2021年
FIA Formula 3 Championshipとは
FIA Formula 3 ChampionshipはF1ドライバーになるためには参戦必須となっているFIA Formula 2 Championshipへの登竜門となるシリーズです。各地域のFIA Formula 4 Championshipやジュニアフォーミュラレースシリーズのチャンピオンや上位ドライバーが参戦します。
Formula 1がF1と呼ばれるようにFormula 3もF3と呼ばれます。
FIA F3 Championshipは世界中の若手ドライバーが数多く参戦し、F1がヨーロッパなどで開催される時には、FIA F2 Championshipと共にサポートレースとして併催されています。
2019年以前は日本を含む世界の各地域でF3選手権が開催されていました。また、FIA F2 Championshipの前身であるGP2シリーズの下位カテゴリーとして2010年から2018年まで『GP3シリーズ』が開催されていました。
FIAがF1を頂点としたフォーミュラカーシリーズの再編を行うため、GP3シリーズはFIA F3 Championshipとして2019年に新たにスタートしました。FIA F3 ChampionshipはFIA F2 Championshipの下位カテゴリーに位置付けられ、それまでに開催されていた各地域のF3選手権は2019年をもって終了することになりました。
各地域で開催されていたF3選手権はフォーミュラリージョナルとしてFIA F3 Championshipと各地域で開催されているFIA F4 Championshipの間に位置付けられるカテゴリーとして残っています。
©FIA Formula 3 Championship
マシンは『ダラーラ F3 2019』のワンメイク
FIA F3 Championshipで使用されるマシンはイタリアのレーシングカーコンストラクターであるダラーラがFIA F3 Championshipのために専用開発した『ダラーラ F3 2019』が採用されています。
エンジンはメカクローム製の3.4L V6 自然吸気エンジンで全車イコールコンディションのワンメイクレースとなっています。
タイヤはF1と同様に『ピレリ』が供給します。
ダラーラ F3 2019
2019年にそれまでのGP3からFIA F3 Championshipへ変わるとともに、マシンもGP3で採用されていた『ダラーラ GP3/16』から『ダラーラ F3 2019』へ変更されました。
ダラーラ F3 2019はダラーラ GP3/16をベースにフロントサスペンション周りに修正が加えられ、HALOを装備するなど、安全性が向上しています。
F1と同様にレース中のオーバーテイクのチャンスを増加させるため、DRS(Drag Reduction Systems)が採用されています。
車両名称 | ダラーラ F3 2019 |
モノコック | ダラーラ製 カーボンモノコック |
トランスミッション | ヒューランド製 6速 縦型シーケンシャル ギアボックス |
電装系 | マレリ製 電気/油圧式パドルシフト |
ECU-GCUデータロガー | |
高速データ収集システム (テレメトリー非装備) |
メカクローム 3.4L V6 自然吸気エンジン
ダラーラ F3 2019にはメカクローム製の3.4L V6 自然吸気(NA)エンジンが搭載されます。エンジンの最大出力は380馬力(@8,000rpm)に達します。このエンジンはGP3シリーズでも採用されていましたが、引き続きFIA F3 Championshipでも継続して採用されています。
パフォーマンス
(ダラーラ F3 2019との組み合わせ)
0-100 km/h 加速 | 3.0秒 |
最高速度 | 300 km/h |
最大ブレーキ制動力 | -1.9 G |
最大 横G | ±2.6 G |
FIA Formula 3 Championship
2021年ドライバーラインナップ
No. | ドライバー | チーム |
1 | デニス ハウガー | プレマ レーシング |
2 | アルトゥール ルクレール | |
3 | オッリ コールドウェル | |
4 | ジャック ドゥーハン | トライデント |
5 | クレメント ノヴァラック | |
6 | デビッド シューマッハ | |
7 | フレデリック ベスティ | ART グランプリ |
8 | アレクサンドル スモリアル | |
9 | ファン マヌエル コレア | |
10 | ジャク クロフォード | ハイテック グランプリ |
11 | 岩佐 歩夢 | |
12 | ロマン スタニェク | |
14 | マッテオ ナンニーニ | HWA レースラボ |
15 | オリバー ラスムーセン | |
16 | ラファエル ヴィラゴメス | |
17 | ビクター マーティンズ | MP モータースポーツ |
18 | カイオ コレット | |
19 | ティジメン ヴァンデルヘルム | |
20 | ラズロ トース | カンポス レーシング |
21 | ロレンツォ コロンボ | |
22 | アマウリー コーディール | |
23 | イド コーエン | カーリン バズ レーシング |
24 | カイレン フレデリック | |
25 | ジョニー エドガー | |
26 | カラン ウイリアムズ | イエンツァー モータースポーツ |
27 | ピエール ルイ ショベール | |
28 | フィリップ アグラン | |
29 | ローガン サージェント | チャロウズ レーシング システム |
30 | エンツォ フィッティパルディ | |
31 | レシャド デ ゲルス |
FIA Formula 3 Championship
2021年 開催スケジュール
FIA F3 Championshipは2020年シーズンと同様にF1のサポートレースとして開催されます。
2020年シーズンまでは格上のFIA F2 Championshipと共にF1と併催されてきましたが、2021年シーズンからは新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、FIA F2とFIA F3は分けて開催されることになりました。
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 5/7~5/9 | スペイン |
第2戦 | 6/25~6/27 | フランス |
第3戦 | 7/2~7/4 | オーストリア |
第4戦 | 7/30~8/1 | ハンガリー |
第5戦 | 8/27~8/29 | ベルギー |
第6戦 | 9/3~9/5 | オランダ |
第7戦 | 10/22~10/24 | アメリカ |
21 races
7 countries
2 new venuesHere's how our 2021 looks! #F3 pic.twitter.com/1GG0LunwvR
— Formula 3 (@FIAFormula3) November 10, 2020
【参考】2020年 開催スケジュール
ラウンド | 日程 | 開催地 |
第1戦 | 7/3〜7/5 | オーストリア |
第2戦 | 7/10〜7/12 | オーストリア |
第3戦 | 7/17〜7/19 | ハンガリー |
第4戦 | 7/31〜8/2 | イギリス |
第5戦 | 8/7〜8/9 | イギリス |
第6戦 | 8/14〜8/16 | スペイン |
第7戦 | 8/28〜8/30 | ベルギー |
第8戦 | 9/4〜9/6 | イタリア |
ライセンス
FIA F3 Championshipへ参戦するにはFIAが発行する国際Aもしくは国際Bライセンスを保有している必要があります。
スーパーライセンスポイント
FIA F3 Championshipのシリーズ10位までのドライバーには、F1ドライバーになるために必要なスーパーライセンスポイントが与えられます。過去3年においてスーパーライセンスポイントを40ポイント以上を獲得することでスーパーライセンスを取得できる資格が与えられます。
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
30 | 25 | 20 | 15 | 12 | 9 | 7 | 5 | 3 | 2 |
走行セッション
FIA F3 Championshipは2021年シーズンから1つの大会ごとに、1回のフリー走行と公式予選が行われ、その後3回のレースが開催されるフォーマットに変更されました。
FIA F2 Championshipでも同様に1大会で3回のレースが開催され、それぞれのレースの名称は『スプリントレース1』、『スプリントレース2』、『フューチャーレース』と呼ばれますが、FIA F3 Championshipでは、単純に『レース1』、『レース2』、『レース3』と呼びます、
FIA F3 Championshipでは金曜日の午前にフリー走行、午後に公式予選が開催されます。土曜日は午前にレース1、午後にレース2が開催されます。日曜日は午前にレース3が開催されます。
2020年シーズンでは1大会で土曜日にレース1、日曜日にレース2の2レースが開催されていました。
金曜日 午前
フリー走行
金曜日 午後
公式予選
土曜日 午前
レース1
土曜日 午後
レース2
日曜日 午前
レース3
フリー走行
FIA F3 Championshipでは公式予選の前に45分間のフリー走行(Practice Session)が開催されます。
F1と併催されない場合はフリー走行や公式予選のスケジュールを変更できることが認められています。
公式予選
FIA F3 Championshipの公式予選は金曜日のフリー走行の後に開催されます。30分間の走行時間の間にタイムアタックを行い、タイムが速いドライバーの順に順位が決定されます。
公式予選の順位に基づき、土曜日に開催されるレース1と日曜日に開催されるレース3のスターティンググリッドが決定されます。
また、ポールポジションを獲得したドライバーにはシリーズポイントが4ポイント与えられます。
ポールポジションドライバーのタイムの107%が公式予選通過基準タイムとなります。
レース1
FIA F3 Championshipでは決勝レースは『レース1』、『レース2』、『レース3』の3回開催されます。周回数はレースごとに別途設定されます。
各レースの最大レース時間は40分と定められており、規定の周回数を完了していなくても、40分を経過したラップがファイナルラップ(最終周)となります。
レース1で上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
リバースグリッドによりグリッド順を決定
レース1のグリッド順は公式予選の順位に応じて決定します。公式予選で上位12位のドライバーのグリッドはリバースグリッドとなります。
公式予選で1位だったドライバーはレース1では12位スタートとなり、2位だったドライバーは11位スタートとなります。公式予選で13位以下だったドライバーはレース1ではその順位でのスタートとなります。
公式予選の順位 | レース1のグリッド |
1位 | 12位 |
2位 | 11位 |
3位 | 10位 |
4位 | 9位 |
5位 | 8位 |
6位 | 7位 |
7位 | 6位 |
8位 | 5位 |
9位 | 4位 |
10位 | 3位 |
11位 | 2位 |
12位 | 1位 |
13位 | 13位 |
14位 | 14位 |
: | : |
レース2
FIA F3 Championshipのレース2はレース1と同様にレース周回数は別途設定され、レース時間は最大40分間で争われます。レース2で上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
リバースグリッドによりグリッド順を決定
レース2のグリッド順はレース1の順位に応じて決定します。レース1で上位12位のドライバーのグリッドはリバースグリッドとなります。
レース1で1位だったドライバーはレース2では12位スタートとなり、2位だったドライバーは11位スタートとなります。レース1で13位以下だったドライバーはレース2ではその順位でのスタートとなります。
レース1の順位 | レース2のグリッド |
1位 | 12位 |
2位 | 11位 |
3位 | 10位 |
4位 | 9位 |
5位 | 8位 |
6位 | 7位 |
7位 | 6位 |
8位 | 5位 |
9位 | 4位 |
10位 | 3位 |
11位 | 2位 |
12位 | 1位 |
13位 | 13位 |
14位 | 14位 |
: | : |
レース3
FIA F3 Championshipのレース3は、レース1とレース2同様にレース周回数は別途設定され、レース時間は最大40分間で争われます。上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
レース3のグリッド順は公式予選の順位に基づき決定されます。レース1、レース2と異なり、リバースグリッドは採用されません。
レース3で上位10位のドライバーにポイントが与えられます。
セーフティカー / バーチャルセーフティカー(VSC)
FIA F3 Championshipではレース中、コース上に危険な状況が発生した場合は、『セーフティカー (SC)』や『バーチャル・セーフティカー (VSC)』が導入されます。
セーフティカーの運用ルールは基本的に国際モータースポーツ競技規則付則H項に準拠します。また、バーチャル・セーフティカーの運用ルールはF1での運用ルールを踏襲します。
タイヤ
FIA F3 ChampionshipのタイヤはF1と同様にピレリのワンメイクです。
FIA F3 Championshipでは週末を通して使用できるタイヤはドライタイヤ5セットと2セットのウェットタイヤと定められています。
5セットのドライタイヤのうち、4セットは新品のタイヤが供給されますが、1セットは前回のレースから持ち越して使用する必要があります。
フリー走行終了後に前回のレースから持ち越されたドライタイヤを返却しなければなりません。
ポイント
FIA F3 Championshipでレース1、レース2、レースの3回のレースが開催されますが、順位に応じて与えられるポイントはレース1およびレース2とレース3で異なります。レース3で与えられるポイントはレース1とレース2のポイントよりも多く設定されています。
また、ポールポジションを獲得したドライバー、それぞれのレースでファステストラップを記録したドライバーにもポイントが与えられます。
シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーがシリーズチャンピオンとなります。
レース1、レース2
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 |
レース3
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 6位 | 7位 | 8位 | 9位 | 10位 |
25 | 18 | 15 | 12 | 10 | 8 | 6 | 4 | 2 | 1 |
ポールポジションに4ポイント
FIA F3 Championshipでは公式予選でポールポジションを獲得したドライバーに4ポイントが与えられます。
ファステストラップドライバーに2ポイント
FIA F3 Championshipではレース1、レース2、レース3それぞれのレースでファステストラップを記録したドライバーに2ポイントが与えられます。
ファステストラップでポイントを獲得するには、レース距離の90%以上を走行し、レースを10位以内で完走する必要があります。
ポールポジションを獲得し、レース1、レース2、レース3、それぞれでファステストラップを記録して優勝した場合、65ポイントを獲得することができます。
歴代チャンピオン
シリーズ | ドライバー | チーム |
2019 | ロバート シュワルツマン | プレマ レーシング |
2020 | オスカー ピアストリ | プレマ レーシング |
アーカイブ