モータースポーツのレギュレーション(競技規則)はすべてのレースシリーズにおいて共通ではありません。また、レースを開催するサーキットが変われば守らなければならないルールも変わる場合があります。
基本的にレギュレーションは、国際自動車連盟『FIA』が定める四輪モータースポーツの国際ルールである『FIA 国際モータースポーツ競技規則』とレースシリーズごとの独自のルールが定められた『特別規則書』から構成されています。
特別規則書にはFIAが定める国際モータースポーツ競技規則にはない独自のローカルルールが記載されています。ドライバーやチームは特別規則書を含むすべてのレギュレーションを守らなければなりません。
さらに、モータースポーツのレギュレーションを細かく分類すると以下の4つに分けられます。これらのレギュレーションにどのような内容が記載されているのかを解説します。
- FIA国際モータースポーツ競技規則
- レースシリーズごとの特別規則書
- サーキットごとの特別規則書
- ブルテン
FIA 国際モータースポーツ競技規則
国際自動車連盟『FIA』が定める規則書であり、すべてのFIAやJAFの公認レースにおいて必ず適用されるレギュレーションです。
例えば四輪モータースポーツで使用されるフラッグのルールやセーフティカーの運用ルールは『国際モータースポーツ競技規則 付則H項』という規則書に記載されています。
FIAが国際モータースポーツ競技規則のフランス語版と英語版を発行していますが、日本自動車連盟『JAF』が英語版を翻訳した日本語版を発行しています。
言語の違いによりレギュレーションの解釈が異なる場合はフランス語版の内容が優先されます。
国際モータースポーツ競技規則 付則H項
モータースポーツを楽しむ上で理解しておくべき国際モータースポーツ競技規則は付則J項、付則H項、付則L項あたりではないかと考えます。
付則J項 国際競技車両規則
競技車両の車両規則(技術規則)が記載されています。
付則H項 ロードの管制および緊急役務についての勧告
主にフラッグのルールやセーフティカーの運用ルールが記載されています。
付則L項 国際ドライバーライセンス、身体検査、ドライバーの装備および行為
レースに出場するためのライセンスやドライバーの装備品(ヘルメット、レーシングスーツなど)の規定が記載されています。
ダウンロード先
国際モータースポーツ競技規則の原文(フランス語・英語)はFIAのウェブサイトからダウンロードできます。日本語版はJAFのウェブサイトに掲載されています。
レースシリーズごとの特別規則書
レースシリーズごとの独自のルールを定めた規則書です。例えばSUPER GTにおいてはSUPER GT Sporting Regulations (SGT-SpR)と呼ばれるレギュレーションがあり、シリーズを通して運用されるスタート進行に関した内容や、独自のセーフティカー運用ルールなどを規定しています。
H項やL項などの国際モータースポーツ競技規則と内容が重複する場合は、このレースシリーズごとの特別規則書が優先されます。
また、レースシリーズごとの特別規則書に記載の無い内容については、国際モータースポーツ競技規則を優先します。
SUPER GT Sporting Regulations
サーキットごとの特別規則書
モータースポーツを開催するサーキット独自のローカルルールを定めた規則書です。
サーキットによってはショートカットレイアウトが存在したりしますが、フルコースでのレースの場合、そのショートカットを使用してはいけないなどの規則や、サーキットごとに異なるピットロードの走行ルールや赤旗ラインの位置などが定められています。
スポーツランドSUGO 一般競技規則書
それぞれの規則書にはスポーティングレギュレーションとテクニカルレギュレーションの記載があります。
スポーティングレギュレーションはレースの進行手順や走行時のルールなどを記載したもの、テクニカルレギュレーションは競技車両の大きさや重量、改造範囲などの技術規定を記載したものです。
ブルテン
シーズン途中で特別規則書に変更が生じた場合や、ある大会に限定した規則を追加したいときにはブルテンが発行され、主催者からエントラント(チーム)に伝えられます。また、規則の解釈が複数ある場合など規則の明確化を行いたいときにもブルテンで明示されます。