2020-2021年
2021-2022年シーズンの内容については
こちらを参照ください。
『ABB FIA Formula E World Championship』とは?
ABB FIA Formula E World Championship『ABB フォーミュラE 世界選手権』はバッテリーとモーターを搭載した電気自動車によるフォーミュラカーのレースシリーズで2014年にスタートしました。
これまでのモータースポーツはエンジンを搭載したレーシングカーがガソリンやエタノールなどの燃料を燃焼することによって実現されてきましたが、フォーミュラEはガソリンのような化石燃料を消費したり、二酸化炭素を排出することのない、新しいモータースポーツです。
フォーミュラEは環境にやさしい電気自動車の普及を目的とし、モーターの開発が認められているため、メルセデスやポルシェ、日産など数多くの自動車メーカーも参戦しています。
レースは基本的にモータースポーツ専用のサーキットではなく、大都市などの市街地に作られた特設のコースで開催されます。F1では各レースをグランプリと呼びますが、フォーミュラEでは『e-Prix(イー・プリ)』と呼びます。
F1では毎年、各シーズンは春に開幕し、秋に終了しますが、フォーミュラEでは年またぎのシーズンとなっていることが特徴的で、各シーズンは秋に開幕し、翌年の夏に終了するスケジュールになっています。
ABB FIA Formula E World Championship
ロゴマーク
©ABB FIA Formula E Championship
マシンは全車共通の『Gen2』
フォーミュラEにおける2020-2021年シーズンのマシンはスパーク・レーシング・テクノロジーとダラーラが共同で開発した『Spark SRT05e』が採用されています。
このマシンは2018-2019シーズンから導入され『Gen2』と呼ばれています。
2020-2021年シーズンからGen2を改良した『Gen2 EVO』の導入が決定していましたが、新型コロナウイルス『COVID-19』の感染拡大の影響により、Gen2 EVOの導入が延期されることになりました。
先代の『Gen1』と呼ばれるシャシーではバッテリーの容量が28kWhと小さく、レース中にマシンを乗り換える必要がありました。『Gen2』ではバッテリーの容量が54kWhへ大容量化が図られたことから、レース中にマシンを乗り換える必要が無くなりました。
Gen2は安全性にも考慮しており、F1と同様にドライバーの頭部を保護するためのHALOが装着されました。
Gen2に搭載するモーターは各チームが独自で設計するか、25万ユーロ以下のコストで調達する必要があります。いずれの場合もFIAの認証を得る必要があります。
全長 / 全幅 / 全高 | 5,160 mm / 1,770 mm / 1,050 mm |
トレッド (フロント) | 1,553 mm |
トレッド (リア) | 1,505 mm |
最大地上高 | 75mm |
ホイールベース | 3,100 mm |
最低車両重量 | 900 kg (ドライバー含む / バッテリー:385kg) |
最大出力 | 250 kW (335 HP) |
レースモード最大出力 | 200 kW (270 HP) |
最大回生電力 | 250 kW |
最高速度 | 280 km/h |
加速力 (0-100km/h) | 2.8 秒 |
Gen2 EVO
ABB FIA Formula E World Championship
2020-2021シーズン ドライバーラインナップ
No. | ドライバー | チーム |
4 | ロビン フラインス | エンビジョン ヴァージン レーシング |
37 | ニック キャシディ | |
5 | ストフェル バンドーン | メルセデスベンツ EQ フォーミュラE チーム |
17 | ニック デ フリース | |
6 | ニコ ミュラー | ドラゴン / ペンスキー オートスポート |
7 | セルジオ セッテ カマラ | |
8 | オリバー ターベイ | NIO 333 FE チーム |
88 | トム ブロンクビスト | |
10 | サム バード | ジャガー レーシング |
20 | ミッチ エバンス | |
11 | ルーカス ディ グラッシ | アウディ スポーツ ABT シェフラー |
33 | レネ ラスト | |
13 | アントニオ フェリックス ダ コスタ | DS テチーター |
25 | ジャン エリック ベルニュ | |
22 | オリバー ローランド | ニッサン e.ダムス |
23 | セバスチャン ブエミ | |
27 | ジェイク デニス | BMW i アンドレッティ モータースポーツ |
28 | マキシミリアン ギュンター | |
29 | アレクサンダー シムズ | マヒンドラ レーシング |
94 | アレックス リン | |
36 | アンドレ ロッテラー | タグホイヤー ポルシェ フォーミュラE チーム |
99 | パスカル ウェーレイン | |
48 | エドアルド モルタラ | ロキット ヴェンチュリ レーシング |
71 | ノーマン ナト |
ABB FIA Formula E World Championship
2020-2021シーズン 開催スケジュール
フォーミュラEの2019-2020年シーズンの開催スケジュールは新型コロナウイルス『COVID-19』の感染拡大の影響により、当初の開催スケジュールどおりに開幕することができませんでしたが、2021年1月28日、改定された開催スケジュールが発表されました。
さらに、イタリア、スペインの大会が2レースで争われることが決定しました。
2021年4月22日、フォーミュラEはスケジュールを改定し、モロッコ大会とチリ大会が中止になること、新たに、メキシコ、アメリカ、ロンドン、ドイツでの大会が追加され、全15戦となることが発表されました。
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 2/26 | サウジアラビア (ディルイーヤ) |
第2戦 | 2/27 | サウジアラビア (ディルイーヤ) |
第3戦 | 4/10 | イタリア (ローマ) |
第4戦 | 4/11 | イタリア (ローマ) |
第5戦 | 4/24 | スペイン (バレンシア) |
第6戦 | 4/25 | スペイン (バレンシア) |
第7戦 | 5/8 | モナコ |
第8戦 | 6/19 | メキシコ (プエブラ) |
第9戦 | 6/20 | メキシコ (プエブラ) |
第10戦 | 7/10 | アメリカ (ニューヨーク) |
第11戦 | 7/11 | アメリカ (ニューヨーク) |
第12戦 | 7/24 | イギリス (ロンドン) |
第13戦 | 7/25 | イギリス (ロンドン) |
第14戦 | 8/14 | ドイツ (ベルリン) |
第15戦 | 8/15 | ドイツ (ベルリン) |
当初の開催スケジュール
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 2021/1/16 | チリ (サンティアゴ) |
第2戦 | 2021/2/13 | メキシコ (メキシコシティ) |
第3戦 第4戦 |
2021/2/26 2021/2/27 |
サウジアラビア (ディルイーヤ) |
第5戦 | 2021/3/13 | 中国 (三亜) |
第6戦 | 2021/4/10 | イタリア (ローマ) |
第7戦 | 2021/4/24 | フランス (パリ) |
第8戦 | 2021/5/8 | モナコ (モナコ) |
第9戦 | 2021/5/23 | 韓国 (ソウル) |
第10戦 | 2021/6/5 | 未定 |
第11戦 | 2021/6/19 | ドイツ (ベルリン) |
第12戦 | 2021/7/10 | アメリカ (ニューヨーク) |
第13戦 第14戦 |
2021/7/24 2021/7/25 |
イギリス (ロンドン) |
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 2019/11/22 | サウジアラビア (ディルイーヤ) |
第2戦 | 2019/11/23 | |
第3戦 | 1/18 | チリ (サンティアゴ) |
第4戦 | 2/15 | メキシコ (メキシコシティ) |
第5戦 | 2/29 | モロッコ (マラケシュ) |
第6戦 | 8/5 | ドイツ (ベルリン) |
第7戦 | 8/6 | |
第8戦 | 8/8 | ドイツ (ベルリン) |
第9戦 | 8/9 | |
第10戦 | 8/12 | ドイツ (ベルリン) |
第11戦 | 8/13 |
ライセンス
フォーミュラEへ参戦するにはFIAが発行する『e-Licence (e-ライセンス)』を保有している必要があります。
e-ライセンスを申請するためには、スーパーライセンスポイントを過去3年間で20ポイント以上獲得している必要があります。また、以前にスーパーライセンスを保持していたり、過去のフォーミュラEのレースに3戦以上参加したことがあるドライバーもe-ライセンスを申請する資格があります。
フォーミュラEの公式テストに参加するためには国際Bライセンスを保持している必要があります。また、国際Cライセンスの保有者でもシングルシーターカテゴリーで実績があり、FIAに認められれば参加が認められる場合があります。
ペナルティポイント
フォーミュラEには独自のペナルティポイントシステムがあり、レギュレーション違反や悪質なドライビング行為に対して、スチュワードがペナルティポイントをドライバーに科します。
累積のペナルティポイントが12ポイントに達すると、次のレースは出場停止となります。ペナルティポイントは12か月経過すると消滅します。
スーパーライセンスポイント
フォーミュラEのシリーズ10位までのドライバーには、F1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスポイントが与えられます。過去3年においてスーパーライセンスポイントを40ポイント以上を獲得することでスーパーライセンスを取得できる資格が与えられます。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
30 | 25 | 20 | 10 | 8 | 6 | 4 | 3 | 2 | 1 |
走行セッション
フォーミュラEでは基本的に土曜日1日でフリー走行、公式予選、決勝を全て行います。いくつかのレースにおいては日曜日にもレースが行われダブルヘッダーとして開催されます。
レースイベントの前日となる金曜日にはシェイクダウンと呼ばれる走行が行われますが、マシンの最大出力が制限されるため、土曜日の走行のための事前チェックの位置づけです。
土曜日にはマシンのセッティングやパフォーマンスの確認を行うフリー走行が開催され、その後、レースのスターティンググリッドを決定する公式予選が開催されます。公式予選の後、決勝レース(e-Prix)が開催されます。
シェイクダウン
フォーミュラEでは金曜日にシェイクダウンと呼ばれる走行セッションが設定されています。マシンのチェックや電子システムの動作確認のために行われるため、マシンの最大出力は110kWに制限されます。
フォーミュラEは市街地コースでの開催が多いため、シェイクダウンではコースレイアウトや縁石の位置などのチェックも行われます。
フリー走行
フォーミュラEでは公式予選の前に2回のフリー走行が行われます。最初に45分間、次に30分間のフリー走行が行われます。1回目のフリー走行と2回目のフリー走行の間には少なくとも30分間のインターバルが設定されます。
ダブルヘッダーのレースでは2日目は30分間のフリー走行は行われません。
フリー走行では最大出力は250kWまで認められています。
公式予選
フォーミュラEの公式予選は最大6台のマシンによる4グループに分けて行われます。各グループの走行時間は6分間と定められており、この間にタイムアタックを行い、ラップタイムを記録する必要があります。
公式予選では最大出力は250kWまで認められています。
全体順位で上位6位のラップタイムを記録したドライバーは『スーパーポール』へ進出します。7位以下のドライバーは記録したタイム順に順位が決定します。
スーパーポール
4グループに分けて行われた走行で上位6位のラップタイムを記録したドライバーによってスーパーポールが争われます。
6位のドライバーから1台ずつコースインし、1台ずつタイムアタックを行います。最も速いタイムを記録したドライバーがポールポジションとなります。
e-Prix (決勝)
フォーミュラEの決勝レースは『e-Prix (イー・プリ)』と呼びます。
通常のレースではスタートに先駆けてフォーメーションラップを1周走行しますが、フォーミュラEではコースを1周するフォーメーションラップは行われません。
レース開始前にピットアウトしたマシンがコースインし、メインストレートに設定されたダミーグリッドと呼ばれる場所に停車し、ダミーグリッド上でレーススタート時間を待ちます。フォーミュラEではこのダミーグリッドがレースをスタートするスターティンググリッドの手前に設定されています。
フォーミュラEではダミーグリッドからスターティンググリッドへの移動がフォーメーションラップとして扱われています。
レースのスタートはF1と同じようにシグナルによるスタンディングスタートで行われます。
フォーミュラEのレース距離は周回数ではなく、45分間と定められています。レーススタートから45分が経過した次の周回がファイナルラップ(最終周)となります。
セーフティカー (SC)
フルコースイエロー(FCY)
フォーミュラEではレース中、コース上に危険な状況が発生した場合は、セーフティカー(SC)やフルコースイエロー(FCY)が導入されます。
セーフティカーやフルコースイエローの運用ルールは基本的に国際モータースポーツ競技規則付則H項に準拠します。
フォーミュラE独自のルールとして、セーフティカーやフルコースイエローが導入されている間は導入時間がカウントされており、レース中に使用できるバッテリーの電力量が導入時間1分あたり1kWhが差し引かれることになっています。
また、セーフティカーやフルコースイエローが導入されている間に、アタックモードをアクティベートすることはできません。
計算は1分単位で行われ、1分未満は計算されません。また、セーフティカーやフルコースイエローが導入されたままレースが終了した場合は、電力量の減算は行われません。
ファンブースト
フォーミュラEには『ファンブースト』と呼ばれる独自の人気投票システムがあります。レース開催前にファンによって投票が行われ、ファンから多くの票を集めた5名のドライバーにファンブーストが与えられます。
ファンブーストはレーススタートから22分が経過した後に使用が認められ、1度だけ一時的にモーター出力の上限を最大100kJ (240~250kW)まで上げて走行することができ、オーバーテイクに貢献することができます。
ファンブーストは専用サイトへのアクセス、もしくはハッシュタグ『#FANBOOST』と共に投票したいドライバーの名前をSNSへ投稿することで投票することができます。
アタックモード
2018-2019シーズンから、フォーミュラE独自の『アタックモード』と呼ばれるオーバーテイクのチャンスを増加させる新たなシステムが導入されました。
アタックモードを起動させるためには、レーシングラインを外れたところに設定される『アクティベーションゾーン』を通過する必要があります。
アクティベーションゾーンを通過するにはレーシングラインを外すため、その瞬間はタイムをロスすることになりますが、数周に渡って35kWの追加のパワーを得ることができるため、その後のレース展開を有利に進めることができる可能性があります。
タイヤ
フォーミュラEのタイヤはミシュランのワンメイクです。
F1に代表されるフォーミュラカーでは晴れ用のドライタイヤと雨用のウェットタイヤを路面コンディションに合わせて使い分ける必要がありますが、フォーミュラEで採用されているタイヤは全天候型となっており、路面の影響を受けることがありません。また、ホイールはF1に先駆け18インチの大径ホイールを採用しています。
フォーミュラEでは各レース毎にフロントタイヤ4本、リアタイヤ4本が供給され、合計2セットのタイヤでフリー走行からレースが終了するまで走行する必要があります。
バッテリー充電
フォーミュラEのマシンは電気自動車であるため、走行後はバッテリーを充電する必要があります。
ただし、車検、公式予選、決勝、車両保管(パルクフェルメ)の間は、バッテリーを充電することが禁止されています。
フリー走行や各走行セッションの間の時間でバッテリーを充電する必要があります。
ポイント
フォーミュラEでは決勝(e-Prix)の順位に応じてポイントが与えられます。
また、ポールポジションを獲得したドライバー、レース中にファステストラップを記録したドライバーにもポイントが与えられます。
シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがシリーズチャンピオンとなります。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
ポールポジションに3ポイント
フォーミュラEでは公式予選(スーパーポール)でポールポジションを獲得したドライバーに3ポイントが与えられます。
ファステストラップドライバーに1ポイント
フォーミュラEではレース中にファステストラップを記録したドライバーに1ポイントが与えられます。
ファステストラップでポイントを獲得するには、レースを10位以内で完走する必要があり、ファンブーストを使用して記録したタイムは認められません。
予選グループ最上位ドライバーに1ポイント
公式予選でスーパーポールに出場するドライバーを決定するグループ予選で最上位を獲得したドライバーに1ポイントが与えられます。
ABB Formula E World Championship
歴代チャンピオン
シリーズ | ドライバー | チーム |
2014-2015 | ネルソン ピケ Jr. | チャイナ レーシング |
2015-2016 | セバスチャン ブエミ | ルノー e.dams |
2016-2017 | ルーカス ディ グラッシ | アプト シェフラー アウディ スポート |
2017-2018 | ジャン エリック ベルニュ | テチーター |
2018-2019 | ジャン エリック ベルニュ | DS テチーター |
2019-2020 | アントニオ フェリックス ダ コスタ | DS テチーター |
アーカイブ