2020年
2021年シーズンの内容については
こちらを参照ください。
FIA Formula 2 Championship とは
FIA Formula 2 Championship (FIA F2選手権)はF1の直下のカテゴリーとして位置付けられています。Formula 1がF1と呼ばれるようにFormula 2もF2と呼ばれます。
F1ドライバーになるためにはFIA F2 Championshipへの参戦は必須と言っても過言ではありません。F1がヨーロッパなどで開催される時には、FIA F2 Championshipはサポートレースとして併催されています。
F1直下のカテゴリーとしては、1980年代から『国際F3000シリーズ』が長きにわたって開催され、その後継のシリーズとして、2005年から『GP2シリーズ』がスタートしました。
FIAはF1を頂点としたフォーミュラカーシリーズの再編を行うため、現在のFIA F2 ChampionshipがそれまでのGP2シリーズの役割を引き継ぎ、2017年にスタートしました。GP2の下位カテゴリーであったGP3シリーズも2019年からFIA F3 Championshipへと生まれ変わり、FIAの提唱するF1を頂点としたF1、F2、F3、F4のフォーミュラカーレースシリーズのピラミッドが形成されました。
FIAはFIA F2 ChampionshipからのF1ドライバーの輩出を望んでおり、スーパーライセンスポイントでも優遇されています。すでに、FIA F2 Championshipの2017年シリーズチャンピオンのシャルル・ルクレール選手、2018年シリーズチャンピオンのジョージ・ラッセル選手がF1ドライバーとなっています。
F1ドライバーを目指す日本人ドライバーも参戦しており、2020年シーズンは松下信治選手、角田裕毅選手、佐藤万璃音選手の3名が参戦しています。
©FIA Formula 2 Championship
マシンは『ダラーラ F2 2018』のワンメイク
FIA F2 Championshipで使用されるマシンはイタリアのレーシングカーコンストラクターであるダラーラがFIA F2 Championshipのために専用開発した『ダラーラ F2 2018』が採用されています。
エンジン、タイヤも共通仕様で全車イコールコンディションのワンメイクレースとなっています。
ダラーラ F2 2018
現在のFIA F2 Championshipがスタートした2017年シーズンはそれまでのGP2シリーズで使用していたマシンである『ダラーラ GP2/11 』が使用されました。
2018年シーズンからはイタリアのダラーラがFIA F2 Championshipのために開発した『ダラーラ F2 2018』が採用されています。2017年のF1安全基準に準拠するため、ドライバーの頭部を保護するHALOが採用されていたり、DRSやピレリ製のタイヤを採用するなど、F1と共通する部分も多くなっています。
車両名称 | ダラーラ F2 2018 |
全長 / 全幅 / 全高 | 5,224mm / 1,900mm / 1,097mm |
ホイールベース | 3,135mm |
重量 | 755kg (ドライバー含む) |
エンジン | メカクローム製 V6 3.4L シングルターボチャージャー |
安全基準 | FIA F1 2017 安全基準を準拠 |
HALO | チタン製 HALO F1仕様 |
サバイバルセル | ダラーラ製 サンドイッチ カーボン/アルミ ハニカム構造 |
ウイング | ダラーラ製 カーボン構造 |
ボディワーク | ダラーラ製 カーボン/ケブラー ハニカム構造 |
DRS | F1仕様DRSと同機能、油圧作動 |
ギアボックス | ヒューランド製 6速縦型シーケンシャルギアボックス、パドルシフト |
クラッチ | ZF SACHS製 カーボンクラッチ |
スターター | 車載スターター無し |
ディファレンシャル | 非油圧式ランプディファレンシャル |
燃料 | プレミアFT5 125リットル |
電装系 | マニエッティマレリ製 Marvel SRG 480 ECU/GCU(データロギングシステム含む) |
マニエッティマレリ製 PDU 12-42 電源供給マネージメントユニット | |
CANデータ収集システム | |
ビーコンレシーバー | |
F1仕様VSC マーシャリングシステム | |
サスペンション | プッシュロッド式ダブルスチールウィッシュボーン |
フロント:ツインダンパー、トーションバーサスペンション | |
リア:スプリングサスペンション | |
ダンパー | コニ製 調整可能ダンパー (フロント:2方向 / リア:4方向) |
調整可能アンチロールバー (フロント / リア) | |
ブレーキキャリパー | ブレンボ製 6ピストン モノブロック キャリパー |
ブレーキディスク | カーボンインダストリー製 カーボンブレーキディスク、パッド |
ホイール | 18インチ (2020年導入) |
O.Z. Racing製 マグネシウムホイール | |
フロント:18” x 12” / リア:18” x 13.7” | |
タイヤ | ピレリ製 F2仕様 スリック / ウェット タイヤ (TPMS付) |
ステアリング | ラック&ピニオン式ステアリングシステム(アシスト無し) |
ディスプレイ | XAP製 ダッシュボード付ステアリングホイール |
車載カメラ | ロールフープ、ノーズコーン、フェイスショット カメラ装備 |
メカクローム 3.4L V6 シングルターボエンジン
ダラーラ F2 2018にはメカクローム製の3.4L V6シングルターボエンジンが搭載されます。最高出力は620馬力となり、ダラーラ F2 2018との組み合わせにより、最高速度は335km/h、0-100km/h加速は2.90秒のパフォーマンスを発揮します。
出典:maxf1.net
エンジン出力 | 620 HP @ 8750 rpm |
フライバイワイヤ | フライバイワイヤ アクセラレーター システム |
リビルド | 8,000km毎 |
最大トルク | 570 Nm @ 6,000 rpm |
パフォーマンス (ダラーラ F2 2018との組み合わせ)
0-100 km/h 加速 | 2.90秒 |
0-200 km/h 加速 | 6.60秒 |
最高速度 | 335 km/h (モンツァ空力仕様+DRS) |
最大ブレーキ制動力 | -3.5 G |
最大 横G | ±3.9 G |
2020年 FIA Formula 2 Championship ドライバーラインナップ
チーム | No. | ドライバー |
DAMS | 1 | ショーン ゲラエル |
2 | ダニエル ティクトゥム | |
UNI-Virtuosi Racing | 3 | 周 冠宇 |
4 | カラム アイロット | |
ART Grand Prix | 5 | マーカス アームストロング |
6 | クリスチャン ルンガー | |
Carlin | 7 | 角田 裕毅 |
8 | ジェハン ダルワラ | |
Campos Racing | 9 | ジャック エイトキン |
10 | ギリェルメ サマイア | |
Charouz Racing System | 11 | ルイ デレトラズ |
12 | ペドロ ピケ | |
MP Motorsport | 14 | 松下 信治 |
15 | フェリペ ドルゴビッチ | |
BWT HWA Racelab | 16 | アーテム マルケロフ |
17 | ジュリアーノ アレジ | |
Prema Racing | 20 | ミック シューマッハ |
21 | ロバート シュワルツマン | |
Trident | 22 | ロイ ニッサニー |
23 | 佐藤 万璃音 | |
Hitech Grand Prix | 24 | ニキータ マゼピン |
25 | ルカ ギオット |
2020年 FIA Formula 2 Championship スケジュール
FIA F2 Championshipの2020年シリーズのスケジュールは新型コロナウイルス『COVID-19』の影響により、当初のスケジュールの大幅な変更を強いられることになりました。
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 7/3〜7/5 | オーストリア |
第2戦 | 7/10〜7/12 | オーストリア |
第3戦 | 7/17〜7/19 | ハンガリー |
第4戦 | 7/31〜8/2 | イギリス |
第5戦 | 8/7〜8/9 | イギリス |
第6戦 | 8/14〜8/16 | スペイン |
第7戦 | 8/28〜8/30 | ベルギー |
第8戦 | 9/4〜9/6 | イタリア |
第9戦 | 9/11~9/13 | イタリア |
第10戦 | 9/25~9/27 | ロシア |
【参考】当初の開催スケジュール
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 3/21〜3/22 | バーレーン |
第2戦 | 5/2〜5/3 | オランダ |
第3戦 | 5/9〜5/10 | スペイン |
第4戦 | 5/23〜5/24 | モナコ |
第5戦 | 6/6〜6/7 | アゼルバイジャン |
第6戦 | 7/4〜7/5 | オーストリア |
第7戦 | 7/18〜7/19 | イギリス |
第8戦 | 8/1〜8/2 | ハンガリー |
第9戦 | 8/29〜8/30 | ベルギー |
第10戦 | 9/5〜9/6 | イタリア |
第11戦 | 9/26〜9/27 | ロシア |
第12戦 | 11/28〜11/29 | アブダビ |
ライセンス
FIA F2 Championshipへ参戦するにはFIAが発行する国際Aもしくは国際Bライセンスを保有している必要があります。
スーパーライセンスポイント
FIA F2 Championshipのシリーズ10位までのドライバーには、F1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスポイントが与えられます。過去3年においてスーパーライセンスポイントを40ポイント以上を獲得することでスーパーライセンスを取得できる資格が与えられます。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
40 | 40 | 40 | 30 | 20 | 10 | 8 | 6 | 4 | 3 |
フリー走行
FIA F2 Championshipでは金曜日に45分間のフリー走行(Practice Session)が開催されます。
公式予選
FIA F2 Championshipの公式予選は金曜日のフリー走行の後に開催されます。30分間の走行時間の間にタイムアタックを行い、タイムが速いドライバーの順に順位が決定されます。
公式予選の順位に基づき、土曜日に開催されるフューチャーレースのスターティンググリッドが決定されます。
また、ポールポジションを獲得したドライバーにはシリーズポイントが4ポイント与えられます。
ポールポジションドライバーのタイムの107%が公式予選通過基準タイムとなります。
モナコでは2グループで開催
モナコでは公式予選はAグループとBグループの2グループに分けて開催されます。AグループとBグループはカーナンバーが奇数か偶数かで分けられます。どちらのグループが先に走行するのかが車検日に抽選によって決定されます。
各グループの走行時間は16分と定められており、全体を通して最も速いタイムを記録したドライバーがポールポジションとなります。2番手グリッドはポールポジションを獲得したドライバーのいないグループのトップタイムを記録したドライバーとなり、3番手グリッドはポールポジションを獲得したドライバーのいるグループの2番手タイムを記録したドライバーといったように決定されます。
フューチャーレース (レース1)
FIA F2 Championshipでは決勝レースは『フューチャーレース』と『スプリントレース』の2回開催されます。フューチャーレースはレース1、スプリントレースはレース2と呼ばれることがあります。
フューチャーレースは土曜日に開催されます。フューチャーレースのレース距離は180kmと定められており、レース中に最低1回のタイヤ交換を含むピットストップを行うことが義務付けられています。
モナコとハンガリーでの開催においては、フューチャーレースのレース距離は180kmではなく、140kmと定められています。
フューチャーレースの最大レース時間は60分と定められており、規定の周回数を完了していなくても、60分を経過したラップがファイナルラップ(最終周)となります。
フューチャーレースで上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
スプリントレース (レース2)
FIA F2 Championshipのスプリントレースは日曜日に開催されます。
リバースグリッドによりグリッド順を決定
日曜日に開催されるスプリントレースのグリッド順はフューチャーレースの順位に応じて決定します。フューチャーレースで上位8位に入賞したドライバーのグリッドはリバースグリッドとなります。
フューチャーレースで1位だったドライバーはスプリントレースでは8位スタートとなり、2位だったドライバーは7位スタートとなります。フューチャーレースで9位以下だったドライバーはスプリントレースはその順位でのスタートとなります。
フューチャーレースの順位 | スプリントレースのグリッド |
1位 | 8位 |
2位 | 7位 |
3位 | 6位 |
4位 | 5位 |
5位 | 4位 |
6位 | 3位 |
7位 | 2位 |
8位 | 1位 |
9位 | 9位 |
10位 | 10位 |
: | : |
ピットストップの義務付け無し
スプリントレースはフューチャーレースと異なり、ピットストップの義務付けはありません。スプリントレースのレース距離はフューチャーレースよりも60km短く、120kmと定められています。
モナコとハンガリーでの開催においては、スプリントレースのレース距離は120kmではなく、100kmと定められています。
スプリントレースの最大レース時間は45分と定められており、規定の周回数を完了していなくても、45分を経過したラップがファイナルラップ(最終周)となります。
フューチャーレースで上位8位のドライバーにポイントが与えられます。
セーフティカー / バーチャルセーフティカー(VSC)
FIA F2 Championshipではレース中、コース上に危険な状況が発生した場合は、『セーフティカー(SC)』や『バーチャルセーフティカー(VSC)』が導入されます。
セーフティカーの運用ルールは基本的に国際モータースポーツ競技規則付則H項に準拠します。
バーチャルセーフティカーの運用ルールはF1での運用方法を踏襲します。
タイヤ
FIA F2 ChampionshipのタイヤはF1と同様に『ピレリ』のワンメイクです。
2020年シーズンからF1に先駆けて18インチのホイールが採用されることになりました。タイヤの径に変更はありませんが、ホイールの径がフロントは245/660-R18、リアは325/660-R18に変更されました。
FIA F2 Championshipのドライタイヤは『プライム』と『オプション』と呼ばれるコンパウンドの異なる2スペックのタイヤがあります。
タイヤは1開催で5セットのドライタイヤが供給されます。5セットの内、プライムは3セット、オプションは2セットが供給されます。また、コンパウンドが異なるタイヤを組み合わせて装着することは認められていません。
5セットのドライタイヤと3セットのウェットタイヤで金曜日のフリー走行から日曜日のスプリントレースまで走行する必要があります。
フリー走行の開始前に2セットのプライムタイヤと2セットのオプションタイヤが供給されます。公式予選前にフリー走行で使用した1セットのプライムタイヤを返却し、新たなプライムタイヤが1セット供給されます。
土曜日に開催されるフューチャーレースではレース中に最低1回のタイヤ交換を含むピットストップを行うことが義務付けられています。
ポイント
FIA F2 Championshipではフューチャーレースとスプリントレースの2回のレースが開催されますが、順位に応じて与えられるポイントは以下のように異なります。
また、ポールポジションを獲得したドライバー、それぞれのレースでファステストラップを記録したドライバーにもポイントが与えられます。
シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがシリーズチャンピオンとなります。
フューチャーレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
スプリントレース
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 |
15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
ポールポジションに4ポイント
FIA F2 Championshipではフューチャーレースの公式予選でポールポジションを獲得したドライバーに4ポイントが与えられます。
ファステストラップドライバーに2ポイント
FIA F2 Championshipではフューチャーレース、スプリトレースそれぞれのレースでファステストラップを記録したドライバーに2ポイントが与えられます。
ファステストラップでポイントを獲得するには、レース距離の90%以上を走行し、レースを10位以内で完走する必要があります。
ポールポジションを獲得し、フューチャーレース、スプリントレースそれぞれでファステストラップを記録して優勝した場合、48ポイントを獲得することができます。
歴代チャンピオン
シリーズ | ドライバー | チーム |
2017 | シャルル ルクレール | プレマ レーシング |
2018 | ジョージ ラッセル | ART グランプリ |
2019 | ニック デ フリース | ART グランプリ |
FIA Formula 2 Championship レギュレーション
2020 FIA FORMULA 2 CHAMPIONSHIP SPORTING REGULATIONS
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