当に遅れる場合。
いずれの場合にも、ドライバーは元のスタート位置、あるいはフォーメーションラップがスタートしたときにピット出口に並んだ順序を取り戻す場合においてのみ追い越しが許される。
このようにして遅れてしまい、セーフティカーがピットに戻る周回で、第1セーフティカーラインに到達する前に当初のスタート順を取り戻すことができないドライバーは、ピットレーンに入らなければならず、全隊列がレーススタート後ピットレーン出口を通過し終えた後でのみ、レースに合流することができる。
セーフティカーが一旦ピットレーンに入ったならば、ピットレーンからスタートを求められる車両を除くすべての車両はグリッドに戻らなければならず、各自のグリッド位置につき、第36条9から第36条13に来てされている手順に従わなければならない。
セーフティカー先導によるフォーメーションラップが数周実施された後、走路の状態がレーススタートに適切でないと見なされた場合、”START PROCEDURE SUSPENDED”(スタート手順一時中断)のメッセージが公式メッセージ送信システムによりすべてのチームに送信され、全車はセーフティカーの後方でピットレーンに入らなければならない。その後第41条および42条に定める手順が実施され、スタンディングスタートはなされない。